セントルイス旅行記
こんにちは。生涯カージナルス&モリーナファンのgoyadiです。
2022年9月中旬、念願のセントルイスへ行ってきました。
本記事はそのレポートとなります。今後セントルイスへ行く予定のある方、カージナルスファンの方など、ご参考になれば幸いです。
また、当時のリアルタイムの私のツイートは、Twitterで#セントルイス旅行記と検索すると見られるのでぜひご覧ください!
※セントルイスの情報だけを書こうとも考えたのですが、自分の思い出記録の為にも個人的な情報も少し含めることにしました🙇
その為かなり長いですが、⬇️の目次からタップで飛べるのでぜひ活用してみてください。
1.行くまでの準備
2021年8月26日深夜1時(日本時間)、
こんなニュースが目に飛び込んで来ました。
大好きなカージナルス正捕手ヤディアー・モリーナの翌年限りでの引退発表。そしてこの瞬間、
私が翌年にセントルイスへ行くことが突然決定してしまいました。
この当時私は18歳で、海外旅行経験も無し。英語も話せず、何より一緒に付いて来てくれるようなカージナルスファンもいません。
しかし、今後ヤディ(モリーナの愛称)よりも好きな野球選手は出てこない、と断言できるほどヤディの大ファンである私は、彼が引退するまでには絶対に現地観戦をすると決めていました。そうしなければ一生後悔すると確信していました。
ヤディは一度、17年オフに3年契約が満了する20年シーズン限りでの引退を宣言。しかし新型コロナウイルスの影響で短縮シーズンになったことで単年での契約延長をしました。もしコロナが無ければ=20年にヤディが引退していたら、当時受験期だった私は観に行けていなかったでしょう。そしてそのシーズン中での翌年限りでの引退宣言。過去2回の引退宣言とは異なり、これが"本当の引退宣言"であることは明らかでした。
私がMLBおよびカージナルスを好きになったきっかけは18年冬の日米野球です。
「どうやらモリーナというWBCでも活躍した凄い選手が来日するらしい」という噂を聞きつけ、巨人戦を見に東京ドームへ。そしてまんまと彼の虜になってしまいました。当時巨人ファンだった私は、元巨人マイコラスがその年カージナルスで大活躍していた事もあり、2人を応援する為にカージナルスファンに。そして試合を見ていくうちに、脳筋でパワー系ばかりのMLBの中で頭の良さを生かして頭脳プレーを連発するヤディを見て、いつしか彼が自分にとっての"アイドル"となりました。
この日米野球の際に、ヤディの写真を何枚も撮ったはずなのですが何故か紛失。その為今回の旅の目的は"ヤディの写真を撮ること"でもありました。
時は流れ、3月下旬。
皆さんご存じの通り、セントルイスの英雄、アルバート・プホルスのカージナルス復帰&今季限りでの引退が決定したのです。
「生でヤディとプホルスを観れるなんて!」と当時の私ははしゃいでいました。飛行機の予約、ホテルの予約、球場チケットの予約、日程、同行者、何ひとつ決まっていないにも関わらず...
何も決まっていない事に焦った私は大学の友人に相談。すると、MLBを全く知らないにも関わらず「一緒に行こう」と言ってくれました!(昨年の時点でも同じ返事をされていたのですが冗談だと思っていました。)
よかった。一番大事な同行者が決まった。。
加えて彼は元々海外旅行が趣味であるため海外旅行未経験の私は一安心です。
旅行が決まってからは彼にもカージナルスの情報を教えてカージナルスファンになってもらいました。想像していたより興味を持ってもらったようで嬉しかった。
今回の旅行では、担当を分担することに。
海外旅行経験の友人が飛行機とホテル担当、私は球場チケットと現地キャリー担当になりました。
飛行機、ホテルを取ったのは6月頃(渡米の約3ヶ月前)。
球場に近いホテルはいくつもあるのですが、未成年のみでは宿泊できない場所ばかりで、結局球場から一駅ほど離れたホテルを彼が予約してくれました。
1-a チケット購入の手順
次にチケットの確保。ここが自力では難しく困っていた所、セントルイス留学経験のある@RyoCardinals さんに助けて頂き何とか取ることができました。Ryoさんにはこの他にもセントルイスについてや球場のことなど色々と教えて頂きました。心から感謝申し上げます🙇
詳しいチケットの取り方ですが、手順としては
①Ball ParkアプリをDL&アカウント作成
②日にち指定&球場マップから座席指定
③同行者にはメールでチケット情報を送信
④アプリにチケットが表示
という流れでした。全て英語で細かな注意書きも多く、初見では難しいかもしれません。
ただ一度やり方を覚えてしまえば簡単で、同じやり方でチケットを4枚取ることが出来ました。
これで準備は完了。後はヤディが怪我をしないように祈りつつ、当日になるのを待つだけです。
2.【1日目】球場までの道のり
日本時間9月12日午後3時に成田空港から離陸。日本からセントルイスへの直行便は無く、成田→ロサンゼルス→シカゴ→セントルイスという経路でした。(他にも経路はあります。)
ロサンゼルスからセントルイスへの直行便はありましたが値段がかなり高かったのでシカゴ経由。
ロサンゼルスに着いたのは現地時間午前8時。約10時間のフライトでした。次のフライトまで16時間ほどあったのでハリウッドへ。ここでついでにハリウッド観光をします。
