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〜heldioガイド〜【O-1】岡本広毅先生

heldioとは?
・慶應義塾大学文学部の堀田隆一先生が「英語史をお茶の間に」をモットーにVoicyで毎朝6時に配信されているラジオ

・このガイドは、heldioを楽しむための道案内となることを願い、お茶の間の住人が作成しているものです。
・アルファベットのAから順にheldioにまつわるキーパーソンやキーワードを紹介します。
\今日からあなたもheldioリスナーに/


岡本広毅先生(立命館大学文学部国際コミュニケーション学域)

heldioガイドでは、heldioにご出演されたことのある英語史研究者の先生方をこれまでに数名紹介してきたが、一口に「英語史」と言ってもご専門とされる時代や関心の寄せ方は多岐にわたることが伝わったことと思う。
今回は岡本先生に注目したいが、研究内容については、ご所属の立命館大学文学部ホームページの教員コラムにまとめられているので、まずはそちらを参照してみよう。

岡本先生の研究テーマは…
英語と英語圏文化のルーツ
・より具体的には「アーサー王伝説」などの古典的文学が後世のイギリス文化や歴史に与えた影響

とある。ルーツというと、根本という意味で重要ではあっても、遠い昔の過去=現在とは関係・つながりは薄いと感じる人がいるかもしれない。しかし実際は全く反対であり、例えば現在世界的に人気のある『ハリー・ポッター』シリーズ等の世界観には、中世の物語が取り入れられているという。現在の視点しか持ち合わせていないと見えるのは一面のみであるが、過去から継承されたものへの理解を深めることにより、本質に迫ることのできるケースの一例だろう。

ところで、記事の「見出し画像」に目を留めてくださった方がいらっしゃるようであれば嬉しい。毎回文章だけでなく、内容とリンクするよう画像にもこだわっているのだが、今回もイメージが伝わっただろうか…

さて前置きが長くなったが、岡本先生のheldio出演回を順番に見ていこう。

国際英語

#173. 立命館大学、岡本広毅先生との対談:国際英語とは何か?

昨今は「国際英語」や「世界英語」というフレーズを耳にする機会が多いが、果たして何(どんな状況)を指すのかというエッセンスが語られている。研究熱が高まっている分野であり、今後もheldioでは国際/世界英語関係の話題が定期的に取り上げられることが予想されるため、おさえておきたい。特に4点目からは英語のルーツ=歴史的視点を取り入れることの意義がわかるだろう。

・現在の英語は一つの国や民族と結びついているのではなく、国境や地域を越えた言語となっている
・世界の英語には多様な形態、発音、語彙が見られ、多様性を帯びている
・各地で方言化が進む一方、国際コミュニケーションのための「標準」も求められており、両者のせめぎ合いが見られる
・英語は世界に広まるまでの過程においても、いろいろな言語や文化を吸収しながら発展してきており、ルーツから多様であった。

ヴァナキュラー

以下の3回は「ヴァナキュラー」がテーマとなっている。このヴァナキュラーというキーワードは英語史、そして世界英語を見る際にも示唆を与えてくれるとのことで、hellogでも何度か関連記事が執筆されている。hellogの該当回も下に掲載しておくので、ぜひ全て読んでいただきたい。

「ヴァナキュラーとは何か」は簡単にはまとめられないのだが、ひとまず要点として以下の点を挙げておく。

権威とは無縁の、人々の日常に根差した=土着の言語
威信のあるラテン語に対して辺境、周辺的な英語という構図で長らく用いられてきた
変容、変化の可能性を秘めている

#386. 岡本広毅先生との雑談:サイモン・ホロビンの英語史本について語る
お二人の先生が授業でサイモン・ホロビン著の同じ本を教科書として使用しているというところから話が始まり、ヴァナキュラーという用語に行き着く。

#478. 英語ヴァナキュラー談義(岡本広毅&堀田隆一) 
#545. ヴァナキュラーな『グリーン・ナイト』(岡本&堀田の対談)
2022年11月に日本で公開された映画『グリーン・ナイト』の字幕監修を岡本先生が担われたとのことで、この2回は映画及びその原作である『ガウェイン卿と緑の騎士』やキーワードとして注目されたヴァナキュラーについて語っている。478回は映画の話やリスナーから寄せられた質問への回答により多くの時間が割かれているため、
ヴァナキュラー談義を堪能したければ545回が一番のオススメである。

また岡本先生は、立命館大学国際言語文化研究所のヴァナキュラー文化研究会に所属されており、研究会はX上で情報発信しているので併せて参照したい。

hellog関連回
#4804. vernacular とは何か?
#4809. OED で vernacular の語義を確かめる#4814. vernacular をキーワードとして英語史を眺めなおすとおもしろそう!

NewsPicks

さらに岡本先生はNewsPicks「RPGで知る西洋の歴史」にて記事を書かれている。紹介欄には以下のとおり記載されているが、興味を惹かれる人が多いのではないか。日本で育つと「西洋の基本的教養」は自然に身に付くものではないが、異文化理解、そして良い人付き合いのためにぜひ味わいたいものである。

エルフ、世界樹、エクスカリバー。名作ゲームや映画、物語でお馴染みの言葉から西洋の基本的教養を味わう。

なお、heldioには記事の1つである「ダンジョンと〈ゴシック〉への入り口——商人トルネコが覗いた闇」に関連した放送回がある。
#998. dungeon と dominion は2重語

以上のように入口はさまざまに用意されているため、英語のルーツや英語圏文化・歴史の世界に足を踏み入れてみよう。仲間はすぐに見つかるはずだ。

岡本先生との対談回で「ヴァナキュラー」というキーワードを意識するようになり、またhellogでの関連記事を読むことで、この用語について調べてみたいと思うようになった。
heldioガイドを作成すると決めた時、【V】はvernacularにするぞ!とすぐに浮かんだため、深堀り回が今後アップされる予定(お蔵入りにならないよう頑張ります…)。

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