絵画はオワコンなのか?
アーティストインタビューの第2回を編集し終えた。第2回は、現代美術家の東内咲貴さんにお願いした。「絵画はオワコン」というのは、インタビューの中で、東内さんから、大学学部生の時に何度となく聞かされた言葉として語られる。その言葉に対して非常に反発を覚えたと彼女は語る。
作品は臓器のような存在
そんな東内さんの絵画に対するアプローチはユニークだ。近作は架空の「SAKI TOUNAI GALLERY」の写真と映像による展示だ。「SAKI TOUNAI GALLERY」自体は物理的に存在しているのだが、それ自体は公開しないという。彼女にとって「SAKI TOUNAI GALLERY」は臓器のようなもので、「臓器」というのは自分の意思と関係なく存在している感じを表しているそうだ。自分の意識を超えた存在として作品が存在する。そういう存在であることを目指しているそうだ。
臓器であれば完成ということはなくずっと動き続けるものだが、「SAKI TOUNAI GALLERY」は一旦完成してるのでは?という質問には、「ひとつには絵画は、観る人にとって止まっているものではなく、観る人の感受性に影響を与え、生き物のように動きうることはあるからであり、もうひとつには何年かたって見直した時、自分はあの時、こんな風に感じていたんだということを作品が教えてくれる存在だから生き続けている。」と語る。
絵を描くことは、自分の存在意義そのもの
人類学や、仏教への関心へと話題を変えながら、彼女の制作への姿勢のようなものを聞いていくと、彼女の絵画(芸術)への取り組みは、人類が人種を超えて長い間、共通に持っている感覚の探究であり、そうでありながら自分が気づいていなかった感覚をもたらすような作品を創造することを目指している。そして彼女にとって芸術を続けることは修行のような、ある意味辛いことでありながら、「生きなあかん、描かなあかん」という自身の存在する意義そのものなんだということであり、それをとことん追究していくことを自分に課していることがわかった。
彼女は、これからもいくつもの「SAKI TOUNAI GALLERY」を作りながら、色々な人間の根本としての感覚を伝えるために日々制作を続けることだろう。今後の制作を楽しみに注視し続けていたいと思う。
*彼女のインタビューは、YouTube (ダイジェスト版)とVimeo(完全版)で公開しています。完全版は、有料設定ですが、これはアーティストへの支援とサイト運用費用として折半します。彼女の生き方に共感したら支援をお願いします。
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