文章組手 第11回「食事」1000文字
上京したばかりの時は今より20kg痩せていた。
増えた肉は思い出の数ではない。
二郎系ラーメンにハマったからだ。
16年前、新宿は小滝橋通りでバイトをしていた。職場の喫煙所で仲の良いバンドマンとお笑い芸人が超絶ニンニクくさい息で話している。あまりの匂いに何を食ったのかを聞いたら、目と鼻の先にあるラーメン二郎小滝橋店に行ってきたと言う。
「大阪にはないヤバイラーメンだよ」
翌日、昼過ぎのシフトだった私は出勤前に直行。小滝橋は食券提出時にトッピングを伝える。友人に言われた通り「ヤサイ!ニンニク!」と伝えた。すると目の前に山が運ばれた。
ご存知の方もいらっしゃられるとは思うが二郎系は量が多い。並でも普通のラーメン屋の大盛り以上だ。小滝橋店は量が少ないと言われてはいるがそれは二郎基準。そして脂がすごい。プリンみたいな脂がこれでもかと入っている。初二郎、撃沈!
こんなもんラーメンちゃうわ!塩っ辛いうどんやないか!
そんな思いを友人に伝えたところ、二郎好きのテンプレ回答
「店によって全然味が違う」
チェーン店なのになんでやねん!二度と行くか!そう思って数日後、知人のライブを見に行くために高田馬場へ。高田馬場エリア、ビジュアル系のライブハウス。高田馬場は飯が美味いと聞いていたので道すがら店を探していると先日撃沈したラーメンの香りが…
【ラーメン二郎高田馬場店(移転前)】
デデーン!ここにもあるんか!?何か匂いが違うような…行ったろ!
ヤサイ!ニンニク!あ!後で言うんですか!?……ヤサイ!ニンニク!
デデーン!目の前には小滝橋の量が一般のラーメンに思える量のラーメンが。そしてチャーシューがシーチキンみたいにほぐされてる。全然違う!食うたろ!……え!?めっちゃ美味い!?
すべてが違う。店によって味が違うのでどこが美味いとかの話はよそう。地獄の元だ。二郎を食らう覚悟を決めて入ったからか、その味は最強に脳みそを刺激し、その後の友人ライブでは脂により腹を下し便所に立てこもることになったが,、あの強烈な味をすでに求めてしまっている自分に気がついた。
そして私は自分の家から一番近い二郎系を探した。それが当時「二郎系最強」と言われることもあった「ラーメンマルジ要町店」だった。ぜひ画像検索してほしい。ハマった。完全にハマった。「少な目!」と言っても無視されるほどに通った。ピーク時は週3日だ。そりゃ肥えるっちゅうねん。
月に3度は二郎を食って16年……私は、完成した。そして今!糖質制限をはじめて過去を取り返そうとしている!もう一度……二郎にイチからハマるため……
BAD END
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