やりたいことをやる難しさ

　結婚式直前にも関わらず自分を追い込むために作っていた刺繍を中断したら、２週間ほど前から続いていた不眠が治まった。今日ようやくまともな８時間睡眠を取れた。

　ものに限らず何かを創作するときは、大なり小なり自分を追い込まなくてはいけない場面があるはずだ。しかし「自分を追い込んででもやらなくちゃ」を「やりたい」が上回った瞬間、創作意欲や薄れ、ベストクオリティが出せなくなる。
　私は良くも悪くも自分以外のすべてに影響されやすいせいで、ひとつの物事をやり切ること自体が難しい。他人よりちょっと自分を追い込まないと期日どころか死ぬまでに終わらせられない。そのぶん色々見失い、ときには命すら追い込んでしまった日もあった。

　今回中断した刺繍は、必須で作る作品を終えた上で始めたボーナスステージだったから、別に中断したところで誰に迷惑がかかるわけでもない。しかしなんとなく「これをやってないと自分が保てなくなる」みたいな切羽詰まった感覚があってやめられなかった。結果的に、刺繍とは直接関係ない出来事で心が折れてやめるに至ったけど、しばらく日を空けたらまた再開するかもしれない。刺繍自体は楽しいし、完成させたらさせたで気持ちいいから、心身ともに余裕があるとき手をつけられたらと思う。

　今回の経験を通して改めて、「今やっていることは本当に私自身が望んでやりたいことか」を自らに問い続ける大切さを知った。同時に「これを投げ出しても別に死ななかったな」的な感覚も久しぶりに味わえて、ちょっと人間らしさを取り戻せた気がする。