という予定でしたが、離陸前の前日深夜に友人達とNFL開幕戦を見てから無眠で飛行機に乗ったため、到着した頃には気持ちが悪くなりハリウッドでは何も出来ませんでした。飛行機は狭すぎてトイレを10時間我慢してました。
ハリウッドのギネス博物館前で倒れ、マックで3時間ほど休憩。その間に友人に昼寝用のホテルを予約してもらい何とか助かりました。飛行機はきちんと睡眠を取ってから乗りましょう。でないと死にます。(本記事で一番伝えたいこと)ハリウッドのマックで吐く為に行ったトイレが"終わっていた"話は汚すぎるのでカット。
そして深夜1時に離陸、4時間のフライトで現地時間午前7時にシカゴへ到着。(ロサンゼルスとの時差は2時間) 1時間ほど休憩して、午前8時半に離陸。時差無しのセントルイスへ、40分で到着しました。
こちらがセントルイス・ランバート国際空港。割と大きかった。
セントルイスはMetroという路面電車兼地下鉄のような乗り物で簡単に移動することができます。さらにMetroは赤と青の2色しかないため、迷いようがありません。このMetroの乗車券を空港の駅で買い、ホテルの最寄駅まで向かいます。
Metroは改札機が無く駅員もいないため乗車券を誰にも見せることなく乗車します。ただ蛍光色の服を着たセキュリティがホームや車内に時々居り、ランダムで乗客に乗車券を持っているか確認しているようです。自分は今回の旅行で10回中1回だけ確認がありました。(但し乗車券を見せればすぐに終わります。)
Metroの車内ですが、かなり揺れます。加えてうるさいです。
今回のセントルイス旅行全体を通して感じた事でもありますが、車内は黒人がほとんど(体感9割)ですが球場は白人がほとんど(体感7割)でした。理由が気になるところです。(所得格差が関係しているのでしょうか...?)
そして彼らは爆音で自分の好きな音楽を流しています。長旅で疲れていたのもあり一発目の電車はブランコのような揺れと爆音のスヌープ・ドッグでかなり気持ち悪くなりましたが、何とか耐えました。危なかった。
そして、今回泊まったホテルがこちら。大きく清潔感のあるホテルでした。
最寄駅は球場の一駅前。球場へは歩いて行ける距離(20-30分)だったので、全ての試合へは歩いて球場へ向かいました。(帰り道は23時過ぎなので少し怖かった。)
ただしセントルイスは治安が悪いので気を付けてください。こちらはneighborhood scout(治安マップ、青いほど治安が悪い)のセントルイス周辺の地図。見ての通りヤっバいです。
この旅行を通して、昼間はそこまで危ないとは感じませんでしたが、夜はあまり出歩かない方が良いでしょう。また、球場の先にある橋を超えるとイースト・セントルイスという犯罪率全米第3位のスラム街ですので絶対に行かないようにしてください。
長旅で疲れていたので昼寝をした後、いよいよブッシュ・スタジアムへ向かいます。
3.Game1~初めてのブッシュ・スタジアム~
ホテルから歩くこと10分。まずは球場正面、スタン・ミュージアルの巨大像がお出迎えしてくれます。ここから左へ進むとBallPark Villageという飲食店や殿堂博物館があるゾーンに。中継によく映るSTLファンにはお馴染みの場所です。
飲食店は10店以上あり、大衆酒場のような雰囲気もあります。試合前にも関わらず人が多く、とても盛り上がっていました。
入場の際に知ったのですが、球場内には飲みかけのペットボトルは持ち込むことが出来ません。私は直前にホテルでペットボトルの水を買い、一口だけ飲んでから球場に入ろうとしたのですが、手荷物検査で没収されてしまいました。球場前では一般人がペットボトルの水を売っていますが、水は球場内でいくらでも買うことが出来るので買う必要は無いです。
次にグッズショップへ。ショップは三塁側と一塁側にありますが、いずれも球場内に入ってからでないと入れません。表からのドアが閉まっていたので戸惑いました。
このショップで、青のヤディユニと白のプホルスユニ、そしてTシャツを∞枚購入。円安もあり日本円で10万円以上かかってしまいました。
ユニフォームはあまり種類がありませんでしたが、球場内ではショップで販売していないユニフォームを着ている人が沢山いたので、通販サイトで事前に購入する人も多いのかもしれません。もしくは、この後紹介するショッピングモール内のお店で買うのもアリ。クリーム色ユニが欲しい方は事前購入必須です。
そしてついに、球場入り。
素直に感動しました。いつもテレビで見ているあの場所。夢の場所についに来ることが出来ました。これが現実だとは直ぐには信じられず、映画の中に入り込んだような感覚になりながら三塁側ベンチ裏の席に向かいます。
座席に座ると、横と後ろのカージナルスファンなら「青ユニいいね!」「ヤディ好きなの?」などと話しかけられました。今回の旅で一番文化の違いを感じたのはここで、なんと観戦した5試合のうち4試合で周りの観客から話しかけられました。そして周りでは常に初対面の人同士が笑い合いながら話していました。日本ではまず見られない光景です。英語力、ノリ共にあまり付いていけず上手く会話出来なかったので、次回行く時は周りの観客とも話したい!
