ジャーナルクラブ_サンプル文書

机上での検査において、姿勢を整えること(体幹左回旋などではなく、対称性の端座位姿勢に整える)で、検査結果がよくなるといった論文はありますか?

Schindler I and Kerkhoff G. Head and trunk orientation modulate visual neglect. NeuroReport. 1997;8(12):2681-2685.
体幹と頭部が正中位で検査結果が良くなるといった論文はないと思います。
一方で、体幹や頭部が左回旋位の場合は無視がないと判断してしまう、または検査結果が良くなる可能性があります。下記の論文で体幹または頭部が左回旋位の場合にベースライン(頭部・体幹正中位)と比較して、Line bisection taskの結果が正中よりも左側に偏移し、音読課題でエラー数が減少したと述べられています。つまり、本来は半側空間無視があるにも関わらず、無視がないと判断してしまう可能性があります。

論文の要約

本論文の目的
頭部と体幹の向きが半側空間無視評価の結果に影響を及ぼすかを検証した。

方法
・被験者は右半球損傷で半側空間無視を有する5名、右半球損傷で半側空間無視がない5名、健常者5名であった。
・課題は図1の姿勢でコンピューターによる線分二等分線と音読課題を実施した。

スクリーンショット 2020-11-22 19.56.01

結果
・図2は線分二等分線の結果を示している(A:半側空間無視患者、B:右半球損傷の無視がない患者、C:健常者)。

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半側空間無視患者において、ベースラインの結果と比較して、頭部および体幹が左回旋している時は有意に左側に偏移した。
半側空間無視がない右半球損傷患者は有意差は認められなかいが、全体的に左に偏移していた。

・図3は音読課題の結果を示している(黒棒:半側空間無視患者、白棒:右半球損傷の無視がない患者、縦軸:エラー数)。

スクリーンショット 2020-11-22 19.56.49

半側空間無視患者において、ベースラインと比較して、頭部および体幹が左回旋している時は有意にエラー数が減少した。


まとめ
半側空間無視患者は、頭部や体幹のポジションによって検査の結果が異なることが明らかになった。
半側空間無視の評価時に環境設定にも着目することも重要である。

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