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段位戦牌譜検討:いもーけんさん


牌譜URL:https://game.mahjongsoul.com/?paipu=jljtom-tprv251v-c0b0-6hfk-f9hp-cpjjulimzyov_a469468806_2

こんにちは、地獄精神科です。
今回のnoteは東空荘、第10シーズン準優勝者にして現管理人「いもーけん」さんの牌譜検討です!

いもーけんさんはサンマ強者であり、段位はなんと魂天!
一方で、四麻の実力も文句なし。人格面でも面倒見の良い紳士と文句のつけようもない方です。
解像度の高い自己流で堅くまとまった麻雀にデジタルの知識を簡略化することでしっかりとモノにして肉付け、
安定した手順と効率を実現した麻雀。デジタルで綺麗にまとめながらも量産型デジタルではない実力派の打ち手です。
多くのリーグや大会で結果を残され、サンマ四麻ともにいもーけんさんに師事している方もTL界隈にいらっしゃいます。
今回の検討のルール・東空荘ルールのシーズン大会でも上位争いの経験を複数回されています。
今回の牌譜も判断が難しく学びが多い素晴らしい題材。
この牌譜を選択できること自体から麻雀の実力をうかがい知ることが出来るでしょう。

提供いただいたこと、感謝であります。

今回の検討ルールはビンタ東風・東空荘ルールの東風戦!
以下にルールを詳説します。

※大雑把に理解したい人は、普通のトップ取りだが、25000に乗るか乗らないかで2着順以上の収支が動くルールだと思ってください!

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1-3、25000持ち30000点返し(オカ2万点)の本場1500上がり連荘の東風戦に場に6万点のビンタ(一人浮き・沈み±6万点、二人浮き・沈み±3万点、三人浮き・沈み±2万点)、トビの1万点オール払いが加わったものです

例えば
40000 20000 20000 20000 の
トップ 40000だと収支+10、ウマ+30、オカ+20、一人浮き+60の+120
二着 20000だと収支▲10、ウマ+10、三人沈み▲20の▲20となります

40000 35000 30000 -5000 の
ラス -5000だと収支▲35、ウマ▲30、一人沈み▲60、トビ▲30の▲155
三着 30000だと収支0、ウマ▲10、三人浮き+20、トビ+10の+20です

クビ確保で収支が50以上変わるので、オーラス及びラス前の25000~29000までの状況に応じた押し引きが激アツな大変面白いルールとなっており、個人的には引き出しの数が収支に直結しやすく最もやることが無くならない最高のルールだと思っています。
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前回同様、以下の項目を用いて検討させていただきます。前回既読の方は読み飛ばしも可です。

◇「差の大きさ」:
超微差・微差・微差+α(微差よりは大きいが、中差というほど大きくない)・中差・大差 などの選択の差の大きさを示します

◇「成績影響度」:
上記選択による成績への影響の大きさを示します。差の大きさに比例しやすいですが、選択は明らかでも成績影響がないものや差は大きくないけど重要なものも存在するので必ずしも相関しません

◇「key point」:
この検討におけるキーポイントを短文で示しています

◇※追伸※:この状況ではそうではないが、別ルール別ケースでの選択の違いを述べます


では早速やっていきましょう!


◆◆◆東1局0本場南家3巡目ドラ發

選択:打3p
推奨:打1m

差の大きさ:微差+α
成績影響度:★★★☆☆
key point :ヘッドレスのヘッドの素はいずこ

親の顔より見た、役牌鳴いてのヘッドレス。守備力を担保した鳴きを意識すると、ターツは足りているので3pあたりを切って親の現物の1mを残したくなります。
しかし上がるために5ブロック(対子1つと面子4つ)必要であることを考えると
ドラを対子以上で使う前提であれば5ブロックありますが
ドラを切るパターンならばまだ4ブロックしか出来ていないのでブロック数が足りていません。
3pにくっつくことでこれを両面ターツとして使うと、2367sの重なりでヘッドを作れるパターンが増えるのです。まだ最序盤の親だけの現物1枚よりは価値があると言えるでしょう。
ドラの重なりやドラ単騎を見る意味が相当に強いのでここでは微差に毛が生えた程度ですが、ヘッドを作るためにはターツが多くあったほうが有利なのは意識しておきたいところ。

※追伸※
ドラなしなら中差・★4程度はあるだろうか。その場合打者は3pを残しそうに思う。
もう一つ両面ターツがあるなら1mを残して3pを切っても大丈夫です。


◆◆◆東1局0本場南家7巡目ドラ發

選択:打發
推奨:打發

差の大きさ:大差
成績影響度:★★★★★
key point :ドラの離し

難易度は高くないが重要な選択。打点や絞りに義務がなければ完全余剰牌がなくなったところでドラを離すのが良い。危険度から言ってもそろそろ切り時である。初心者から中級者だとドラの不自然な引っ張りをしていることがあり、その一例がこの時点を超えたドラ残しである。このあたりを間違えないのはさすがの打者である。

