映画好きの父親
うちの父親は映画が好きな人でした。
と言っても決してマニアックに詳しいという訳ではなく、「娯楽」としてジャンルに囚われず映画を楽しんでいたタイプ。
録画していたテレビのロードショーや、
当時はしりだった個人経営のレンタルビデオ屋で
借りたビデオをコーラ片手に夜な夜な観ていました。
当時うちは電気屋で母が店で接客と事務、
父が営業と配達と工事とアフターケア。
お客に家の電話番号も教えていた為、
呼ばれたら何時でも嫌な顔一つせずに父親はすぐ飛んでいっていた。
常にそんな調子だったので小さい店とはいえ
忙しかったはずだが、
映画好きの父は合間を見つけては映画館によく連れて行ってくれた。
上映スケジュールの看板、
その下にチケット売り場がある街の映画館。
入る時は昼間だったのに出てきた時はもう夕暮れ、
体感時間と実時間の差に少し酔った様な感覚。
これは子供心に充分すぎる程立派なタイムスリップで、映画自体はもちろんだけどこの体験自体も凄く好きでした。
しかし連れて行かれた映画のチョイスには多少癖はあったとは思います。
こっちは小学生なのに、
釣りバカ日誌の鯉太郎が産まれるやつやバカヤローVに連れていかれた事ははっきりと覚えているし、高倉健のミスターベースボールにも連れていかれた。
洋画ではデモリションマン、クリフハンガー、トゥルーライズ。
スタローンとシュワちゃんという二大わかりやすいハリウッドスター主演作。
後なぜかマイケル・キートンとニコール・キッドマンのマイライフという余命物の感動作を男2人で観て号泣した記憶もあります。
でもそんなチョイスの中
バック・トゥ・ザ・フューチャー3とジュラシックパークを劇場で観せて貰えた事は今でも凄く感謝しています。
ジュラシックパークでCGという物に初めて触れ、「今スクリーンにいるこの恐竜達はロボットなのか、なんなのか」
という衝撃を劇場で味わえた事は自分の中ですごく大きかった。
そして丁度平成VSシリーズが公開されていた時期で毎回必ず連れて行ってくれたのが「ゴジラ」
目の前でビルを倒し叫び全てを破壊して
敵に向かっていくゴジラは、強くて怖くてかっこよくて好きにならない理由がありませんでした。
少し大袈裟かもしれませんが、
映画好きの父親に映画館に連れて行ってもらえてなかったらゴジラには出会ってなかったかもしれません。
それぐらい自分の中のゴジラの原点は、
連れて行ってもらったあの映画館なのだと思います。
久しぶりに映画館をリピートしたぐらいハマり、
アカデミー賞まで獲った名作ゴジラマイナスワンが
Amazonプライムで5月3日から配信開始されるとさっき知ってこのnoteを書きました。
なぜなら偶然にも5月3日がゴジラに出会わせてくれた映画好きの父親の28回目の命日だから。
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