eSportsと呼ばれる分野について元アスリートが考えた話

昨今「eSports」と呼ばれる分野が盛り上がっている、と言われている。
ゲームを競技として競い合う形態は昔からあったものの、この言葉が叫ばれて以降、様々な企業や団体の活動が活発となった。

今回は、そんな分野についてアマチュアではあるが元アスリートが考えていることを文章としたい。


かつて選手時代、eSportsの大会に出たことがある。



この頃公言していたことだが、ウィニングイレブンのプレイヤーではなかった。
なのだが、急遽練習して臨むことになった大会だった。
結果は上記の通り惨敗。甘い世界では当然ない。


そして選手を引退して、今年2019年。
私はゲームに没頭している。
と同時に、プロゲーマーを取り巻く世界について見分を深めているところだ。

貧乏が故にゲーミングPCなど買えず、プレイするのはもっぱらPS4。

だが、確かに私は一般的な層よりは長くゲームをするのではと自覚しつつある。
土日は4時間以上ぶっ続けでやることも少なくないし、情報収集も人より積極的に行っている層だと分かり始めてきた。


現在私が注視しているのは、

「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」

通称「PUBG」と呼ばれるゲームだ。


YoutubeLiveでプロリーグが中継されていることもあり、毎回視聴してる。
つい先日、新たなスポンサーとしてガスト、サッポロビールという大手を獲得したこともあり、今後の展開が注目されるタイトルとなっている。


このPUBGはいわゆるバトロワ系、ラストマンスタンディングと呼ばれる生き残り方式のゲームだ。
私は現在PS4で「Apex Legends」という同じ方式のゲームに全力を注いでいる。こちらも今後注目のタイトルだ。そして私がこのゲームに挑む様子は今後どこかで文章にして残したい。


閑話休題。


さて皆様に一つ問いたい。

「eSportsとはなんぞや」

という話である。


ここからは私の考えなので、独断と偏見が混ざるかもしれない。
が、ぜひお読みいただきたい。


例えば、

「なにかeSportsのイベントをやりたい」
「eSportsが今ブーム」

という表現。

私はこの表現に違和感を覚える。

私の中で、eSportsという言葉は本来主語に成り得ない。
あまりにも多岐に渡りすぎるからである。

ゲームとは多ジャンルを包括する広大な世界だ。

国体にeSportsが採用されたという話が話題になった。
正確には国体に合わせて都道府県対抗選手権が開催されるわけだが、そこで採用されたゲームタイトルを見てみよう。


・グランツーリスモSPORTS
→レーシングゲーム
・ウイニングイレブン2019
→サッカーゲーム
・ぷよぷよeスポーツ
→パズルゲーム


と、全く異なるジャンルで開催されているのが分かるだろう。

さらに言えば同ジャンルでもゲームごとにスキルも個性も全く異なる。
ウイイレが得意だからといってFIFAが上手いとは限らないのだ。

ゲームというのは大枠、媒体の区分にすぎず、どのタイトルを競うのかというのが本来であれば話題になるべきなところを、eSportsという言葉で括ってしまうことに危機感を感じる。

サッカー関係の方にわかりやすく伝えるなら

・サッカー
・リフティング(フリースタイルフットボール)
・フットサル
・セパタクロー

この4つを、足でやるから同じようなものとカテゴライズされるようなものだと言えばいいだろうか。むしろ分かりにくいか。


実際、プロゲーミングチームは各ゲームタイトルごとに部門が設立されている。
スポーツクラブでいえばアルビレックスがサッカー、女子サッカー、バスケ、陸上等々展開しているようなイメージである。

ゲームというだけでファンを獲得することは難しい。
どんなゲームなのかという点が非常に重要になってくる。


ともかく、eSportsという言葉はテレビゲームだということを表すにすぎず、中身に注目しないブームは長く持たないということだ。


コンテンツの名称が先走る事は危険をはらむ。
現状は名称の独り歩きが金銭面、環境面において優位に働いているため、この間にコンテンツ自体の魅力を打ち出していくことが必要になるだろう。