ちなみに文化の違いランキング、2位は飯のボリューム。3位は声と体のボリュームでした。
今回の現地観戦を通して驚いたことは他にもあります。それは国歌斉唱について。日本も起立して歌う文化はありますが、球場では国歌前のGod Bless America(第二の国歌)が始まると球場全体の動きが完全に止まります。日本では外の売店やチケット入場まで止まっているのは見たことがないので、かなり驚きました。(WBCの東京ラウンドで確認しましたが止まってはいませんでした。) そして国歌が終わると拍手喝采で球場のボルテージが1段階アップ。最後が下がって終わる日本国歌と盛り上がって終わるアメリカ国歌、この部分も影響しているかもしれません。
また、国歌斉唱中に雑談している選手もいる中、両足のかかとをくっ付け背筋を伸ばして1人で国歌斉唱する、一際目立つ選手がいました。その選手はアルバート・プホルス。ベテランになると態度がいい加減になる選手も多い中、レジェンドは礼儀を重視。格の違いを見せつけられました。これはドーピングをして来なかったのも信用出来ます。
そう言えば、元々の情報で「セントルイスのファンは小さい頃から球場でスコアブックを付けて育つから野球をよく知っている」と聞いていましたが、ショップ内でスコアブックは見つけられず。球場内でスコアブックを書いている子供も1人も見つけられませんでした。今も続いている文化なのかは不明でした。
そして、記念すべき初試合の観戦が終了。
【試合結果】
序盤はアレナドとプホルスのタイムリーでシーソーゲームの予感も、先発モンゴメリーが不調で敗戦。初回にMILの先頭打者の放ったフライをヌートバーが落球し打者は3塁へ。ここから失点し調子も崩れていたため、モンゴメリーが可哀想な勿体無いプレーでした。まさかヌーイングより先にブーイングを聞くとは。
落球した瞬間には後ろの観客からGo Home!!とヤジが飛んでいました。
余談ですが、今思えばこの時はヌートバーが数ヶ月後日本で話題になるなんて思いもしませんでした。
そして本場のヌーイング(およびブーイング)はホルンのような野太い声でした。WBCで日本のファンがヌーイングをしていたのはファンとしても嬉しかったです。ペッパーミル・セレブレーションはあそこまで流行るとは思いませんでしたが...
とりあえず、負けてしまいましたが、結果などこの日の私にとってはどうでもよいのです。ブッシュスタジアム初観戦、大事な記念日です。
4.【2日目】観光❶ ゲートウェイ・アーチ他
セントルイス観光初日の2日目は@RyoCardinalsさんにおススメしていただいたBBQ屋さん、Sugarfire Smoke Houseに。
メニューはこんな感じ。これが驚く程全く理解出来ない。
とりあえず"ブリスケット・サンドイッチ"を頼みましたが、セットを5種類から1つ選ぶように言われ、全て何か分からない中から適当に選びました。(イモとベーコンをチーズでぐちゃぐちゃにしたやつが出てきました)
飲み物はドリンクバー形式。アメリカの常識ですね。ソースは種類が豊富でかけ放題です。
はち切れそうな腹を抱え、ドーム・アット・アメリカズ・センターへ。ここは中でカーレースも行われるほど大きなスタジアムで、昨年9月にはローリング・ストーンズがUSツアーをスタートした場所でもあります。セントルイスは(音楽の)ブルースの聖地でもあり、今回は訪れませんでしたが、National Blues Museumという音楽博物館もありました。音楽好きな方はぜひ。
加えて、この時は決まっていませんでしたが、2023年から開幕したアメフトのプロリーグ"XFL"のセントルイス・バトルホークスの本拠地となりました。かの有名な俳優ドウェイン・ジョンソンが買収した事で発足(復活)したリーグです。そして、リーグ創設初年度とあってどのチームもスタジアムは空席が目立っていたXFLでしたが、セントルイスの本拠地開幕戦来場者はなんと38000人超え。MLBと変わらない人数です。過去にNFLセントルイス・ラムズがロサンゼルスに移転して以来アメフトチームが無かった事が影響していると思われます。
個人的には、次にセントルイスに来る時はXFLバトルホークスファン、NHLブルースファンとしてそれぞれの試合を現地観戦したいです。
ここから歩くこと5分、ゲートウェイ・アーチが見えてきました。
ミシシッピ川のすぐ横にあり、周りは大きな公園となっています。近くまで行くとどうやらアーチの中を登れることが分かり、チケットを購入。料金は15ドルでした。人数が限られている為、10分毎の時間指定です。時間までは、セントルイスの街の歴史を学ぶ展示を見て楽しめました。アーチの近くに旧裁判所という建物があるのですが、展示によると人権問題に関してかなり重要な意味を持つ場所だそうです。(南北戦争の引き金になったとまで言われる裁判が行われました。)
指定された時間に列に並び、最頂部へは20-30人ごとにツアーガイドと共に進みます。途中、狭いトラムに乗り昇りますが、閉所恐怖症の人はキツいかもしれません。そして5分ほどで展望台へ。アーチ内からはミシシッピ川やブッシュ・スタジアムを見ることができます。
グッズショップも併設されており、アーチグッズを買うことができます。Tシャツ、パーカーはかなりの種類がありました。(30種類以上)
そしてここから歩いて10分、現地観戦2試合目に向かいます。
5.Game2~ウェイノ&ヤディ不滅の大記録325~
この日の試合はウェインライトとヤディの通算先発バッテリー試合数がMLB新記録の325となる特別な試合。球場周辺は昨日以上に熱気があり、不思議な緊張感も漂っていました。観客の多くはヤディのユニフォームを着用。もちろん私もです。
記念試合ということで入口ゲートでは記念タオルが配布されました。そして欲しかったクソデカコップ(当時のツイートの流れによりこういう名前になりました)もゲット。クソデカコップはカージナルスのロゴのものと2種類あり、店によって異なりました。
この記念試合ですが、私がチケットを取ったのは夏前で、その後にヤディが怪我で2ヶ月間の離脱。これがあってこの日が325試合目だったので、偶然、奇跡です。そして席もブルペンから歩いてくるところがよく見える一塁側ベンチ裏。これも奇跡。
この日はコンコースから球場の座席まで歩く動画を撮りました。映像では伝わりにくいかもしれませんが、通路は日本に比べて数倍広いです。また、試合中になるとコンコースでは中継の実況の声が大きな音で流れていました。
アメリカの球場は傾斜が緩いので、グラウンドが見える瞬間の映像は日本の球場の方が臨場感がありますね。
早めに席につきましたが、ヤディがベンチからブルペンに移動するところから既に拍手喝采でした。その後出て来たウェイノはパーカーを着ていたのであまり気付かれていませんでした。
そしてブルペンからレジェンドバッテリーが登場。ヤディはこの日専用のヘルメットを着用しています。球場からは大歓声。スタンディングオベーションです。
プレーボール。観客は立ったまま、歓声を送り続けています。そしてウェインライトが一球目を投じ、記録達成。歴史的瞬間です。
嬉しかったのは、ヤディの盗塁阻止(三振ゲッツー)が見れたこと。軽く投げて元チームメイトの俊足コルテン・ウォンを余裕でアウトにしていました。観客からは大歓声。
ヤディはその後タイムリーも放ち、打った瞬間ガッツポーズ。この試合にかける想いが伝わります。
また、8回のプホルスのタイムリーは通算2200打点で、これはベーブ・ルース、ハンク・アーロンに次いで史上3人目の快挙。1試合で2つの大記録達成となりました。
というわけで試合結果は...