※追伸※
何らかの事情で絶対にドラを使わなくてはいけないなら58m切りになる。



◆◆◆東1局0本場南家12巡目ドラ發

選択:打6s
推奨:打6s

差の大きさ:中差
成績影響度:★★★★☆
key point :聴牌が濃厚かつ危険牌が非常に絞られるレアケース

基本的に鳴いて2000点聴牌、異論なく両面に受けるケースである。
しかし、状況を良く見てほしい。
下家は6mを先に切っての246mの3mチー。かなり聴牌率の高い鳴きであり、マンズは9mを用いたシャボ以外はかなり否定的。ピンズは147p8p6pが通っており、25pも1p早切りと4pツモ切りからそこそこ薄い。ソウズは47sが間四ケンの浮き上がる形で、25sが対抗といったところ。もろもろ考えて見ると7sは3割を超えようという放銃率の牌である。
下家の打点は余程あって3900で、致命的な振り込みにはなりにくい。
「オリと両面聴牌の比較なら7sを押しても構わない」が、「シャボ4枚と両面6枚との聴牌同士の比較であれば7sを止める価値が生まれる」であろう。結果的に下家には8sの先切りが入っていてカン7sというレアケースではあったが放銃を回避している。
 注意力を欠いていたならトップクラスの打ち手であっても見逃し兼ねない、結果も伴った超好判断である。


◆◆◆東1局0本場南家17巡目ドラ發

選択:打8m
推奨:打8m

差の大きさ:中差+α
成績影響度:★★★★☆
key point :最終盤・対河の強い親リー

8筋通った片無筋。135からのカン4sパターンや47s4枚持ちから来る危険度UPを加えると放銃率13%ほどの牌である。残っている筋は多いが振ると暫定一人沈みになる親リーの一発目ということもあってオリが安定すると考えられる。また前項で述べたように下家にも大変危険である。合計放銃率は40%に迫る牌であると言って良い。上がり連荘なので親が流れることから、次局は供託争奪戦の親番が想定されやや苦しいが、背に腹は変えられない

※追伸※
もし、両面聴牌であったなら、もう少し判断は僅差となる。親の現物に待ちがあるか場況がよくて巡目がもう少し早ければ押して良いだろう。
もし東3局であれば押す価値が存在する。特に残りツモが更に少なければ鉄押しの域になるだろう。ビンタ麻雀で流局オーラス24000と26500の差は非常に大きい。もしそのケースで放銃し、25000原点が二人いる一人沈みオーラスとなったなら、ラス目オーラスベタオリでの一人沈み回避も視野である。


◆◆◆東2局1本場東家5巡目ドラ1s

選択:スルー
推奨:4mチー

差の大きさ:大差弱
成績影響度:★★★★★
key point :東風の2500供卓は相当に強い。親番も後押し

形はまあまあと言ったところの5巡目3シャンテン。平場半荘の散家ならタンピンを目指して手をこねるのも悪くはない。(1m2枚切れからチーも良さそうだが)
しかし現在は東風の2500供託でやや沈みの親番。被ツモされるとラス目でラス前になることからも全力で上がりにいかなくてはならない。5sくっつきの1メンツを見ればブロックは足りている。4mは鉄チーの域と言ってもよくこのルールにおける成績への影響は非常に強い。

※追伸※
この4mスルーは東風であれば鳴いたほうが良いが、単純順位戦の平場であれば見逃したとしてもスタイルの問題で済む程度のものである。しかし、ルール特異的に大差に近くなってしまっている。やはり2500供卓は大きいのだ。
このような456の浮き牌を1ブロックと見る手順は遠いクイタンで超頻出の最重要手順である。東風の刹那に生きる者の命綱と言うべきだろう。



◆◆◆東2局1本場東家11巡目ドラ1s

選択:打4p
推奨:打4p

差の大きさ:中差
成績影響度:★★★★☆
key point :無難な5ブロックと意志のある6ブロック

麻雀は頭1つと面子4つの5ブロックを作るゲーム。このようにターツが6つ(6ブロック)となった時、通常は安牌持ちや急所のフォロー牌の増加がある5ブロックに受けるのが基本である。6ブロックに受けるのであれば何らかの理由があることが多い。
さて、ここでは6ブロックに受けたわけであるが、理由はダブ東1枚切れ頭の弱さのフォローである。東が死んでいた場合、カン8mのカンチャンターツがあることで東または5s対子落としの際ピンフやリーチ手順に移行しやすくなるのだ。5ブロックで残した場合の東ポンの後のポン材である4pは1枚切れ、5sは赤があって鳴きにくいのも強く6ブロックを後押しする。
打者の実力が仄見える、脳死イージー牌効率ではない一打である。

