見出し画像

ようこそ 犬語の世界へ 拾い食いのススメ

都会の川の岸辺に住む私たちにとって、今回の台風の直撃は大きなダメージでした。

都会の川の岸辺は泥で汚れ、当分は濁った流れになってしまうのでしょう。

多くの地の虫も草も花も根こそぎ下流へと押し流されてしまいました。

岸辺に住むホームレスと共に暮らす猫たちも前日からその場を離れていたようで、ここ数日で猫と共に戻ってきてはいるものの、あまりの惨状にいちから建て直しだと言いながら、猫を抱いていました。

自然は人間を必要としていない...ふとそんな言葉を思い出しました。

自然を必要としているのは人間であることを忘れがちになる我々に、手痛いしっぺ返しを食らわせられたような今回の台風でした。。。

さて、雨が上がれば、犬の散歩に出なくてはならないのが犬下僕の掟...我が家もご多分に漏れず、犬たちの散歩は再開されております(笑)

岸辺には下りられずとも、都会の川の土手はきれいに整備されているので、濁った川を見ながらベルジアンズと歩いていると、タワマンのポーちゃんが拾い食いを叱られながら来ます。

叱られるとは人間の認知で、当のポーちゃんはとにかく何かを拾おう、咥えようとムキになっています。

それを止めようと首輪に着いたリードでクイクイと首を上げさせるものだから、その度、ポーちゃんはげほっとなって苦しそうで、ママは、あ...ごめんなさいとポーちゃんに謝るのです...

ポーちゃんママは言うのです。
いくら叱ってもダメなんです。。。と。


犬を外に連れ出すと誰もがぶち当たる犬の拾い食い...そしてそれを阻止するべく、人と犬の間に戦いが勃発します。

方や拾わせまい、方や隙さえあれば拾おうと、犬と人の間の攻防戦が繰り広げられるのです。

拾い食いを阻止するべく、人は犬の行動に目を光らせるのですが、犬の方が地面に近いので確率的には犬の勝率がいい...

すると人はますます拾わせまいと躍起になる。
躍起になればなるほど、人も犬も散歩が楽しくなくなる。

散歩好きな犬にとっては散歩は最大のエンリッチメントだし、子犬にとっては自分の暮らす環境への扉でもある。
毎日、違う刺激(匂い/音/光/風/生き物/人工物)に出会う。

トレーナーという職業には系統が多々あって、それぞれの主張や理念や方法があります。

その一つが昔からの流れで軍用犬の訓練のひとつ、人の側について人の歩く速度に合わせて並んで歩く脚側歩行というのがあります。

犬が人につき従い、見た目、格好いい❗
特に大型犬になると、いかにも忠実な愛犬を醸し出してくれているのですから。

犬は前方を見据えて飼い主に合わせて歩くか、一歩遅れたような感じで、これまた首をやや下げ(地面の臭いはかがない)楚々とついて歩く犬もいる。

その光景は犬を散歩させているので、当たり前と言えば当たり前です。

首を下げて歩かせては格好は悪いし、拾い食いの癖がつくから、それをさせないためにも脚側歩行での散歩は利にかなってはいるのです。

ただ脚側を教える昔からあるその訓練方法は、犬への強要ではないかなと思える方法で、それをチョイスすることに現在は疑問を呈することが多くなってきています。

ここ数十年、少なくとも私が真剣に犬のことに関わりだした30年ほどで人間以外の生き物、取り分け、家畜やペットと言われる動物たちの研究が盛んにされるようになり、家畜やペットに関して、その動物の習性や行動様式を尊重しようという考えが広がってきました。

その動物が求める環境や行動できる権限を与えると、その動物の持つ本来の行動が現れ動物のストレスが抑えられ、人間との関係も修復されていくことがわかってきたのです。

ただこの考えは人間から見れば、あまり都合の良いものばかりではなく、人間がそのどうぶつの求める行動に理解と知識と寛容性を求めるものも数多くなります。

その人間の都合に合わせる犬を育てていたのが、犬の都合も考えよう、という流れに近年は変わってきて、犬とは本来、どのような動物であるかに理解と思いやりを持つように変化してきています。

