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【場末のアート分析】〜ハシヅメユウヤ編〜

プロフィール

ハシヅメユウヤ
1983年生まれで出身地は岡山県。藤子・F・不二雄を彷彿とさせるキャラクターのポートレート作品を得意とする。現在では、日本だけでなくロンドンや香港など海外にも拠点を広げている。

代表作品

eyewater

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コメント

ハシヅメユウヤ氏を有名にしたのは東京スカパラダイスオーケストラの「ちえのわ feat.峯田和伸」と言う作品のジャケットのアートワークが挙げられます。

最終的には上記リンクのようなシンプルなものになっていますが、元々は代表作のeyewaterの涙を流す女の子がヘッドフォンを付けているイラストでした。
しかしこれが藤子・F・不二雄の作品のパクリではないかと言うことで騒動化し、著作権問題になることを懸念したアーティスト側がアートワークを差し替える結果となりました。

これ以降もハシヅメユウヤ氏にはどうしても著作権侵害のイメージがつきまとい、また現在も作風自体を変えていないため界隈での知名度や活発なセカンダリーマーケットでの作品の取引量の割りにアート系の雑誌などメディアへの露出が少なめであることが特徴です。

作品の価格推移

先述の「ちえのわ feat.峯田和伸」の発売日は2018/02ですが、そのあたりからハシヅメユウヤ氏の作品価格も順調に伸びています。

例えば、F3サイズ(273x220mm)程度のジクレー作品でもフリマサイトなどのセカンダリマーケットでは10万円を超えることも多くなってきており、価格帯としては最早、若手の新人作家の域はとうに越えていると考えられるでしょう。

アーティスト側もセカンダリの順調な伸びを意識してか、プライマリ価格もどんどんと高額になって来ています。

2020年だけをとってみても9月に天王洲で開催されたartTNZではF3サイズのジクレー作品が税込み44,000円でした。

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これが、10月に香港で開催されたeyewater展では3,800香港ドルとなっています。(1香港ドル=13.5円で計算すると51,300円)

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続いて11月にロンドンで開催されたeyewear展では同じF3サイズのジクレー作品に488ポンド(1ポンド=136円で計算すると66,368円)の価格付けがされています。

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確かにセカンダリマーケットで扱われている価格よりは未だ安い印象はありますが、それでもプライマリ価格が急激にキャッチアップしていっているような感じを受けます。

投資対象として買いか?

では、ハシヅメユウヤ氏の作品は投資対象としては買いでしょうか?

個人的な結論としては、"短期的には買い。長期的には売り"です。

理由を説明します。

現状、ハシヅメユウヤ氏の作品はプライマリでの取引価格の方がセカンダリの価格より安く、またセカンダリでの取引価格も高額化していく傾向があります。そのため、今プライマリで作品を購入した場合はセカンダリでの価格が割れることはあまり考え難いです。これが短期的には買いである理由です。

一方で長期保有に否定的なのにも理由があります。それは、ハシヅメユウヤ氏が藤子・F・不二雄のトレース作品をメインで扱っている点にあります。
今後、知名度が増すにつれて著作権侵害による訴訟リスクも高まっていくでしょうし、東京スカパラダイスオーケストラの例もあるので作品をコマーシャル的に何かの商品のアートワークとして利用することも難しいでしょう。
そう考えると現在の作風での成長は限界が近づいており、今後何かしらのブレイクスルーをしないと、これ以上の伸びは期待できないでしょう。
「ヘンナーベンダー -人力顔面絵描販売機-」など他の作風を模索している努力は見受けられますが、やはりeyewaterを上回る作品は出てきていない状態です。

逆に言えば今後、eyewaterを超える作品を発明できれば長期的な伸びも期待できるアーティストだと思います。

最後に

最後まで読んで下さりありがとうございます。これで今回の記事はおしまいです。スキやコメントを頂けると今後の励みになります!


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