見出し画像

段位戦牌譜検討:SAT@180さん

牌譜URL
https://t.co/uXgGIaHwmU
初めまして、地獄精神科と申します。気持ちの高めな卓の人ですが、8年ほど前には鳳東を打っていました。最近は東空荘に参戦させていただき、第5~9シーズンにかけて優勝の栄誉を賜りました。期待値を突き詰めることに執念を燃やす高副露・高和了率型の理屈こねこねマンです。

自分自身、長くラス回避を離れており、苦手意識のあるルールではありますが、可能な限り考えてやらせていただきます。批判・反論の意見はいつでもお待ちしております。

初めてのnoteとなる今回は
東空荘第10シーズン覇者「SAT@180」さんの牌譜検討です!

ルールは段位戦半荘王座、段位は聖1
彼の麻雀はゴリラがラリアットするように攻撃力+打点で破壊するスタイル!押し引きや牌効率などもしっかり勉強した上で上記のスタイルに振ったインテリジェンスモンスターです!
東空荘第10シーズンの栄冠をその剛腕により圧倒的な強さでもぎ取りました。

では早速検討に参りましょう

以下の項目を以て評価・寸評させていただこうと思います

◇「差の大きさ」:
超微差・微差・微差+α(微差よりは大きいが、中差というほど大きくない)・中差・大差 などの選択の差の大きさを示します

◇「成績影響度」:
上記選択による成績への影響の大きさを示します。差の大きさに比例しやすいですが、選択は明らかでも成績影響がないものや差は大きくないけど重要なものも存在するので必ずしも相関しません

◇「key point」:
この検討におけるキーポイントを短文で示しています

◇※追伸※:この状況ではそうではないが、別ルール別ケースでの選択の違いを述べます


◆◆◆東1局0本場西家4巡目ドラ北

選択:打6s
推奨:打6s

差の大きさ:微差+α
成績影響度:★★☆☆☆
   key point:枯れシャボの評価・良形の多い手組み

打者の実力が伺える秀逸な1打である。
カン2m以外は良形のブロック足りた形。頭の1pは枯れているが安牌候補になる。赤を自摸ってきたことによりドラ1に。6sを切ってドラの重なりを見た一手。6sは5s引きで二度受けになる牌。ドラ北切りも悪くはないが、この手で一番振り替わって嬉しいのはカン2mよりも1p対子であろう。
※追伸※
1pが枯れていない場合も北の価値は高く、同様に6sで良いと考えられるが少しだけ北重なりの価値が下がり更に微差となるか
ドラ0ならドラ北の重なりは命綱として667mか455pの両面固定をしてスリムにしつつ6sを引っ張り赤5sの受け入れも持った方が良いか。
変化と枚数や出やすさに不安がある愚形ターツが2種以上あるなら6sを抱えて変化を見つつドラ北は早めに切る想定、適宜667mや455pの両面固定をして安牌に差し替えるのが安定するだろう

ちなみに赤の価値が高いフリーでは6sをかなり引っ張ることが多い

◆◆◆東1局0本場西家5巡目ドラ北

選択:打6m
推奨:打北

差の大きさ:微差+α
成績影響度:★★★☆☆
   key point:それ含みで当たったら死ぬ牌は勝負できる上家ならさっさと切りたい

今度は6m2枚だけのフォローを切る6m切りとドラ北切りの選択。4p切りも選択肢。リャンシャンテンでドラ1なので割と行ける手。効率で言えば正直どちらでもいい微差。しかし、6sをチーした下家に北がポンされるかどうかがかなりこの手で行きたいかどうかを決めるのでここでは北を先に打っておきたい。特にラス回避において後で切ってポンされてブクブクで死亡するルート、他を鳴かれて北が切れなくなるルート、最悪勝負牌の北でロンされるルートよりは今鳴かれてベタオリ許容ルートに行く方がかなりマシである。安牌も足りているし。
4pを先に切ってもいいと考えられたが、4pは対面下家にそこそこ安全かつ一応の変化フォローになるので北を正解とした。
※追伸※
東風なら成績影響度の星が1つ増える


◆◆◆東1局0本場西家9巡目ドラ北
上家5m切り

選択:スルー
推奨:67mチー

差の大きさ:大差
成績影響度:★★★★★
   key point:両面三枚目は大体チー。二度受けならなおさら

この5mは見逃してはいけない。両面の三枚目は大体チーという格言もあるが、二度受けである上に残る形が両面三面と優秀。前巡に1m切り4p残しをしたのは素晴らしかったので残したからにはチーしたい。鳴いたら2000だがリーチドラ1でも2600である。


◆◆◆東2局0本場南家5巡目ドラ東

選択:打1m
推奨:打1m

差の大きさ:微差+α
成績影響度:★★★★☆
   key point:押せるうちに押し。降りる時には降りる牌が残っているように

ドラカンが入って遅くは見えない下家。とても苦しい展開。
1pと4sより下で降りることになりそうだが、手も良く、まだ降り始めるには早い。どこまで押すかのチキンレースの開始である。
現物1pを含む13pと13mの選択だが、ここでは通ってない方(13m)を先に被せもう1副露されたら1pや4sより下を使って降りるのがいいだろう。ピンズを残した方が変化にも富む。
一回での差は大きくないが、下家に高い手が入って……というシチュは多くこれを徹底できれば成績への影響度はとても大きい。
実は下家既に聴牌だけどそこは想定外。とても優秀な一打である。