現地観戦初勝利です。絶対に負けられない試合に勝ち、勝利投手はウェインライトと最高の結果になりました。アレナドとヌートバーはHR。
試合後には偶然ブッシュ・スタジアムに居らしていた@7ru3さんからどうしても欲しかったヤディとウェイノの記念ビール缶を頂きました。(未成年の為買えなくて困っていました)
ありがとうございました🙇
2つの偉業達成を目の当たりにした素晴らしい試合。しかし今回の旅でのベストゲームはこの試合では無かったのです...(もちろんこの試合も素晴らしかったですが)
6.【3日目】観光❷ セントルイス・ギャラリア
3日目はホテルの最寄駅から電車で1時間の場所にあるショッピングモール「St.Louis Galleria」へ。Richmond Heights駅から歩いて10分。広さは東京ドーム2.5個分と広く、約130店舗が入っています。アパレルショップ、フードコート、シアターなど種類は豊富。
その中でも、カージナルスファンには外せないのが2階にあるCardinal's Clubhouse。
キャップ、ユニフォーム、Tシャツなどありとあらゆるカージナルスグッズが勢揃いしている夢のようなお店です。球場のグッズショップより遥かに種類は豊富なので、観戦前にここに寄ってから行くのもアリかもしれません。(Metroは空港→ここ→球場の順番です)
カージナルスの他に、NHL(アイスホッケー)のセントルイス・ブルースのグッズも販売されています。私はここでセールになっていた20ドルのブルースパーカーを買った事で半年後にブルースファンになりました。
ユニフォームの圧着機械が中央にあり、好きなユニフォームを圧着して作ってもらう事も出来ます。
昼食は地下一階にあるフードコートで食べることができます。ペットボトルの水はここの売店でしか売っていないので買っておきましょう。
フードコートは5店舗で、うち3店舗は営業する気があるのか分からない雰囲気だったので消去法でPanda Expressへ。日本にもある、自分でおかずを選ぶタイプの中華料理屋です。お米が食べたかったのでチャーハンを頼みました。
ちなみに、この旅行中お米を食べるチャンスがあったのはここだけでした。どこもハンバーガーとピザしかない... 日本人には少し厳しい食文化です。
ショッピングモール内には、至る所にこのようなガム販売機があります。旅行する前から、一度は本場アメリカの甘ったるいマッズいガムを食べてみたかったので、グレープガムを食べてみました。2分が限界でした。
一階にはアメリカに200店舗以上あるチーズケーキ専門店「The cheese cake factry」がありました。日本未上陸なので甘いもの好きな方はガムなど買わずにこちらに行くのをオススメします。
そんなこんなで気付けば夕方。移動時間も考慮し、少し早めにモールを後にしました。
7.Game3~Clemente Dayのイエロー・ヤディ~
現地観戦3戦目はロベルト・クレメンテ・デー。
1972年、ニカラグア大地震の慈善活動中に飛行機事故で亡くなったパイレーツの英雄、ロベルト・クレメンテを称える日。そしてクレメンテはプエルトリコ人であり、プエルトリコの英雄でもります。そのため同郷のヤディは毎年クレメンテの背番号21を背負い、いつも以上に強い気持ちでプレーに臨んでいます。
以上の理由からこの日はヤディがスタメンで出ることは分かっていたので、事前にバックネット裏のチケットを確保していました。
そして試合開始時間になり、ブルペンからヤディが登場...
黄色い!
