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【今さら聞けないカメラの話】絞りとは?

今回は今さら聞けないカメラの話。カメラで撮影するにあたりとても大事な基礎知識「絞り値(F値)」の話です。そもそも絞りとは何でしょうか?カメラは撮影する際にレンズを通して光を取り込んでいますが、そのレンズから入る光の量を調整する機能が「絞り」です。この絞りはレンズの内部に備わっており、開放したり絞って狭くしたりして光量を調整する仕組みです。
「絞り」には二つの働きがあります。まず一つは露出量のコントロールです。開放の状態であれば多くの光を取り込むことができ、また絞りを絞ることで光の量を少なくします。それにより明るくしたり暗くしたり露出量をコントロールすることできます。そしてもう一つは「ボケ」の表現です。絞りを開放することによって、被写界深度(つまりフォーカス、ピントが合っている範囲)を浅く(限定的に狭く)したり、深く(ファーカスされている部分を広く)したりすることができます。上の「写真-1 〈 写真・左:F1.7 (絞りを開放) / 写真・右:F16 (絞りを絞り込む) 〉」をご覧ください。写真-1の写真・左は絞りを開放して撮影した写真です。手前のカメラだけにピントがあっていて範囲が狭く背景がボケている、つまりは被写界深度を浅く撮影したものです。図-1の写真・右は、絞りを絞り込んで撮影した者です。手前のカメラにフォーカスを合わしているものの背景はそれほどボケていない、つまりは被写界深度が深くピントがあっている範囲が広い写真です。このボケの表現により、主役、主題をクローズアップし引き立てたり、奥行き感を演出したり多彩な表現が可能です。


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〈 写真・左:F1.7 (絞りを開放) / 写真・右:F16 (絞りを絞り込む) 〉
カメラ:LUMIX GH5 + レンズ:LEICA DG SUMMILUX 15mm/F1.7にて撮影


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〈 赤い罫線で囲んだ部分がF値です。F値=1.4のレンズです。 〉
レンズ:LEICA DG SUMMILUX 12mm/F1.4


レンズのF値って何?

F値とはさきほど説明した「絞り」を数値化したものです。F値のFとは英語のFocal(焦点の)を意味する言葉の略です。例えばF値1.7のレンズの場合は、f=1.7は絞りを全て開放した状態。f=16は絞りを絞り込んだ状態となります。F値の数字が小さくなればなるほど多くの光が取り込めるレンズで、ボケ量も豊かに表現が可能です。レンズ選びの一つの重要な指標として「明るレンズ」であることが理想ですが、この明るいレンズとは具体的に言うと、F1.2やF=1.4、F=1.7、F2.8のようにF値の小さな数字のレンズのこを言います。多くの光を取り込め被写界深度が浅く取れる写真は表現の幅も広がり、暗所でも撮影にも大変有利です。今からレンズを買おうと検討している方はこのF値を確認して買われると良いです。
上の写真-2では、私の使っているマイクロフォーサーズのレンズ「LEICA DG SUMMILUX 12mm F1.4」というレンズです。レンズのF値は、写真-2の写真・左のようにレンズに記載されている「1:1.4」と言う箇所で確認できます。このレンズはF値1.4です。このレンズは、写真-2の写真・右のように絞りリングで絞りを調整できます。写真では2.8に設定しています。


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絞り(F値)を開放したり、絞ったりすることで光量をコントロールできます。つまりは開放時はシャッター速度が速くても明るい写真がとれます。絞り込んだ状態では同じシャッター速度では光を取り込む量が少なく暗い写真になります。絞り込んだ状態で開放時と同じくらいに明るい写真を撮るにはシャッター速度を遅くとれば撮影することも可能ですがブレやすくなります。


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〈 赤い罫線で囲んだ部分が焦点距離です。焦点距離12mmのレンズです。 〉
レンズ:LEICA DG SUMMILUX 12mm/F1.4


ボケに重要な要素のひとつ、焦点距離とは?

