志願兵って？

2014、4、1、
　例によって工場内運動の時は若いのに混じって筋トレをやる。
　みんなにインターバルがあっても俺にはない。ただひたすらやる。
　そんな中、みんなが一呼吸付きながらこんな話をしている。
　俺は腕立てしながら聞いている。
「加藤さんは懲役何回目ですか」
「2回目ですね」
「もうきついですか、今おいくつですか？」
「44．今年45になりますよ。」
「そんな事言ったら…ねえ後藤さん」とふられた。
「馬鹿野郎。俺だってきついっつーの」腕立てしながら答える。
「後藤さん全然若いから平気っすよ。もう一回くらい来れますって」
「うるせえこのやろう。人生終わっちまうだろ」
「まだ折り返しじゃないですか」
「だめだ。この次は俺も志願兵と同じになっちまう」
そう、志願兵ってのは年配の人が娑婆にいるよりも刑務所のほうが楽だってんで万引きしたり食い逃げしたりと、わざと軽犯罪でつかまってここへ来る人たちの事を言うんだよ。
　受刑者が高齢化しているってのはこういう輩が増えてるからなんだ。
　俺も今日の会話で気づかされたよ。今回がぎりぎり。次に来たら本当に志願兵たちと変りない年でもある。そんなみじめな人生はないものね。
刑務所に俺の居場所なんかない。そう思った。

2024/1/14
若いって素晴らしい。