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【院試解答】東大院 工学系 数学 2018年度 第1問【微分方程式】

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東京大学大学院 工学系研究科の入試過去問の解答例です.2018(平成30)年度の数学(一般教育科目)第1問について解答・解説します.問題は研究科のWebサイトから見ることができます.

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この解答例は大学院・研究科に認められたものではありません.正確性についての保証は致しかねます.


I.1.

解答

与方程式(1)は線形非斉次常微分方程式であるから,一般解は「同伴方程式(斉次方程式)の一般解+非斉次方程式の特殊解」として求められる.
まず,同伴方程式

$$
\frac{d^2y}{dx^2}+2\frac{dy}{dx}-3y=0\tag{I-1}
$$

の一般解を求める.特性方程式

$$
\lambda^2+2\lambda-3=0
$$

より

$$
\begin{aligned}
(\lambda-1)(\lambda+3)&=0\\
\therefore \lambda&=1,-3
\end{aligned}
$$

となるので,同伴方程式(I-1)の一般解は

$$
y=C_1e^x+C_2e^{-3x}\quad(C_1,C_2:\text{任意定数})
$$

である.

次に,もとの方程式(1)の特殊解を求める.$${y=e^x(A\cos x+B\sin x)}$$とおくと

$$
\begin{aligned}
\frac{dy}{dx}&=e^x(A\cos x+B\sin x)+e^x(-A\sin x+B\cos x)\\
&=e^x[(A+B)\cos x-(A-B)\sin x],
\end{aligned}
$$

$$
\begin{aligned}
\frac{d^2y}{dx^2}
&=e^x[(A+B)\cos x-(A-B)\sin x]\\
&\quad+e^x[-(A+B)\sin x-(A-B)\cos x]\\
&=2e^x(B\cos x-A\sin x)
\end{aligned}
$$

となるから,式(1)より

$$
\begin{aligned}
\frac{d^2y}{dx^2}+2\frac{dy}{dx}-3y
&=2e^x(B\cos x-A\sin x)\\
&\quad+2e^x[(A+B)\cos x-(A-B)\sin x]\\
&\quad-3e^x(A\cos x+B\sin x)\\
&=e^x[(-A+4B)\cos x-(4A+B)\sin x]\\
&=e^x\cos x
\end{aligned}
$$

となる.よって

$$
\left\{\begin{aligned}
-A+4B&=1\\
4A+B&=0
\end{aligned}\right.
$$

$$
\therefore\begin{gathered}
A=-\frac{1}{17}, & B=\frac{4}{17}
\end{gathered}
$$

となる.ゆえに,特殊解は

$$
y=\frac{1}{17}e^x(-\cos x+4\sin x)
$$

である.
したがって,求める一般解は

$$
y=C_1e^x+C_2e^{-3x}+\frac{1}{17}e^x(-\cos x+4\sin x)\tag{答}
$$

である.

解説

2階 線形 定数係数 非斉次(非同次) 常微分方程式です.同伴方程式の一般解は特性方程式を解いて機械的に求められるので,まず初めに解答用紙に記入して安心しましょう.特殊解を求めるには試行錯誤が必要になるかもしれませんので慌てないようにしましょう.

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