焦点距離とは、ピントを合わせた時のレンズから撮像素子(センサー)までの距離のことです。私の使っているマイクロフォーサーズのレンズ「LEICA DG SUMMILUX 12mm F1.4」を例にあげてみましょう。マイクロフォーサーズの場合は撮像素子(センサー)のサイズがフルサイズ(35mm判)のカメラとは異なります。ちょうど2倍にかけた数字がフルサイズと同じ焦点距離になります。このレンズ「LEICA DG SUMMILUX 12mm F1.4」の「12mm」部分が焦点距離を表しています。写真-3の写真・左のレンズに記載された「12」という数字が焦点距離にあたります。写真・右のようにまたレンズ側面にも「12」と大きく書かれています。マイクロフォーサーズのレンズ12mmはフルサイズ(35mm判)換算では焦点距離が24mmのレンズとなります。
下の図-2は画角と焦点距離についてあらわした図です。画角を広くするには焦点距離の短いレンズを選びます。また反対に焦点距離が長いレンズでは画角が狭くなります。


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〈 画角と焦点距離 〉
 ( 図・左:画角が広く焦点距離が短い/右:画角が狭く焦点距離が長い。 )


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〈 写真・左:焦点距離の短い広角側12mmで撮影。右:焦点距離の長い望遠側60mmで撮影 〉
カメラ:LUMIX GH5/レンズ:LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm/F2.8-4.0


焦点距離が短い場合(広角側)と長い場合(望遠側)では、ボケやすさが違う?

焦点距離が変えることができるマイクロフォーサーズ標準ズームレンズ「LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm/F2.8-4.0」で試してみましょう。このレンズの場合は焦点距離12mmが広角側で60mmが望遠側です。上の写真-4をご覧ください。写真・左が焦点距離が短い広角側の12mmで撮影したもの。写真・右が焦点距離が長い望遠側の60mmで撮影した場合です。同じような構図の写真でも背景のボケ味に違いがあることがわかります。望遠側60mmでF値4.0です。広角側12mmの場合も同じくF値は4.0です。同じF値4.0で焦点距離が長く望遠側の方が豊かなボケを得られていることがおわかりになりますよね。ポートレート写真のように背景を豊かにぼかしたい時は、焦点距離の長めのレンズを選ぶとボケを得られるのでレンズ選びのポイントとなります。


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〈 カメラと被写体の距離を近づけ、被写体と背景の距離を長くとる 〉


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〈 左:カメラと被写体を近づけ背景と距離を長く取った場合。右:カメラと被写体を遠ざける 〉
カメラ:LUMIX GH5/レンズ:LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm/F2.8-4.0


ボケ表現のもう一つのテクニック。被写体を背景から遠ざけること。

まだありますボケ表現のテクニック。それは被写体を背景から遠ざけることです。カメラと被写体を近づけて、なおかつ被写体と背景は距離を保ちます。そうすることで背景に豊かなボケを得られることができます。屋外の方が背景との距離をとれるので、屋内よりもさらにボケを得ることができるでしょう。
というわけで今回は絞り(F値)とボケの関係について解説してきました。絞り(F値)とボケについてご理解いただけたのではないでしょうか。まだよくわからない方は、絞りを開放したり絞ったり、異なる焦点距離で撮影したり、カメラと被写体との距離、被写体と背景の距離など意識しながら撮影していき実戦で覚えていけば次第にわかってきますよ。
豊かなボケはスマホや安価なコンデジが苦手とした撮影の一つです。F値の小さな明るいレンズを取り付けた一眼レフがもっとも得意とする表現です。豊かなボケで美しい写真を撮影し、インスタ映えする写真をどんどん撮りましょう。私も腕を磨いて豊かで美しいボケのある写真を撮りたいと思います。それではまたお会いしましょう。


今回使用したカメラとレンズはこちらでした。


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