障害者の社会進出のきっかけを作ったグッドマン医師の偉業。
先日見た映画「ベスト・オブ・メン〜人間の最高〜」 (2012)を見て感じたことメモ。
1948年にパラリンピックが誕生した実話を描いた作品。
第二次大戦で脊髄損傷をした患者を担当することとなったドイツ人医師は、赴任早々にそれまでの病院での治療方針に驚かされる。
それは患者の身体の機能を回復させるものではなく、モルヒネとギブスでベットから動けないよう固定し、苦痛を和らげるだけといった現代では考えられないもの。
当時、戦争で障害を負った患者は「恥」であり「隠すべき者」と考えられていたのです。
オープニングの軽快なBGMでスウィングをしながら介護されるシーンから、健常者だった頃と、障害を負った現状のコントラストを表現しています。
ドイツ人医師であるグッドマンは、周囲の反発を跳ね返しながらも、単なる苦痛の緩和ではなく、患者を回復をさせる治療を進めていきます。
モルヒネを中止し、褥瘡を治し、ベッドから車椅子へ移し、外出させ、リハビリをさせるのです。
そして社会へ出ていくように進めるのです。
そして、患者の機能を回復するだけでなく、「障害があっても輝ける社会」を作っていこうとしてパラリンピックを提唱したのです。
最初は小さい大会でした、それが世界中から選手が参加し、70年以上経った今まで続いているのです。
こんなに素晴らしいことってないですよね。
グッドマン医師が、将来に不安を感じる患者に向けて放った力強い言葉に心を打たれました。
乗り越えるべき壁や、対処すべき固定概念がある。 この場所(病院)の目的はなんだ?世間から隠れる幸せな子供を育てるため? 忘れ去られた男と過保護なスタッフのいる場所か? 違う、送り出すための場所だ!送り出す!野望と目的を胸に!夢があるはずだ! 父親や夫になる人もいる。普通の人と同じように悩むんだ!課題が少し多くても、家賃と税金を払うべきだ。
君たちには悩む権利がある。私は君たちを守るつもりはない!
これからの病院は、障害を負った人を「隠すべき対象」として考えてはいけない。同時に、障害を負った当事者だって野望と目的を持って社会に出ていくことが必要なのだと、グッドマン医師は言うのです。
当時と比べると、現代は障害があってもはるかに暮らしやすい社会になっていると思います。
まだまだ不十分な部分はあるかもしれませんが、今日の状況の礎を作った一人の医師について知ることが出来た映画でした。
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