2名独居の危険

2014.3.2

 今、俺の舎房は5名MAXのところに三人入っている。中には一人で入ってる奴が二人もいる。
 刑務所に収容されている人間は激減したのだ。
 刑務所に入る人間がこれほどまでに減ったのに俺はまだその収容されている側の人間だってことが悲しいよ。
一時は受刑者の数が多すぎて6人部屋に二段ベッドを置いて8人詰め込んだり、独居に二名詰め込んだ。しかしね、人間こんなにも狭いところで他人と暮らしてりゃ必ずもめることになるのさ。
 以前熱が出て入病となったのに病舎に空きがなく、フラフラのまま歩いて行って懲罰房を使わせてもらおうとなった。  なんでもいいよ具合が悪いんだから早く寝かせてくれよ。そう思って着いた舎房にはやはり具合の悪い先客がいた、布団を並べて敷いてみると完全に布団は重なっている。
布団がこんなにも重なるような敷き方しかでいない狭い部屋に野郎二人で寝たって体が休まるはずもない。そう思うといらいらしてくる。
とりあえず先に入ってた先輩に『あの、別にあなたが気に入らないわけじゃないのであまり気にしないでくださいね』と言って刑務官に食いついたよ。こんなところで男と一晩超すというのなら、懲罰言ってでも一人のほうがましだからな。
 俺は後にも先にも独居で二人になったのはこの時の1間半くらいのものかな。でも中には仲がいいのでそのまま二人ではいるってのもいるよ。でも大概がどんなに仲が良くても悪くなるのは時間の問題。下手に喧嘩が始まれば止める人がいないんだから、とことん最後までやることになっちゃうんだよね。
 俺が府中の独居にいたときやはり過剰拘禁状態で二人で入ってる独居が結構あった。俺の目の前の舎房もその一つで、とことんやっちまったんだねこの人。暴走族上がりで右翼出身者の秋山さんは腰の低い感じのいい人だが、見た目だけで判断して、舐めてたんだな。その相方は。今回の被害者になった。
 今日は聞き流せなかったと後日談。人間誰しも気分のいい時ばかりじゃないからね。対面の俺の舎房がこうなると指定席だ。始まったけんかを見てるが、あれはけんかじゃない。「あれは喧嘩じゃないよ、秋山さん!」試合になってなかった、あまりに一方的すぎて。で。大暴れの秋山さんが小窓にちょこちょこ見えるんだけれどだんだん下向きになってきて相手はグロッキー。でもやめない。なぜか俺が叫んだよ「おやじ―止めて!殺そうとしてるよ」って。そんな秋山さんが今は○○としてのんびりやってるなんて。それもありだな。近いうち行きますよ。あ遊びにね。


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