◆◆◆東2局0本場南家7巡目ドラ東

選択:打1p
推奨:打3m

差の大きさ:微差
成績影響度:★★☆☆☆
   key point:まだギリギリ前に出る

下家はツモ切りが続いていて自分は十分形のシャンテン。3mが切り辛いのは分かるが、切るなら今がいい。1p5pともに安牌の算段が出来るのも大きい。
行けるところまで行くが、押すなら早い方がよく手広くしたい。
ただ、下家の捨て牌が早く見えるので瞬間の振り込みを減らし、タンピンと喰いタンに絞る算段の打1pも悪くはないので微差である
※追伸※
25s入って47p待ちタンピンで張ったらリーチ、それ以外は2p47p入っての25sピンフのみは安いか枚数に不安があり、25sが出やすく危険牌を吸収しての振り替えがあるのでダマがいいだろうか
裏ドラの祝儀が強いルールでは手広く受けて全部リーチでいいだろう

◆◆◆東4局0本場北家10巡目ドラ3m

選択:打6pダマ
推奨:打6pダマ

差の大きさ:中差+α
成績影響度:★★★★☆
   key point:リーチしたら無理、しなければワンチャンのドラ単騎

イーペーダマドラ単騎。ラス目で打点は下げられない。ダマならワンチャン出る可能性があるのでダマ。バランス感覚と上がり率の感覚に優れた一打。
チートイの字牌ドラ単騎が頻出パターンな、ダマなら出るかもな中打点(5200~6400)の手。
ドラだから出ないなどと言って押さえつけリーチすると5200や6400が有用な場面では大きく損をする。
この後速度のありそうな副露をされてリーチで降ろしにいったのも素晴らしい。

※追伸※
中打点が効果的な僅差局面の多い東風順位戦や東風ビンタでは出現頻度UP


◆◆◆南1局0本場西家3巡目ドラ5p

選択:南スルー
推奨:ポン

差の大きさ:大差
成績影響度:★★★★★
   key point:伸びしろのある3900は最強

早い3900聴牌。3900も直ツモ有効な局面であるし、5pのツモや46pチーで7700になる。絶対に鳴かなくてはならない。
カン3s嫌だ良形が……と思う面もあるかも知れないが、それで覆る差ではないし、
「待ちが少ないということは上がりが遅くなり道中で打点が上昇することも多い」
とも言える。

◆◆◆南1局0本場西家4巡目ドラ5p

選択:打8p
推奨:打2s 次点打5m

差の大きさ:大差弱(5m切りとの比較なら中差+α)
成績影響度:★★★★☆~★★★★★
   key point:一枚切れのポンダイレクト聴牌は価値薄め

まだ巡目も早く南ポンのダイレクトカン3s聴牌は外してもいい。1枚切れの役牌アタマの場合リーチルートが本線なのでドラ3の良形を求めていいだろう。カン3sを保持するにしても打8pよりは5mを切ったほうが変化にもタンヤオ移行のパターンにも優れる。
※追伸※
南が2枚生きていたら打5mがいいと考えられる。

◆◆◆南3局0本場東家9巡目ドラ9p

選択:打2s
推奨:打4m

差の大きさ:(大差)
成績影響度:(★★★★★)
   key point:(おそらく心が折れている)

14mの受けはもうほぼない。打点が必要な場面でタンヤオの確率も下がる。
打者の実力から察するにこれはおそらく苦しくて出たケアレスミスであろう
差の大きさは厳しいものであるが、分からなかったわけではないと思われるので責められない。大差であり成績への影響度は★5相当であるが厳しく指摘するに忍びない
慣れとメンタル管理で再発を防いで欲しい。

◆◆◆南3局1本場東家6巡目ドラ7s

選択:打7p
推奨:打7p

差の大きさ:微差+α
成績影響度:★★★☆☆
   key point:良形受けと遠いドラ受け

7sが入った時の受けを作る意味と一応の三色。打点を見た一打。
2sに手がかからず結果的に放銃を回避している。
7pにくっついたところでリーのみの手順が増えるのみ。
一人沈むラス前親であり、費用対効果の高くないリーのみはダイレクトルートのみで充分という考え
単なる良形とドラの近くだけを見ているわけではない、素晴らしき打点派の妙手である。

◆◆◆南4局0本場北家10巡目ドラ5s

選択:6sチー打5m
推奨:6sチー打9s

差の大きさ:大差
成績影響度:★★★☆☆
   key point:喰いタンはアクロバティック(心折れてた?)

マンツモを作りたい。三色を保持してドラの受け入れを作る良いチーである。しかし、三色と並べて遠い喰いタンは見ておかなければならない
9s9mは切っても三色ドラ3の7700点を目指す場合のシャンテン数・速さはほぼ変わらない。
喰いタンは3、4シャンテンでも勝負になる。
心が折れた結果の打牌であろうし「大差」は酷な話ではあるが
このような打点ありの遠い手における喰いタン保険は機会が多く成就した時が大きい。汎用性が高く有用である。
※追伸※
このケースでは遠すぎてダメ元になっているため★3であるが、上がり競争局におけるこのような遠い喰いタンフォローの重要性は★5クラスである。


検討は以上です。反論質問感想などお待ちしております。
また、今後も多忙気味の間を縫ってですが牌譜検討を受けることがあるかも知れません。その際はよろしくお願いいたします。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?