日本語ネイティブで良かったと思える時

   私にとって一番のそれは椎名林檎の書く歌詞を目にして耳にしている時。本当にこれに尽きる。

新曲の「いとをかし」を聴いてもそうだった。まさか枕草子を思い出すとは思わなかった、凄いねえ。椎名林檎の書く詞って文学的とはあまり思ったことはないけれど、音楽の中にここまで日本語の美しさを詰め込むことが出来るんだってそこへの感動が凄まじい。本当に、何度言葉の響きに打たれて何度漢字とひらがなのその端正な並びに惚れ惚れしたか。

   私は第二言語をとても高いレベルにまで身につけられた経験がないからかもしれないけれど、母国語かそうでないかという間には越えられない壁のようなものを感じていて、そんでもって日本語ってめちゃくちゃ特殊じゃん。この言語の微妙なニュアンスを、深みを、学ぶ前に感覚として理解できることが私は嬉しい。「いとをかし」の"命はどうせ美しい" の"どうせ"とか。言葉にできないけどさ、すっごく好き。染み込んでくるなあと思う。

   椎名林檎名義としては二年ぶり。どうでもいいけどどうでも良くないという感覚。私にとってこのお方の音楽はまじで救いに近いので、受け皿を作って下さりありがとうございますと常々感謝しているし、この優しさに救われる女の子が一人でも多くあってほしいとめちゃくちゃ勝手ながら、思っている。


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