文献要約_サンプル文書

半側空間無視の概要

Chen P, Hreha K, Kong Y, Barrett A.M. Impact of Spatial Neglect on Stroke Rehabilitation: Evidence From the Setting of an Inpatient Rehabilitation Facility. Arch Phys Med Rehabil. 2015;96(8):1458-1466.
要約
この論文の目的は、半側空間無視がリハビリテーションの転帰、転倒リスク、退院に及ぼす影響を調べた。
評価は、Kessler Foundation Neglect Assessment Process(KF-NAP)を用いて測定している。
被験者は108人でそのうち、74人(68.5%)が無視症状を呈していた。また、右半球損傷患者は74人でそのうち、57人(77%)が無視症状を呈しており、左半球損傷患者は34人でそのうち、17人(50%)が無視症状を呈していた。
空間無視の重症度(KF-NAPスコア)が高いほど、入院時および退院時のFIMスコアが低かった。また、KF-NAPスコアが高いほど入院期間が長く、FIMの改善率が低かった。さらに、重度なほど自宅に退院できる確率は低かった。


Li K, Malhotra P.A. Spatial neglect. Practical Neurology. 2015;15(5):333-339.
要約
この論文では、半側空間無視の概要、神経機構、治療法が簡単に述べており、本サロン動画では、この論文に記載してある半側空間無視の見え方についてのみ抽出して使用している。治療法では、現在提唱されている治療法は無視症状が改善する可能性があるが、すべての治療法が効果があるわけではなく、普遍的ではないことを述べている。


Karnath HO, Rorden Christopher. The anatomy of spatial neglect. Neuropsychologia. 2012;6(9):2166-2171.
要約
この論文では、無視患者の頭部や視線の位置、急性期と慢性期での損傷領域の大きさについて述べており、本サロン動画では、この中の頭部の位置と視線の位置について抽出して使用している。また、本論文では半側空間無視の中心病巣(側頭-頭頂接合部、上・中側頭皮質、腹側前頭皮質)やそれらを結ぶ線維(上縦束や弓状束)についても述べられている。


Tsujimoto K, Mizuno K, Kobayashi Y, Tanuma A, Liu M. Right as well as left unilateral spatial neglect influences rehabilitation outcomes and its recovery is important for determining discharge destination in subacute stroke patients. Eur J Phys Rehab Med. 2020;56(1):5-13.
要約
この論文では、無視がある患者とない患者でFIM(運動項目、認知項目、合計)と入院期間について比較しており、無視がある患者は運動項目、合計で無視がない患者と比較して有意に低く、さらに入院期間も有意に長いことが述べられている。さらに、無視がある患者を自宅退院群と転院・施設入所群に分け、入院時と退院時でCBSスコアを比較している。自宅退院群は退院時のCBSスコアは入院時のCBSスコアと比較して有意に改善していた。一方で転院・施設入所群は、有意差は認められなかった。自宅へ退院できる、できないの要因はさまざま挙げられるが半側空間無視の有無もその要因の1つである。

視覚

Battelli L, Pascual-Leone A, Cavanagh P. The ‘When’ pathway of the right parietal lobe. Trends Cogn Sci. 2007;11(5):204-210.
要約
When経路は右半球のみに存在すると言われている経路である。この経路は物体がいつ出現したか、いつ消えたかを判断する役割がある。つまり時間情報を使って物体を識別することに特化している。この経路は一次視覚野からMT・MST野という運動視に関与する領域を介して角回、縁上回、側頭-頭頂接合部や上側頭回に伝達される。


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