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やる散歩〜青春フルパワー忍伝編Day4〜

迎えた旅行4日目。18きっぷでの旅も後半に差し掛かってきた訳だが、前半でスムーズに旅が進んだことによって慢心が生まれつつあった。初日に終電(始発)を逃しながらも鳥取まで辿り着き、その翌日は一日で鳥取の東西を巡ることができた。島根にも寄って散歩を楽しみながら全県踏破にも一歩近付き、まさしく旅風我に吹けり(架空慣用句)と肩で風をバッサバサ切る肩風バサ男と化していたのである。実際のところ前半上手くいったのは全てタイミングや新幹線のスピードや車を出してくれた友達の厚意によるものであり、この慢心が後々悲劇を引き起こすことになる。

この日の朝は、大阪から和歌山への電車移動で始まった。慢心により前夜に29時まで友達と長電話をしまったため、10時過ぎにガギンガギンの眼で泊まっていたネカフェを後にする。大阪〜和歌山間の所要時間は通常1時間半ほど。昼頃に着いて名物の”紀州梅バーガー”をブチ喰らいながら和歌山の街をブチ冷やかし回してやろうと画策していた。が、ちょうど乗車した列車から大幅な遅延が発生し、到着する頃には既に14時を過ぎていた。

やれやれだZと思いながら梅バーガーの店の最寄り駅を調べ、経路を検索。ローカル線の和歌山電鉄に乗ることに。ホームで電車を待っていると、「いちご電車」を自称するなんともかわいらしい電車が駅に停まった。電車の内部も鬼かわいく、いちご柄のシートを見て「あ〜ん♡♡♡」と崩れ落ちてしまった。

日本語でおk
鬼かわいいのにあまり人が乗ってない
10000個でも いちご♪

鬼かわいい”いちご電車”に乗車すること20分。一向に動き出さない。30分経ち、40分経ち、罠か?と思い始めた頃にようやく電車が出発した。1時間に1本しか走らない怠い電車など地方ではザラであり、いちご電車も圧巻のかわいさで誤魔化してはいるが、立派な怠電車なのであった。

やっとのことで梅バーガーの店にたどり着くも、なんと定休日であることが判明。己の愚かさに震え、脳天に極太釘を打ち付けながら別の和歌山グルメを調べる。市街地から少し離れた上に14時半を過ぎており、今考えると現地のグルメに固執する必要はなかったが、半ば意地になっていた。まだギリギリ昼時。先ほど無駄に電車で時間をロスしたのが癪だったので、徒歩で引き返すことにした。

とらわれた犬ポリス
おしゃれハチミツ買うならみゆき
対perfect human用警告看板
その筋
鬼ナルシ
嘘つけ☝️💦
何がしたいねん
何目線の誰?

ほとんど何も成し得ないまま15時を過ぎる。完全に観光に失敗している。ネットで美味しいと評判の店は定休日だったりランチの営業時間を過ぎていて、軒並み入れなかった。調べた中で唯一その時営業していた本格牡蠣料理の店へ、地獄の顔面でへなり込む。

ガラガラの店内で一人メニューを開くと、そこには美味しそうな牡蠣料理の数々が。…と思ったが、よく見るとどうやら今はオフシーズンらしく、「お造りは現在提供していません」「牡蠣飯は2人前から注文承ります」と制限だらけだった。疲れもあり、ここで無理して2人前食べるのもしんどいと思ったので、泣く泣くエビ飯を注文。…しようとするも、「エビ飯も2人前からです」と言われ、えずきながらエビピラフを注文。エビも牡蠣と同じプリプリ海産系だから…実質牡蠣だから…と自分を宥めていると、店員が戻ってきて「ごめんなさい、今エビを切らしてて…」と言われた。そこで完全に心が折れ、気絶しながら注文をオムライスに変更した。(オムライスはちゃんと美味しかった)

何も思うようにいかず、癇癪を起こしながら道中のカフェに奇襲をかける。脈絡のないバカうまパフェをしばいて気持ちを静めた。

カフェを出た時点で時間は17時を回ろうとしていた。和歌山へ来たら絶対行こうと思っていた「くじらの博物館」のある太地周辺へは、和歌山市内から電車で4時間以上かかる。翌日朝イチに出たとしても、昼を過ぎてしまうかもしれない。今日の失敗具合を踏まえると、明日は午前のうちに目的地に到着したい。電車の間隔や終電の早さを考慮すると、今夜中に太地近辺へ行くには今すぐ出発する他ない。

和歌山南部にはネカフェなど存在しないため、目的地付近にある宿に次々と電話を入れて空き部屋を探しながら駅へ向かう。なんとも行き当たりばったりだが、運良く安い宿が見つかった。そこからはひたすら電車移動である。

結局、「鬼かわいい電車で焦らされる」「牡蠣料理で泣きながらオムライスを食べる」以外ほとんど何もできないままこの日は終わっていった。

塩対応
紀伊勝浦駅のぐうかわアート
乞食速報待ったなし

一人旅は節約のため基本的にネカフェなどに泊まることが多く、ちゃんとした宿を取るのは久しぶりだった。宿の最寄駅に着くと既に23時を過ぎていた。本当に何も出来ずに一日が終わってしまった。気分は落ち込んでいたが、心優しい宿の主人が特別に温泉を閉める時間を伸ばしてくれて風呂を独占できたので、闇堕ちはギリギリ免れた。

good vibes
ひじき1つって どうやって?
宿の玄関先
おててがお花でありがとね
一番面白い将棋見せてくれてありがとね
サンダルが変でありがとね
絶対に入ってはいけないお堂を守護ってくれてありがとね



明日こそは…!!!とギャインギャインに歯を食いしばりながら床に就いた。砕け落ちた歯は全て星の砂としてメルカリに出品した。

教訓:
・慢心ダメ絶対
・慢心慢心ダメダメ絶対
・慢心ダメダメダメダメ絶対

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