チームカラーが黄色のパイレーツのスター選手だったクレメンテに敬意を表するため過去には黄色いリストバンドを着けていたヤディでしたが、全身黄色プロテクターは初めてです。これは予想外でした。また、理由は分かりませんがアイブラックも赤色でした。(この2日後の第5戦も赤色でした。)
プレーボール直前、ヤディがこちら側を向き、空へ向かってクレメンテへの敬意を表す瞬間があったのですが、オーラが凄すぎて震えました。隣の友人とも「なんだ今の⁉︎...」と顔を見合わせるほど。(急だったのとオーラで写真は撮れませんでした)
下の写真は試合途中にレッズの打者が自打球で膝を痛めている場面です。ヤディの黄色いプロテクターと赤いアイブラックがはっきりと確認できます。
この試合中、この場面含めてレッズの選手が身体を痛める場面が何度も訪れたのですが、カージナルスファンは選手が回復すると拍手を送っていました。カージナルスに不利な場面でも同様でした。以前マーリンズ時代のイチローが「セントルイスのファンは温かい」と語っていましたが、今でもそれは変わらないようです。日本ではよくある事ですが、MLBではかなり珍しいと思います。
この日の夕飯はブリスケット・サンドイッチ。アメリカでは牛肉といえばブリスケット(牛の肩バラ肉)が一般的だそう。このお店はコンコースにシェフが居り、目の前で肉を切ってくれます。写真では伝わりづらいですが、肉は10枚ほど乗っていてハンバーガーのように持つことは不可能です。ピクルスと野菜とポテトチップスはセルフサービス。私の前に並んで居た人達は誰一人野菜をトッピングしていませんでした。ピクルスだけは大人気。
めちゃくちゃ美味しかった。
試合結果はこちら。
先発マイコラスを援護する事ができず、わずか3安打で敗戦。9回裏にはディアズ弟から一打サヨナラのチャンスを作りましたが、代打ディッカーソンが役目を果たせませんでした。
ただ、3回表のホームスチール阻止や8回表のRFヌートバーのバックホームなど見所は多く満足感のある試合内容でした。この時のヌートバーのレーザービームは最近テレビでよく見かけます。捕手が黄色かったら間違いなくこの試合なのでぜひ探してみてください。凄まじい送球でした。
その他には、イニング間のカップルがキスするコーナーで、レッズファンの夫婦がキスをしているのを見て周りのカージナルスファンが一斉にブーイングしていたのも面白かったです。そのコーナーのスポンサーが歯磨き粉の会社なのは上手いなと思いました。
MLBはイニング間のイベントが多くて楽しい。
8.【4日目】観光❸ フォレスト・パーク
最終日は夕方には離陸するためこの日が観光最終日。とは言え観光できる場所も殆ど行き尽くした感はあるのですが、そんなセントルイスの観光地最後のピースがフォレスト・パークです。
Metroの赤・青ラインの折り返し駅であるForest Park駅の目の前にあるフォレスト・パーク。公園という名前が付いていますが、実際は東京ドーム430個分の総面積を持つ1つの町です。ニューヨークのセントラルパークより広く、1904年には万国博覧会が行われた場所でもあります。
公園内は歩いて全て回るには広すぎるため、バスや車が走っています。レンタル自転車を使っている人も大勢いました。
そんな広い公園内には歴史博物館、動物園、美術館、劇場、スポーツ施設、そして数多くのレストランがあり、なんと入場料は全て無料です。(駐車場だけ1日10ドルかかります。)
まずは朝食兼昼飯。入口から歩いて15分ほどの場所にある「Boathouse at Forest Park」というサンドイッチ屋さんに行きました。
食べるのはテラスと店内どちらでもOK。天気が良かったのでテラスで食べることにしました。セントルイスは夏は暑いようですが、9月中旬では昼も夜も快適な温度で過ごしやすかったです。隣に大きな池とボートハウスがあるため、ボートを漕ぐ事も可能。多くの家族連れがアヒルボートに乗っていました。
私が注文したのがサーモンのクロワッサンサンドイッチ。サーモンと書いてあったので大外しする事は無いだろうと思い注文しましたが、クロワッサンだとは思いませんでした。それもそのはず、クロワッサンは英語でCroissant。初見で読めるわけない。
味付けはマヨネーズと塩胡椒(どちらもセルフサービス)とシンプルで、朝にピッタリのサンドイッチでした。
朝食兼昼食を終え、まずは動物園へ。正式名称はSt.Louis Zoo。事前に無料と知っているはずなのに「チケットはどこで買えるか?」と聞いてしまう天然を挟みつつ、エントランスゲートを進んで行きます。
中は5つのエリアに分かれており、北エントランスから入ると昆虫エリアが目の前にあります。
蝶のドームは海外ならではの個性的な蝶たちを間近で観察する事ができ、昆虫好きの私はとても楽しめました。昆虫嫌いの友人はどこかに消えてしまいましたが。
その先は通常の動物エリアで、生息域ごとに4つに分かれています。マップには数多くの有名な動物達が描かれていました。
しかし、実際に展示されているのは3割くらい。ライオンなどのメイン所はほぼほぼ「準備中」の看板がぶら下がっており、見る事ができたメイン所の動物は明らかに広すぎる飼育スペースの中央にポツンと居座る小型の象とケツを見せ続ける4頭のシマウマのみ。自分達はいいけど家族連れの子供がガッカリしていて可哀想でした。ただ無料な以上文句は言えないという...笑
一応写真には収めました。
ただしこの他にも沢山のマイナー動物が居たので飽きることはありませんでした。何なら、どの動物が居るかクイズで盛り上がりました。次行く時は動物の種類が増えている事を願って、動物園を後にします。
続いて訪れたのが美術館。正式名称「St.Louis Art Museum」。ここが凄かった。
まず正面に聳え立つのが元フランス国王ルイ9世の銅像。元々フランスの植民地だったセントルイスの名前の由来です。
