僕の後悔と大谷秀和


先日、こんなツイートをした。



筆者の現役時代からずっと、大谷は憧れの選手だった。

一つ一つのプレー、もっと言えば体の向きやトラップの位置首を振るタイミング守備のポジショニング。全てに理屈を感じさせる選手。現在35歳にしてなお、成長を続けているのがプレーをみて分かる。

そんな選手がいることを知るたびに、胸が締め付けられる。

選手を辞めた時のnoteにこんな文章を書いていた。

後悔はない。
努力の才能が無くとも、やれるだけのことはやった。

この言葉、書いた当初は本気だった。

あの記事を書いてから1年4ヶ月。

サッカー観戦も再開したし、サッカーについて文章を書く機会も増えた。その経験を経て改めて今この言葉を考えると、半分は嘘だなあと率直に思う。

やれるだけのことはやった。それはおそらく本当だと思う。当時の自分の限界に挑んでいたし、手を抜いた意識もない。

だが後悔が無いかと言われれば、それは真っ赤な嘘だ。

後悔だらけだ。何も満足いくことのない選手人生だった。むしろプレーを続けた18年間を棒に振ったのでは無いかと、過去を振り返れば振り返るだけ強く感じている。褒められた記憶は18年間通して片手で数えられるぐらい。

当時の私は、思いつく限りの努力をした。

自主トレだって必死にやった。高校時代は4時半に起きて弁当を自分で作って朝から自主トレ。夏休みは毎日2時間のチームトレーニングに加えて最低2時間は自主トレしていた。当時から頭一つ抜けた存在だった鹿島の永戸、栃木の柳、FC大阪の附木よりも自主トレの量だけならば勝っていたと思うほどに。

ただ、それは無意味な時間だった。

正しいトレーニングを一つも行わず、自主トレを頑張る自分に酔うだけの時間。結果選手としての実績は全くなく、高校3年間を二軍以下でしか過ごさなかった。諦めずにサッカーの専門学校まで行ったけど、生産性という視点では無駄な費用と時間を費やした物だ。

私はサッカーという物を全く理解していなかった。それに気付いたのは21歳。あまりにも遅すぎる。

出来る努力は全部したが、それが全て無駄だった。引退して数年たってからそれに気付くのだから愚かと言うほかない。この探究心と客観性を現役時代に何故持っていなかったのか。

そんな悲惨な選手生活を大谷を見るたびに思い出す。もちろん同級生の永戸柳附木を見るたびにも思い出す。

努力は報われるかもしれない。正しい努力をすれば、の話。

筆者には正しい努力の理解も、探究心も足りなかった。

ついでに言えば21歳で気付いてからは怒られすぎて毎日胃を痛めながらトレーニングしていたが、その程度の軟弱なメンタルでは当然前向きなチャレンジなど出来ず、成長できぬままクビになった。今思うとこれももったいない。せっかく素敵なトレーニングが受けられていたのだから怒られても凹まずにやれば良かった。

まあ後から聞いたらスタメン組が同情するほどに怒られ続けていたみたいだから難しかったのかもしれないけど。

吉本監督は俺のことを死ぬほど嫌いだったと思うが沢山サッカーを教わった。ありがとう。絶対嫌われてるけど。陰で悪口言ってたって聞いたけど。

余談だが、元々筆者には戦力外と言うことは知らされていなかった。

チームの代表の計画では、本人には言わずにサッカーからeスポーツ部門に黙って配属し、新シーズンスタートと同時にそれを知らせる算段だったらしい。危ないことをしないでほしいものだ。サッカーが来年も出来ると信じ込んでいた自分が恥ずかしい。ちなみにeスポーツ部門なんて物は出来なかった。俺は何をする予定だったのか。

いずれにせよ、筆者の現役時代には何一つ得られず何一つ残せなかった。

今ブログを書いているのも、その後悔を誰かのサッカー人生に役立てて欲しいからだ。過去の自分を救うべく書いている文章は、きっと誰かの助けになる。そう信じてキーボードを死んだ目で叩き続けている。

ああいった自分の過去の失態を元に書く記事は、意外とメンタルが削られていく物だ。血反吐を吐くような気持ちで自分の駄目だったところ、引退してなお感じる未練と後悔と自己嫌悪を必死に読める体裁に整えて書いている。

皮肉な物で、Twitterでは現役時代の4倍ほどの人にフォローしていただいた。まあ現役時代は戦力じゃ無くてチームの中の異質なオモシロおじさんだったからね。仕方ないね。

ということを、大谷のプレーを見ながらふと思いましたとさ。

この記事はビールを飲みながら書いています。辛い気持ちは油とアルコールでごまかす。そうやって血反吐を吐きながら誰かのために、過去の自分のために文章を書く。

意外と、嫌いじゃない生活かもしれない。

だから誰かビール買ってください。



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