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デザインとお笑いには共通の『間』がある。

はじめまして、グランドデザインで執行役員兼プロデューサーをやっている辻野です。
デザイナー → アートディレクター → クリエイティブディレクターを経て現在はプロデューサーとして仕事に携わっています。


飲みニケーションを得意としますが最近はライブ配信を見たり自分でも配信してみたりして、今まであまり関わることの無かった業種の方々ともコミュニケーションをとらせていただいております。普段デザイン業務に携わる私たちが、当たり前に思っている事でも文字にする事で発見や共感が得られるものになったりするかと思い今日は「目には見えないけれど、大切な役割を担うデザインとコミュニケーションの余白」についてまとめてみようと思います。

お笑いの街大阪で生まれ学生時代を関西で育った私は、日常的に会話の間合いや余韻その場の雰囲気や空気感なんかに敏感に暮らしていたので、その場のノリやタイミングで発する言葉がその場を盛り上げたり盛り下げたりするという間合いの影響力について関心がありました。

デザインの仕事につくようになり、なかなかデザインがうまくまとまらなかった時、先輩の教えによって間合いや余白の概念に気が付くことができ、コンテンツのマージンや距離感、メリハリのある余白の作り方で情報が整理されて見えたり、デザイントーンに影響を与えたりする事でデザインのスキルが1段回上がった記憶があります。

そんな余白や間と言った一見何も無い物が間に有る事で、本当に目立たせたい物や伝えたい事を浮き上がらせる余白や間の大切さついて自分の感じてる事をまとめてみたいと思います。

余白の美

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私たちが余白がある事で美しさを身近に感じる事のできる例は、高級な料理とお皿の関係があるかと思います。こちらのお皿に盛り付けられている料理はどちらも美味しそうなのですが、大きいお皿の方がお肉の周りにあるソースや付け合わせまでも綺麗に美しく見せることができています。

 
余白とは創作者が見せたいものを目立たせるための主張しない名脇役といったところでしょうか。しかしこれは上品なオケージョンで雰囲気よく食事をする際には良いのですがお腹を空かせた学生が見たら左の方がお皿いっぱいこぼれるほど料理が盛り付けられているので食欲を掻き立てられて美味しそうに思う、と言ったケースも出てくるかもしれません。広告的には見せ方の工夫の一つとして用途に応じて使い分けるのが良いでしょう。

余白と注目度

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注目度による興味喚起について考えてみましょう。鉄板に穴が1つ開いている左のビジュアルは、象徴的で覗いてみたくなる衝動に駆られますが、周りに同じような穴が無作為に並んでしまう事で象徴的な印象が下がってしまい穴に対する注目度は下がってしまいます。余白には目的のものを象徴的に見せ注目度を上げる効果が期待できます。


熱量と間

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象徴的に見せることが必ず良いかというと場合によっては変わってきます。左のSALEというテキストは周りに余計なものは無く象徴的で読みやすく目立っています。右のSALEは余白もなく文字も読めないような状態にあるのですが印象としての押し出しの強さや熱量が伝わってきます。

見比べると左のSALEは今日は買わなくてもまたの機会にしても損をしたような気分にはなりませんが、右のSALEは今日買わないと何んだか損をしそうなくらいの気分になってしまいます。余白は時にギチギチに詰めてしまうことで熱量を上げて販売に貢献するようなデザインに変化することができます。


コミュニケーションの余白とは

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平面表現での余白は前述で上げたように効果的に使うことによって伝えたい物事を目立たせたり整理したりする事がわかりました。では私たちの日常において余白とは会話の中に間という形で存在しています。

大切な事を言う前に一呼吸おいて話す事で聴衆の集中力を高めたり、テンポよく適切なタイミングで突っ込む事で漫才のパフォーマンスを何倍にも高めて面白い話を聞かせることができます。


人との距離感

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人と人との距離にも余白は存在します。対面で座ってテーブルのマージンがある状態より、横に座って体の距離が近い方が仲良くなったり、仲間意識が芽生えたりするかと思います。ミーティングの時に円卓を囲んで話し合いをしたり、食事の時に円卓で仲良くなったりするのは相手との距離を物理的に詰めることによって、敵を作らない工夫と言えるでしょう。

コミュニケーションにおいてマージンをいかに取り払うかが相手との親密度をあげるポイントになり、会話の間合いを工夫することで好感度が上りより良い関係が築けるかもしれません。



今回は間合いとデザインについて思っている事をまとめてみました。何も無いと思っている事が実は重要な役割があるという事に関して、非常に日本的な引き算の美学を感じます。コミュニケーションにおいても間合いや駆け引きタイミングやテンポと言った目には見えないが存在するものが重要な役割を担っています。共感していただけたり参考になれば幸いです。


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