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消えたカミソリの刃

2014/8/15 記
 本日、盆休みの中日なので風呂に入りに行く。 
 いつものように脱衣場で裸になって、先に入っている工場が終わるのを待っていた。
 さて、浴室から隣の脱衣場に先に入ってた工場の全員が上がると俺たちの入浴なのだが、今日に限ってはそうはいかなかった。
 10分待っても15分待っても浴室に入れさせない。
 それどころかしばらくかかるので服を着たいものはきていいぞと。
 すでに入浴を済ませた工場の奴らも隣の脱衣場から立ち去る様子がない。
 皆、はてなマークだが、ベテランの俺には何が起きたかわかってしまうのだ。

 誰かが、カミソリの刃を無くしたのだ。

 入浴ではT字のカミソリが使用できる。各自支給されたもので刃は、横にスライドさせて交換できるようになっている。それが何かのはずみで外れて流されてしまったのだろう。カミソリを返却する際に刃がないのが発覚して、それが出てくるまでは帰れない。誰かが隠し持っている疑いがあるからだ。
 刃が出てこなければ無くした奴は懲罰だ。
 今日は12時から戦没者への黙祷の時間が設けられていたがそんなことは忘れ去られ、俺たちは脱衣場に釘付けだ。
 排水溝を全て集まってきたオヤジ連中がひっくり返すも見つからない。懲罰行き決定ということで事件は収まった。 
 これ、府中の時もあったよ。
 あの時は冬で、入浴の後外で待たされたので、みんなが寒さのあまり本人に文句を言い出した。そいつは殺気だった雰囲気に負けて、その場で自ら工場を後にした。
 その後は毎日の検身は、裸健診となる。カミソリの刃一枚で大騒ぎだ。信じられないだろ。けれど刑務所というのはそういうもんだ。
 この後オヤジ達は刃が見つかるまで徹底的に探すんだから大したものだろ。(笑)


PS 網走監獄博物館。
中にいる時は必ず行こうと思ったものの、目の前まで行ったら、なんてことないよ。つまんないこと思い出しても仕方ないから、入場せずに帰ってきた。
もう、そんなのとは無縁の人生送るんだから。

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