そして反対側を向くと、この場所は高台になっているため公園の景色を眺める事が出来ます。
飲み物は受付に預けて、いざ館内へ。
エントランスの天井は吹き抜けで、窓から光が差し込んでくる作りになっています。写真に写っている人の大きさを見ると、その広さが伝わると思います。美術館自体は3階建てで、Level1,2,3という名前が付けられています。古代の壺やミイラから現代アートまで約3万点が展示されており、入館無料が嘘のような充実っぷり。館内は迷うほど広いので、公式サイトでマップや絵画の位置を随時確認しながら鑑賞するのが良いと思います。
ここで、展示物も時期によって異なるので確実に見れるとは限りませんが、この美術館でぜひ見て欲しい絵画をいくつか紹介します。
まずはキュビズム作品。
キュビズムとは物体を多方面から見たイメージで描く美術表現で、キューブ(立方体)が語源です。ピカソとブラックの2人が1900年代初頭に生み出し、世界に広く知れ渡りました。
そんなピカソとブラックの作品がこちら。
同じく20世紀を代表する画家、シャガールのキュビズム作品。ピカソとシャガールは仲が良かったという噂も悪かったという噂もありますが、お互いに影響を受けていたのは確かでしょう。
日本では「オーヴェルが見える葡萄畑」という名前で有名なゴッホ晩年の作品。ゴッホの作品は同じ部屋に3つありました。
ゴッホと「黄色い家」で2ヶ月だけ共同生活を送っていたゴーギャンが、同棲期間中に描いた作品がこちら。
初めは仲が良かった2人は2ヶ月間でゴッホは37作品、ゴーギャンは21作品も制作しましたが、結局大喧嘩をして関係は破綻してしまいました。そしてなんと、家を出て行く際にゴーギャンはゴッホの耳を切り落としたそう。(諸説あり) ただ当時はゴッホが自分で耳を切った精神異常者として世に広まり、さらに2年もしないうちに経済的に不安定になったことでゴッホは自殺してしまうんですよね。
最後に、印象派の巨匠モネの作品。
「睡蓮」も時期によっては展示されているようです。
このように、セントルイス美術館には数多くの有名な画家達の名画が展示されていました。改めて、無料とは思えません。
少しドキッとしたのは、館内を歩いている時にガタイの良い警官に突然話しかけられた時。何を言っているのか聞き直しても全く分からなかったのですが、友人が「Tシャツどこで買ったか聞いてるよ」と教えてくれました。私がこの時着ていたのは、前日にスタジアムで購入した"325 yadi&wainwright Tシャツ"。前日に発売されたばかりなので初めて見て気になったのでしょう。 にしても急すぎてビックリしてしまいました。
こんな事をしている内に、すっかり夕方に。この日はスタジアムの入場特典として先着でセーターが貰えるはずだったのですが、美術館に滞在しすぎたため貰えず。試合開始にもギリギリで間に合いました。
9.Game4~球場が揺れたマシーンの一撃~
前日がクレメンテ・デーでヤディのスタメンが確定していたので、この日は休養日としてヤディは出場しないだろうと予測し、外野席を予約。
結果、予想は的中しスタメン捕手は控えのキズナーでした。
まずはずっと気になっていたナチョスを購入。
トッピングの種類など色々聞かれたのですが、何も分からず"Yes!"と言いまくった結果、とんでもないデカさのが来ました。値段は10ドルくらい。ソースの肉が大きくて美味しかったです。唐辛子は辛すぎた。
試合は同点の五回表、先発フラハティがノーアウト満塁のピンチから2点タイムリー2ベースを打たれ3-1に。
この時点ではファンも敗戦モードで、近くに座っていた子供は泣いてしまいました。これを見た球場職員が、ヌートバーにその子へのボールを投げるよう要求。周りの大人全員でアピールするもヌートバーが気付かず、結果、ボールを貰った別のファンがその子にプレゼントしていました。
またその後カージナルス・カウボーイ的なおじさんが現れ、前の席にその子を連れて行き2人で試合観戦(子供は緊張しており終始無言)、1イニング見終わると最後は記念撮影をして帰って行きました。
あれ、なんだったんだろう。
反撃開始は6回表、アレナドのタイムリーヒットでゴールディが生還し4-2。そして打席には5番プホルス。流れが傾きつつあったことで、HRを期待するファンの声援はヒートアップ。
その初球でした。真ん中付近に甘く入った変化球を振り抜いたプホルスの打球はレフトスタンド上段へ。通算698号は試合を振り出しに戻す特大同点2ランHRとなりました。
ファンは歓喜、というより絶叫。私も今回の観戦の中で一番叫びました。HRの瞬間は動画を撮っていませんでしたが、もし撮っていても興奮してブレブレ、かつ周りが全員手を挙げていたのでほとんど写っていなかったのではないかと思います。
ダイヤモンドを一周し、ヤディとハグ。その後歓声に応えてカーテンコールをするプホルス。5試合中1回はプホルスのHRを見たかったのでとても嬉しかったです。
座席から見た弾道はこんな感じ。これまで何十本ものHRを現地で見てきましたが、プホルスのものは全く別物でした。まさにマシーンから飛ばされたような打球。まるでCGのような打球角度と滞空時間でした。確信歩きも最高。
そして真横のブルペンではガイェゴス、ヘルスリーら勝ちパターンの投手陣が準備を始めました。ガイェゴスは序盤からブルペン横に座ってブルペン捕手と談笑していたので暫く観察していたのですが、何度も目が合いました。「何を考えているんだアイツ...?」みたいな顔で見てきましたが、何も考えずに「カッコいい...」と思いながら見てただけです。
WBCでは日本の村上選手にサヨナラ打を打たれて不本意な形で知名度が上がったガイェゴスですが、これでは不憫なので乱闘の時に人一倍ヤンキーだったというガイェゴス宣伝ツイートをしておきました。思ったより伸びて困惑していますが...