※追伸※
東が0枚切れかつもう少し序盤で東鳴ける見込みがあるのなら、5ブロックが優れる。
14mがかなり弱いので、8mが先に埋まっても23m落としが安定する。ピンフよりも東待ちのリーチルートが多いであろう。


◆◆◆東2局1本場東家12巡目ドラ1s

選択:6mチー打9m
推奨:6mチー打9m

差の大きさ:大差
成績影響度:★★☆☆☆
key point :鳴きによる良形化・危険牌の処理

カン8mを58mにするシャンテン数の変わらない良形追求の鳴き。それ自体は6ブロックを維持しているだけで79mをどうせ切ると考えるなら必要性の高くない鳴きである。
しかし、大切なのは上家が手出し6mであること。4mから他の手出しを挟んで切っており、6m周囲(特に58m)の危険度が爆上がりする鳴きである。よって7mを使いつつ58mの受けを作る6mチーは将来の危機回避のために大きく有用な鳴きであると考えられる。
頻出ではないため成績への影響はしにくいがが非常にこの場での影響力が強い、打ち手の繊細さが伺える一打である。


◆◆◆東2局1本場東家13巡目ドラ1s

選択:ポン打5p
推奨:ポン打3m

差の大きさ:中差弱
成績影響度:★★★☆☆
key point :山読みのターツ選択

23m67m45pのターツ落とし選択。前項の理由で危険牌であり危険牌受けのある67mを落とすのは不利であり、枚数でもここの受けが一番多い。「36p」と「14m」の選択となる。
出上がり前提だと端の待ちが優れていることが多い……のだが、今回は「36p」は3pが2枚、6pが2枚切れた4枚
「14m」は1mが3枚、4mが1枚切れた4枚
で枚数は均等。1mは少なく端待ちの優位性はかなり崩れている。
「36p」は4pの四枚見えからも3pの良さが非常に強い。6pも悪くない。
「14m」は1mは残り1枚で持たれていない保証なし、またこのような1mがバラバラと切られた状態での4mは山にいないことがかなり多い。特に序盤において1mを切って4mを残すパターンが多いからである。
以上のことから36p待ちを推奨したい。


◆◆◆東2局2本場東家4巡目ドラ發

選択:打6s
推奨:打9p

差の大きさ:中差
成績影響度:★★★☆☆
key point :瞬間のチートイ受け

チートイというのは基本的に目指すべきではないが、打点による必要性が生まれたときや、大きく効率を失わずに狙えるときは狙っておくのが良いだろう。聴牌してしまえば強い。
今回の場合優秀なポン材(8p2s中)があり、9pのフォローを失うことによる効率ロスは少ない。
打者がサンマ強者であることを考えると、この選択はサンマからヨンマに適応する過程でチートイの比重を下げたことによる反動である可能性もあるだろうかと考えられる。
またこのような面子手チートイの天秤においてこの局面における2pのように単騎即リーして良い牌が1~2種含まれることはチートイ受けの価値を高めることも覚えておいて損はないだろう。


◆◆◆東2局2本場東家11巡目ドラ發

選択:打北ダマ
推奨:打北ダマ

差の大きさ:中差弱
成績影響度:★★★☆☆
key point :ドラポンと供卓と

まず、平面で言うと11巡目の親役牌高めイーペーはだいたいリーチでいい。しかし、そうならない理由を探すとこの局面・このルールにおいてはいくらでも見つかるであろう。
供卓3000、上家のドラポン。31400と言う放銃を避けていれば直近のクビ確保は安全な点棒。一方で満貫級を放銃した場合はラスも圏内の薄氷である。オリられる自分の手牌も考えるとこれはダマを選択したい。
リーチで全員のクビを切る選択もこのルールにおいてはけして弱くはないので中差を下回る程度の差とそこそこの成績影響度である。

※追伸※
このような時のリーチ判断は上がった場合と上がれなかった場合、振り込んだ場合の25000からの距離が判断に直結する。
これをダマで上がって25000からの距離が不十分(30000以下)なようなら危険を冒してでもリーチをかけるべきであろう。



◆◆◆東2局2本場東家15巡目ドラ發

選択:打2sオリ
推奨:打2sオリ

差の大きさ:中差弱
成績影響度:★★★★☆
key point :25000を大きく超えたら守れるし守るべき

先程と同様の状況で終盤で上家満貫の3000付けへの危険牌。テンパイが確定的なほどでもなく、スジの残りは少な目。放銃率はそこそこ程度であるが、ダマにしていたならオリなくてはいけない牌であろう。このルールで31000点ほどからの致命的振り込みはそれほどに罪深い。


