別れ話の結末

2014年3月1日

 新しく同部屋に来た若いのは5年の刑だ
ここに来る前彼女に、5年も待てないないよと言われ、キッパリ分かれてきたとのこと。男だね。            長い懲役行くときは、女はいないほうがいい。なぜかって?途中で駄目になるのはとても辛いからさ。  
 刑務所にいる方は、ちょっと手紙こなくなるだけで、人が変わったようになってしまうやつが多い。    おれは何人も、受刑中に破局を迎える悲しい物語を見てきたよ。
 中には、「女房が浮気してたっていいんですよ。帰ったときに戻ってくれれば。自分だって浮気するでしょ?」なんてかっこつけてるのがいるけど本音はどうかね。 こういうやつに限って、手紙が来なくなると、どうして、どうしてと騒ぎやがる。知るか!そんなこと!
なかには、「こんなところにいる自分が悪いんですから」なんて言ってるくせに、そわそわしやがって、やっと手紙が来た時は満面の笑顔で急に饒舌になる。本音と立て前全然あってないんだから。

 面会で別れ話を切り出され、ブチ切れて暴れだし、そのまま懲罰。 なんてのがたくさんいるぜ。
 中にはしつこいのがいて、娑婆で女を探し回って見つけ出し、相手の男に対する傷害、恐喝なんてざらだよ。
 その中でも甲府にいた現役のやくざ。生まれたばかりの子供と女房を娑婆に残してきたが、女房は浮気をする。なんと、15歳の男と浮気していると連絡が来ると、これに耐えられず、安定剤や眠剤をまとめて飲無用になった。
 毎朝ラリって俺のところにきては、ジャンキー特有の状況報告を始める。「ああ、ふわふわする。」『あーあ気分がいいよ」「ちょーっと気持ち悪いんだけど」。いい加減うるさいので、「いちいち報告すんな、だまってろ。」というと「ああ?なんだよ俺になんかあんのか」となった。
勿論始まるとこだったが誰かに割って入られ事なきを得たが、そいつはそのあとすぐにケツ割って工場を出て行った。

 その夜、就寝時間が過ぎると懲罰房のほうから叫び声が聞こえてくる。奴の声だ。「たすけてくだっさーい」
「そこのマンションのひとー!聞こえますかー!」。「お願いです。助けてくださーい」って、女房に裏切られたショックと、まとめて飲んでる薬でやられておかしくなったか。
 一晩中叫んでいたのが聞こえなくなったころ、奴は死んでいた。
 後で分かったことだが、箸でのどを何度も刺しての自殺だった。

悲しいことだが人の心だけは、思うようにはいかないもの。わかっているのにどうしようもないのが恋心か。
 
 懲役行くときは独り身がいいが、もしも出所まで待っててくれた女がいたのなら、それはもう一生かけて愛してやるのが男じゃなかろうか。
そんな女に巡り会いたい。

ちょっともめた後でしょ、後味悪いよね。

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