こうして後ろの子供も機嫌を戻した矢先、ジョジョ・ロメロが7回表にソロHRで再度勝ち越されます。(WBC準決勝でも日本の吉田に3ランを打たれていましたね。そういうとこだぞ、JOJO。)
しかしその裏にゴールディとアレナドの二者連続タイムリーツーベースで再逆転。次打者プホルスはフェンス一歩手前まで伸びる大飛球でHR未遂。
9回表は守護神ヘルスリーが登場。今季途中から始まった、球場全体が炎の赤色に包まれるデラックス演出は圧巻でした。映像はこちら。
ヘルスリーはこの豪華演出に相応しい完璧なピッチングを披露。9球のストライクで3人を抑える通称"イマキュレート・イニング"を達成しました。球団ではかつての守護神ジェイソン・イズリングハウゼン以来20年ぶり3度目の快挙。
ヘルスリーもイズリングハウゼンのような絶対的守護神まで、後一歩です。
こうして第2戦をも上回る最高の試合が終了。
試合結果はこちら。
見所が多かったこの試合ですが、守備面で特に凄かったのが5回表、タイムリーを打たれた直後のアレナドのプレー。個人的にはアレナドの今シーズンNo.1プレーだと思います。捕球出来る事自体が凄いのにも関わらず、体勢を崩しながらホームへ送球し補殺。どんな体幹があればこのプレーが成立するのでしょうか。
ライトスタンドからでは方向的にも距離的にも何が起きているのかよく分からなかったのですが、プレー後スクリーンにスロー映像が流されると球場全体が大歓声に包まれました。最後のスロー映像を見て初めて凄さが分かるスーパープレーです。
試合終了後の球場最寄り駅の様子。試合前と後はカージナルスファンで一杯です。
プホルスのHR。逆転に次ぐ逆転。
この日は興奮で中々寝付けませんでした。
ヤディとウェインライトの偉業達成、ヤディの盗塁阻止、そして今日のプホルスのHR。
「もう今回の旅で見たいものは全て見れた」
と思っていました...
が、見たいものは"あと一つ"あることをこの時はすっかり忘れていました。翌日"それ"を生で見るまでは…
10.【5日目】観光❹ STL殿堂博物館
第二の故郷ことセントルイス滞在最終日。
荷物をホテルのフロントに預かってもらい、最後のブッシュ・スタジアムへ。初のデーゲームです。
この日はまず、スタジアムの隣にあるカージナルス殿堂博物館を訪れました。例のBallParkVillageの中にあります。
入口でチケットを購入して早速中へ。
まずはスタン・ミュージアルの紹介から。
この先は球団の歴史の説明と貴重な資料の展示がありました。そして個人的にテンションが上がったのが1982年ワールドシリーズのコーナー。私は1982年のSTLが歴代最高チームだと確信する程大好きなので堪りませんでした。(このアカウントのnoteにも全3回に分けてまとめてあるのでぜひご覧下さい。)
ブッシュ・スタジアムのリアルな模型や、球団記録一覧表もありました。
11.Game5~お別れのスタンディング・オベーション~
実はこの試合は本来観戦予定ではありませんでした。というのもロサンゼルス行き飛行機の離陸が夕方5時だった為、仮にデーゲームでも時間的に見れないはずでした。
しかしシーズン序盤に雨天中止になった試合の振り替えが偶然この日に決まり、ダブルヘッダーに。そして第1戦の試合開始時間が正午すぎであることが直前に発表。こうして急遽"延長戦"、第5戦の観戦が可能となりました。チケットを取ったのは第1戦に向かう直前で、金銭的に少し悩みながら、でもせっかくならと思い残り数席しか空いていない座席を急いで確保しました。
そして、この決断は...大正解でした。
座席はホームベース裏のやや後ろ。値段は高かったですが、なんせここしか空いていませんでした。
また折角なら最後にヤディとプホルスを見たいと思いましたが、ダブルヘッダーなので2人ともスタメンでは2試合どちらかにしか出ない事は確実。そしてスタメン発表。緊張しながら動画を撮りました。
2番プホルス、8番ヤディ!!!!!!
プホルスは2番ファーストはプロ初。プホルスのファースト守備を見られるとは感激です。これもダブルヘッダーのおかげ。(ゴールディに2試合連続ファーストを守らせるのは負担が大きい為。)
2番は今シーズン初めて。相手先発は得意なサウスポーのマイク・マイナーで、700号達成に向けてより多く打席機会を与える為のマーモル監督のサービス精神です。
シーズン終了後に振り返ると、36歳マーモル監督は今季が監督初年度ですが一年通して演出の上手さが際立っていました。(プホルス&ヤディのピッチング、プホルスの起用法、ホーム最終戦のレジェンド3人の交代など)
まさにレジェンドイヤーの今季にピッタリの有能若手監督でした。
試合が始まる前に、欲しかったヘルメットアイスを購入。家に飾ります。
そして試合開始。もう見たいものは全て見た気でいたので、これまで以上にリラックスしながらの観戦。
それでもヤディの打席だけは目に焼き付けようと前屈みになりながら見ていました。
ヤディの第二打席。
「この人を見に来たんだ...引退前に生で見れて本当に良かった...」
(カキーン!)
