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光を絵の具で再現する「混色」の話

 光の性質、絵の具の性質をシンプルに考えて関連付けるだけです。基本的な知識を技術として使いこなすことができれば画面の中で明るい部分や光っている部分をしっかり、そのように表現できるようになり、画面をライティングする感覚で描くようになります。


 まずは、光と絵の具の性質を確認します

光の性質

・明るい
・彩度が高い

つまり光の影響を強く受けている所は、そうでない所に比べて明るく彩度が高くなります。

絵の具の性質

・混色すると彩度が下がる
・赤、青、黄を混ぜるとグレーになる
つまり絵具は混色しない状態が一番彩度が高く、混ぜる絵の具の数が多くなるほど彩度が低くなります。

 上記の光の性質、絵の具の性質は説明するまでもないでしょう。ではこれらの性質を使って絵の具で光を再現するにはどうすればいいでしょう?

 暗くなるほど混色に使う絵具の色の数を多くすればいいんです。


  絵の具の場合は彩度を正確に把握することはできません。そこで「混ぜる絵の具の数」に注目します。混ぜる絵の具の数が多くなるほど彩度が低くなります。明るい色ほど混色する絵具の数を減らし、暗い色ほど混色する絵具の数を増やせば正確な彩度は把握できなくても理論的には光を再現していると考えられます。光って見えるように描くには、どうやって暗い部分の彩度を落とすかが問題になるんです。


 ここで必要になってくるのが赤、青、黄の3原色でグレーを作る方法です。茶系やグレー系の絵の具を使ってしまうと疑似的な彩度を把握できないからです。


 下図に強い黄色い光を表現するグラデーション(ポスターカラーで描いています。いつもなら乾く前に刷毛でなじませますが、わかりやすいようにそのままです)

混ざってしまう色

 真ん中に光の影響を強く受けた際のグラデーション。右側に混色に使った絵の具、左側にはグラデーションをかけた際に混ざってしまう絵の具を示しました。
 グラデーションをかける際には紙を濡らした状態で次第に暗い色を重ねていくため、下の絵の具と混ざってしまいます。そこで最初に作る混色は赤、青、黄の3色を1色ずつ段階的に暗い色に差し替えることで色を濁りにくく、段階的に彩度を落としています。


実例

 上図の赤、青、黄の順番を入れ替えることで下図のようなグラデーションを作ることができます。3原色でグレーを作ることで様々な色の光の影響を作ることができます。
 これを光を受けたビルの壁として考えた場合、どの辺りに何色混ざっているかを考えて、それよりも彩度の高い色か、低い色かを意識して窓内や看板を描きます。
 一番彩度が高い色は混色していない色です。その色に白を混ぜた色より彩度を高くすることはできません。

3色の光

 同じ窓にしてもカーテンの有無や間接照明かどうかによって、壁よりも彩度が高いか低いかは色々です。問題は絵の具を何色混ぜるかを意識することによって彩度の高低を描き分ける事ができるかどうかです。

3色の光2.


 絵の経験が浅い頃は明度に意識が行きがちです。彩度に目をむけてみてください。

 これはあくまでも光を絵具で再現する考え方の一例です。明るい部分の彩度を下げ、影の部分の彩度をあげるイラストレーションのテクニックもあります。今のあなたにしっくりくる考え方を模索してみてください。




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