◆◆◆東3局3本場北家0巡目ドラ6s

選択:スルー
推奨:3mチー

差の大きさ:大差
成績影響度:★★★★★
key point :この状況の4500供卓は上がりトップのようなもの
この局で起こりうる結果を考えてみると、全員の上がりでトップを厳しくされ、放銃した場合はラスが見える。自分の上がりはトップを相当引き寄せることができる。上がり競争局と言って差し支えないだろう。
7mをブロックと考えなくてはクイタンのブロック数が足りないのはやや苦しいところであるが、今は0巡目。嬉しい456牌ぐらい9m9s西あたりを切っているうちにほぼほぼ引いてこられるだろうという目算である。
このような急所鳴きとして覚えやすい基準としては、上がって嬉しい状況か打点で役が作れる形でフォローの難しい急所を鳴けるなら早かろうが遅かろうがほぼだいたい鳴きである。

※追伸※
4500供卓でなくとも、ドラや赤引きで容易く7700になるこの形はかなりチーで良いと考えられる。上家が偏執的激絞りマンであっても考慮に値するレベルである。



◆◆◆東3局3本場北家7巡目ドラ6s

選択:打7m
推奨:打7m

差の大きさ:超微差
成績影響度:★☆☆☆☆
key point :大差ないスジの選択

4m切りは赤引きで12000への打点アップがある。
後は切るべき4mか7mが下家に鳴かれるかどうかが考えるべきところである。
4mポン、7mポンの可能性を考えると55677mからの5mポンはある一方44556mからはかなり薄い。しかし聴牌していなさそうな河で677の6を引っ張らないのもやや不自然でやや薄い。
4mチーの可能性は23mは2枚ずつ場に出ており、223mや233mで配牌にあったらポンしている。23m単独のパターンのみであるが否定できない。
7mチーの可能性はあるとすれば6mが切られていることから668mから6mを先切り固定していると考えられるがポン材を先切りするパターンは希少。7mでロンでない限りは薄いだろう。そして張っていそうにはあまり見えない。
7mポン(ロン)は下家が残り2枚の7mを持っている1パターン(しかもやや薄い)に対して
23mチー(ロン)は下家が2mと3mが2枚ずつを持つ2×2=4パターン存在する。
4500供卓のあるラス前、この場での12000への打点アップに大きな意味はない。ごく僅差ではあるが7mを推奨したい。

※追伸※
微差も微差。12000にある程度の意味があるならひっくり返る程度の差である。必要な思考の難易度に対して享受できる利益が少なすぎて、考えなくても良いレベルの内容であると言えるだろう。


◆◆◆東4局0本場西家5巡目ドラ3m

選択:打7m
推奨:打7m

差の大きさ:中差強
成績影響度:★★★★☆
key point :愚形リーのみを打たない方針

ダントツのオーラス。この局の目標は……
最高目が上家のクビを切ること
次点が親に上がらせずに終わること(+上家にリーチ棒を加えた満貫を打たないこと)である。
上家のクビをツモ裏でも切ることが出来ない愚形リーのみには期待値がない。敢えて言うならカス。
よってここで取るべきは愚形リーのみ拒否手順となります。79m落とし。
後は7mの両面くっつきを見るかどうかという話だが、ダブ東も鳴いて割と脂っこい4pを切っている親がいるので、長く7mを引っ張ることもなさそうなため7m9mの順で良いだろうと考えます。
さすがに東空のベテランだけあってこのあたりの手順は板についたものでしょう。素晴らしい。



◆◆◆東4局0本場西家9巡目ドラ3m

選択:3pポン
推奨:スルー

差の大きさ:中差強
成績影響度:★★★☆☆
key point :ルール特異的スルー

上がりトップ。鳴かない理由があまりないように見えるが……これはルール特異的スルーである。
この手はドラを使って鳴いての2000以上や面前リーチツモで20004000がある。それは上家のクビを切る手となり、成功した場合は一人浮きにて30000点の加点となるのだ。
そして、現状親や上家に満貫を放銃してもトップを残せる(親は可能なら避けたいが)。オリようと思えば選べる牌は複数持っており、そして流局もトップ確定である。何なら上家の一人ノーテンで一人浮きの棚ぼたもある。貪欲に上家を斬首しに行くのがこのルールでは優位であると考えれる。

※追伸※
対面上家からの満貫直撃がアウトであったとしても、繊細に打てるならば微差+αでスルーが上回るであろう。


検討は以上となります。
東風1戦の検討に8000字に迫る大長文。
熱意を注いだつもりですが、乱文乱筆いささか見られたことでしょう。
そんな中全部読んでくださった貴方は立派な麻雀狂いであり、仲間です。今後とも仲良くしましょう。是非とも東空荘に参戦いただきたい!

長文にお付き合いいただきありがとうございました!

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