「えっ...!?」
ヤディの放った打球は満員のレフトスタンドへ一直線。第5号ホームランです。
直ぐには信じられず、声も出ませんでした。
というのも今シーズンのヤディは年齢もあり打撃は衰えが隠せず、この日までで打率は2割前後、HRはわずか4本でした。
よくよく考えれば、世界一好きなバッターのHRなど自分自身絶対見たいに決まっているのですが、この成績な以上諦める以前にHRの可能性自体を忘れていました。
そんな事を考えているうちにヤディはグラウンドを周りベンチ前でプホルスとハグ。昨日見た光景の真逆です。そして観客は総立ちのまま声援を送り続け...
カーテンコール!!!
私にとってこの瞬間は、この旅行の本当の目的を思い出した瞬間であり、そして「本当に来て良かった」と思えた瞬間でした。
またこのHRは結果的にヤディの現役最後のHRとなりました。
試合結果。
無事、現地観戦最終試合を勝利で終えることができました。計5戦で3勝2敗、上出来です。
こちらはプホルスのこの試合の最終打席の映像。デーゲームでも勿論スタンディングオベーションです。
この試合、ヤディのHRは激熱でしたが、実際猛暑でした。私達は上に屋根(2階席)があったので助かったのですが、球場の大部分は強い日差しに照らされており観客は汗を拭いていました。
セントルイスの夏は暑いとは聞いていましたが、9月後半でも暑いとは予想外。マイコラスが以前インタビューで「セントルイスの夏は暑いからデーゲームでは早くベンチに下がりたいので投球テンポが遅くなるとイライラする」と語っていた理由が分かったような気がしました。
もし今後夏に現地に行かれる方はデーゲームはとても暑いので座席選びには十分注意して下さい。
(この旅行の数日後、ホーム最終試合ではヤディとプホルスの引退セレモニーが行われました。約40分間のセレモニーの全訳を現在作成中です。完成したら告知ツイートをさせて頂きますので宜しくお願い致します。)
夕方に離陸し、ロサンゼルスで一泊。翌朝の便に乗り、帰国。こうして私の約10日間のセントルイス旅行は無事終了しました。
11.今シーズンと旅のまとめ
プレーオフは残念ながら2連敗で初戦敗退となってしまった2022年のカージナルス。「2人の引退年に何をしているんだ」と怒るファンの気持ちも分かりますが、私は700号HRと325試合登板、そして何よりレジェンド3人でのシャンパン・ファイトが実現した時点で2人がやり残した事は無いのではないかと思いました。プレーオフで全く打てなかったゴールディとアレナドへの批判もありましたが、インタビューから分かる様に彼らが今季に賭ける想いは人一倍強かった。その想いが2人ともMVP候補(ゴールディは受賞)という素晴らしいレギュラーシーズンの結果に現れているでしょう。2人には感謝しかありません。プレーオフ敗退時に唯一心残りだったのはウェインライトがプレーオフで登板出来なかった事と200勝達成出来なかったことでしたが、来季42歳の闘志はまだ燃え尽きていなかったようで、現役続行を表明してくれました。
WBCのヌートバーの大活躍で、日本の野球ファンからの注目度も高くなったカージナルス。私も近頃はこの機会を逃すまいとMLBおよびカージナルスの良さを伝えるツイートを頻繁にしています。
ですが、カージナルスファンを必死に増やそうとしている私がこんな事を言うのは頭がおかしいと思われそうですが、カージナルス史上最高のシーズンは2022年です。こんな事絶対ツイート出来ませんが、ここまで読んでくださった方には真実を伝える必要があるでしょう。仮に来季以降世界一になっても、絶対に昨季を超えるシーズンになる事はありません。断言出来ます。ヌートバーがMVPを取ってもです。その理由はここまで約2万字を費やして散々説明してきたので今更語りませんが、昨季は間違いなく伝説のシーズンでした。
しかし、過去最高を更新する事は出来なくても、それに並ぶ事は可能です。今季は大事なウェインライトの引退年。ヌートバー始めゴーマン、ウォーカーなど期待の若手も揃っています。今季は昨季の悔しさを胸に世界一を掴み取り、選手達には2年連続で過去最高のシーズンを演出して欲しいところです。
最後に、大事な旅のまとめです。私は今回のセントルイス旅で「行動すれば道は開ける」という事を学びました。
何となくで見に行った日米野球。そこでヤディアー・モリーナと出会い、いつしかセントルイスで彼のプレーを見る事が夢の一つとなりました。そして勢いでアメリカ行きのチケットを取り、人生初の渡米。するとその試合は奇跡的に彼の大記録達成となる記念試合。さらに、行く予定の無かった最終日のチケットを思いつきで取り行ってみたところヤディが(結果的に)現役ラストとなるHRを放ちカーテンコール。これらは偶然・奇跡ですが、行動したからこそ起こり得たことでもあります。
私は何に対しても消極的で慎重派の人間でしたが、この旅をきっかけに積極的な行動を心がける事を誓いました。今まで周りの大人から何度もそのような事は言われてきましたが、実体験が無いため信憑性が無く、聞く耳を持っていませんでした。しかし私が今回自分で実体験をしたからこそ、それが事実であるということを理解出来たのです。
そしてそんな腰の重い私を家から連れ出し異国の地アメリカへ引き寄せてくれたのは、他の誰でもない私の永遠のアイドル、ヤディアー・モリーナだったのです。
※今回の旅行総額:約53万円(全額実費)🫣
(セントルイス旅行記 おわり)