この優位に働いた理由として、ネーミングのブランドにより、
「ゲームはシビアな競争の世界であり真剣勝負だ」
ということが認知されたのが大きいと考えている。
そのシビアさと緊張感は、コンテンツとして十分に価値がある。
今度はその中身を知ってもらうターンだ。


そしてここから、元アスリートがeSPortsについて思う点を。
更に個人的な思想になるので、話半分で読んでもらって構わない。


eSportsの難しい点は、すべてがバーチャルな画面上で行われることだ。
スポーツは肉体的に難易度の極めて高い芸当が見れるため、すごさが分かりやすい。
弾丸ミドルシュート、GKのスーパーセーブ、華麗なドリブルなどは素人目にも際立って見えるはずだ。

しかしゲームに関してはその点が難しい。
そのタイトルをプレイしている人にしか凄さが伝わらない、そんなジャンルが少なくないのだ。

なんでこのキャラクターでこんな動きができるんだ、というのはゲームをやった人には理解できるが初見ではなかなか難しい。
なぜこれがスーパープレイなのかを理解する、ある種のメタ的視点が要求される。

ここをなぜ肉体的スポーツだとクリアできるのか。
皆自分の肉体を操るプレイヤーといえるからだ。
自分の体を動かした経験があるからこそ、そのすごさが体感できる。
ゲームをやったことがない人に如何に凄さを伝えるかは喫緊の課題となるだろう。

そしてもう一つ、プレイヤー自身が視認される機会が非常に限られてしまう。
大会のハイライト等でスーパープレイが流れるとき、映像に残るのは画面上の表示だ。
感動、興奮を生み出したプレイヤー本人の姿がなかなか見られない可能性がある。

スターを生み出すのは、憧れだ。
憧れを生み出すためにこの壁をどう打ち破るか、それがカギとなる。



一方で個人的にスポーツよりゲームのほうが優れているという面も感じている。


一番大きいのは、誰もがプレイヤーにすぐになれるというハードルの低さだ。

Jリーグが好きという人の中で、日常的にサッカーをプレイしている割合は決して多くないと感じている。

全サッカーチームの頂点を決する天皇杯に参加しようと思った時、どんな障壁があるだろうか。

一から始めようにもチームの人数集め、選手登録の手間、肉体的なトレーニング等、超えなくてはならないハードルが高い。
もちろん気軽にサッカーを楽しんでほしいものだが、やりたいと思った時にインスタントに場がある事は少ないのが現実だ。


これがゲームであれば、ソフトを買うだけですぐにプレイヤーになれる。
今はネット対戦が家庭用ゲーム機でも主流であるため、対人戦もすぐに始めることができる。
皆様の周りにも、スプラトゥーンやスマブラ等を嗜んでいる方がいるのではないだろうか。
彼らはみなプレイヤーなのである。


そういった意味で、コンテンツを体験できるアクセスの良さは大きな可能性を感じる。


ただこれが難しもので、今プレイしていない人、純粋な観戦者を生み出すということがまた壁となってくる。
私が見た限りでは、基本的にプレイしているタイトルを観戦するというスタイルが多く、新たな裾野を広げるという展開に苦しんでいるのではないかと思える。


というあたりが、スポーツの世界の端くれを経験したものとして感じたことである。

取り留めなく書いた文章なので、大きな結論というかまとめは書けなかったが、これが私から見た景色である。
なまじ両方をかじっていたため、対比することで架け橋としてのきっかけになればと思う。

eSportsという言葉が形骸化したときが、きっと本番なのだろう。



そしてここからはあとがきのようなもの。



今回から、あとがきをつけてみます。

毎記事100円で読めるようになっております。
理由等詳しくは別記事にてお知らせいたしますので、投げ銭としてお考えいただければと思います。

御礼として、noteというコンテンツを書く際、その記事ごとに考えていることなど多少脱線した話をお読みいただければと思います。
コンテンツとは別途書いているため、口調も砕けたものになります。
もしよろしければ、ぜひお読みください。



今回は、なぜゲームとサッカーとを絡めたかというお話を。


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