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【院試解答】東大院 工学系 数学 2019年度 第3問【複素解析】

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東京大学大学院 工学系研究科の入試過去問の解答例です.2019(平成31)年度の数学(一般教育科目)第3問について解答・解説します.問題は研究科のWebサイトから見ることができます.

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本記事に掲載されている解答および解説は、私が独自に作成したものであり、大学公式の模範解答ではありません。内容の正確性には細心の注意を払っておりますが、誤りや不備がある可能性もございます。読者様におかれましては、本記事を参考程度にとどめ、最終的な判断は自身で行っていただきますようお願いいたします。本記事の使用により生じたいかなる損害についても、私は一切の責任を負いかねますことをご了承ください。
©︎ 2021–2024 院試対策室, GOSHOURAKU Hirokouji

I.1

解答

$${z=r(\cos\theta+i\sin\theta)}$$とおく.ド・モアブルの定理より

$$
z^5=r^5(\cos5\theta+i\sin5\theta)
$$

であるから,$${z^5=1}$$より

$$
r^5(\cos5\theta+i\sin5\theta)=\cos2n\pi+i\sin2n\pi\quad(n\in\mathbb{Z})
$$

となる.よって,

$$
\left\{\begin{aligned}
r^5&=1\\
5\theta&=2n\pi
\end{aligned}
\right.
$$

となる.$${r}$$は実数なので

$$
r=1
$$

である.$${0\le\theta\lt 2\pi}$$とすると

$$
\theta=\frac{2n\pi}{5}\quad(n=0,1,2,3,4)
$$

である.ゆえに求める解は

$$
z=\cos\frac{2n\pi}{5}+i\sin\frac{2n\pi}{5}\quad(n=0,1,2,3,4)\tag{答}
$$

である.複素平面上に図示すると下図のようになる.

複素平面に示した1の5乗根

解説

極形式とド・モアブルの定理を用いて1の5乗根を求める典型問題です.

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