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新婚旅行の宿がパッと決まらないだけでイラつく自分が嫌すぎて眠れない

 結婚式の準備も大変だけど新婚旅行の準備も大変だ。

 結婚式の準備は【私が選ぶ→夫に確認→OK出たら確定】がほとんどだった。準備期間の半分は夫が海外出張していたため、私が決めないと進まない状況だったし仕方なかったと思う。とはいえかなりの労力を使ったから正直決断疲れしていて、「せめて新婚旅行の全行程とは言わずとも、宿くらいは夫に決めてほしい」と思っている節があった。
 夫が行きたい観光施設がたまたま温泉街にあったため、じゃあそこに一泊しようという運びになった。もともと夫が行きたがっている場所だし、じゃあ尚更宿も夫が良さそうと思ったところに……と任せたら全然決まらなかった。結局、夫が提示してきた3軒のなかから私が直感で決めた。
 たしかに、本来ならば「タトゥー×アレルギー」という温泉旅館における最悪存在の私が主体的に宿を選ぶべきなのだ。だから私も私なりに3軒ほど提案し夫の意見を伺った。しかし夫の琴線に触れるものはなかったらしく、最終的にも選ばれなかった。
 まぁ決まるには決まったのだ。決まったからよかったけど、結局私が決めることになってしまった。また私が決めてしまった。本当に私が決めてよかったのだろうかみたいな申し訳ない気持ちすらある。一方で不満とまではいかないが胸の辺りが漠然ともやもやする。

 以下蛇足だが、夫が宿を決めあぐねていた理由の一つは金額面であったと考えられる。
 夫は両親共にバックパッカーの家系に生まれ、自身も学生時代バックパッカーをしていた。宿選びの第一条件は安さで、宿を安くするぶんごはんや観光にお金を使うようにしていたらしい。
 それに対して私は、お嬢様育ちな母の指向もあってか、家族旅行に行けばそれなりにいいホテルに泊まり、いいご飯を食べさせてもらっていたため、長らく「旅行=いいホテルに泊まる日」みたいな認識だった。観光メイン&物価が高いヨーロッパではさすがにアパルトマンホテルだったけど、国内旅行や香港などではまぁまぁいいホテルに泊まっていた気がする。なお、学生時代に何度かした一人旅では、ほとんど友達の家に寄せてもらっていた(友達に会いに行くのが目的だったし)。そのため、自分のバイト代だけでやりくりする一人旅を経験してもなお、幼少期から積み重なった所謂 “ホテル観” はあまり更新されなかった。
 これだけ両者の “ホテル観” が違えば、そりゃあ宿選びもすれ違うはずだ。


 しかし今一度考えたい。新婚旅行は何のためにするものなのかを。
 たしかに新婚旅行も「旅行」だから観光・レジャーの要素を多分に含むのはおかしくない、というか至極当然だろう。しかし「新婚」旅行である以上、旅行の最重要要素は「新婚」の我々夫婦なのだ。我々が今まさに「新婚」である状態を味わうための旅行なのだから、旅の間最も長い時間を割く、かつ旅の間唯一ふたりきりになれる宿に重心を置くのも一興ではないか? というかそれこそが新婚旅行の醍醐味ではないか? 私は思うのだ。

 明日、私が決めた宿に予約をする運びとなったが、正直あまり喜べない自分がいる。元も子もないことを言えば4年弱同棲しておいて今更新婚もクソもない。私に限っては、いい宿に泊まったとて新婚旅行らしいアレコレに励む自信すらない(これはこれで問題)。まぁ行ったら行ったで楽めるだろうけど……。ぐるぐる考えていたらよく分からなくなってきた。こんだけ書いてもざっくりまとめれば「せっかくの新婚旅行なのに値段ばかり見て宿を決めあぐねる夫にイライラした」で終わってしまうのもすげー癪に触る。消化不良すぎて眠れない。生きるの難しすぎる。

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