その一つが犬の拾い食い(自分で食べ物を獲得する)を認めようとということなのです。

犬は鼻を使う動物でその嗅覚も人間の何倍もあり、鼻を使った仕事をさせればその優秀さは一目瞭然‼️

麻薬探知に災害救助、足跡追求、低血糖アラートと鼻のお仕事には定評があります。

私たち人間はしげしげと視覚を使って確認しますが、犬たちはクンクンと嗅覚を使って、自分の世界を確認しているのです。

その世界を取り上げてしまうよりは、犬本来の持つ行動を認め、それをさせることにより、犬と人の関係が改善されていくことが多いのです。

そう、犬に自由に匂いかぎをさせて、その散歩に付き合えと言うのが最大の犬の拾い食い防止策になるのです。

私たちもやりたいことを無理矢理止めさせられると、余計にやりたくなるというか、むきになりませんか?

犬もそこには人と同じような心理が働きます。

やりたいことをやらせてもらえる、否定されずに行動できることは犬にとっても、人に飼われてしまったフラストレーションがひとつ減ることにもなります。

犬も好きなことをやらせてくれる人を好きになるのは、人の子とそう変わらないのです。

しかし...拾い食いを容認するのは勇気がいる...腐っていたら、犬の身体に良くないものだったら、お腹を壊したら...

わかります。当然の心配です。

そこで試してほしいのが安全な限定的な拾い食い❗

用意/準備するもの。
*犬の装備 ハーネス&3~5mのロングリーシュ
*トリーツ(細かくした物、3、5種類用意)
  トリーツはその犬の身体に合った大きさで用意してください。
*多量に使用する場合があるのでその時には主食を引算してくだい。
*首輪の類いは犬の匂いを嗅ぐという行動や体勢の妨げになるので、
 ハーネスをお薦めします。

使い方は簡単ですが、今まで匂いかぎをさせずに散歩をしていた人やその犬の行動を叱っていた人には受け入れがたい感覚になると思います。

その様な場合は道から始めず、犬を車に乗せて安全な草地に運んでロングリーシュを着けて、犬に何も求めず散策させる自由な時間を与えてください。
そして、脚側を要求せず緩んだリーシュでトリーツを犬の鼻先の少し前に落としてみます。

一個二個ではなく、多目に落としてかまいません。
犬が拾えるようになったら、犬より遠くへ投げてみます。
軽く一握りは撒いてみてください。
ロングリーシュなので犬は鼻を使いながらそこへたどり着いて食べてくれるでしょう。

拾い食いを禁止されていた犬はもしかしたら拾わないかもしれません。
叱られていた犬はあなたの顔色を窺うかもしれません。
またあなたも犬の行動が気になり、つい、声をかけたり急かしたり促したりしてしまうかもしれません...

そんな場合はスマフォでも取り出して、犬の起こす行動に介入しないようにすることをお薦めします。

拾いだしたらそっと見守ってください。

投げ落とすものはこちらで用意した安全で安心な物です。
思う存分、拾ってもらいましょう(^-^)

匂いをとっていいんだ、地面に鼻をつけていいんだ、ここでは拾って食べていいんだ...そうなのです❗限定的な拾い食いで犬の心身を満たすことが大事なのです。

鼻を使える犬に戻ったら、犬の行動を睨まず観察してください。


探している時、食べ物に近づいた時、見つけたとき...そのボディランゲッジの違いが判るようになると、トンデモナイ物を拾おうとする犬の行動の予測ができるようになって、こちらで用意した安全で安心なトリーツを先回りして落とせるようになっていきます。

嗅覚の世界を忘れてしまった犬たちが匂いの世界に戻り、自分で食べ物を獲得する喜びを見いだせる犬たちに共感できる、そんな人間でありたいと私自身は思っています。

#犬との暮らし #拾い食い #ロングリード



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?