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死亡事故の裏側

2014/11/1 記
 北海道の海水浴場近くで、歩いていた3人の女性を飲酒運転の車が轢き殺してしまった事件を知ってるかい。
 危険運転の適用が認められずに、車内でスマホに気を取られていたという過失。とされた裁判は、軽い判決を下す方向で進んでいた。
 しかし遺族の執念の署名活動が実を結び、検察庁は過失運転から危険運転に起訴内容を変更した。
 これで運転していた彼は重刑で罰せられることとなる。

 俺はこの、交通事故で刑務所に行ったやつを結構見ている。
 前刑で、小金井署の留置から八王子の地検に調べで行った時のこと。
 同行室で、俺の向かい座っていた若い奴は、偶然一緒になった地元の先輩らしき男と話をしていた。
 話に耳を傾けていると、
明け方まで飲んで車での帰宅途中、スピードの出し過ぎでカーブが曲がりきれず、歩いていた老夫婦をはね、婆さんの方は弾き飛ばされた勢いのまま崖を転落して死亡した。

 本人は、何てことをしてしまったんだと言っては頭を抱えていた。
 罪悪感から自分を責めていたのだ。
 でもね、人って変わるんだよ。

 この後、彼とは八王子の拘置所で同じ部屋になり再会するのだが、その時はすでに事件には、危険運転が適用されていて、彼には8年の実刑判決が下されていた。
 当時刑務所へ行くなんて思っても見なかった彼が、判決後に見せる態度にはもう、罪悪感なんて感じなかった。
 今の彼がいうセリフは、
「あんな時間にあんなとこ歩くかよ」
 「本当についてねえ」
 挙げ句の果てには
 「老人じゃねえかよ」
と言い出す始末。

 どう思う?彼ばかりじゃなく、刑務所にいるやつにこういうのは多い。
 強がって言ってるのかもしれないが
「人ひとり死んだくらいで」
 「俺は二人殺してる」なんて堂々と言ってる奴がいるんだよ。

 イラッと来ても、そいつらにとやかく言える資格のない俺はなにも言えないけど、人が死んでるんだものね。
 今回の海水浴場での事件の犯人はは、遺族によって重刑に切り替えられてしまったけれど、それを逆恨みしたりせずに受け入れてほしいね。
 そして懲役では決して強がったことを口にしないでくれることを願ってるよ。

PS
やっぱりかっこいいこと言い過ぎだな。振り返って読むとね。

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