ヒコーキって？

2014/11/10 記

　週明けの今日、朝から例の如く豆と戦っていると廊下でオヤジの大声が。

「だからこうしなさいと言われたらやればいいだろ…やってないから言ってんだよ…なんでできないんだ…やるのかやらないのか…だったらちゃんとやれよ…いいから座れ…今までは関係ないだろ…」

と、房内の懲役相手だが、懲役の方は怒鳴るばかりで何を言ってるのか聞き取れない。
　オヤジも最後には
「話にならないな」
　と言って一旦引くと、
ドン！と大きな物音が。
　切れた懲役がドアを蹴ったのか、小机を投げたのか。
　まもなく警備隊がドカドカやってきて、

「しばらく作業をやめて窓側を向いてろ！」

と叫びながらワーワー言ってる懲役の部屋へ。
　そこで制圧ー。
となって調べ室だか、保護房へ連行となる。
　この時、懲役の勢いが止まらず、暴れていると左右から腕を取られる。それでも足を使って抵抗していると後ろから二人に足も取られて、両手両足抱えられたまま地面と並行になって連行される。
　これがヒコーキだ。
　今日の懲役がヒコーキで連れて行かれたかどうかは知らないが、
「ヒコーキで連れて行かれたよ」
　と言うのは、連行される時、最後まで全力で闘っての懲罰行きだったと言う事になるね。
　俺も最初の懲罰はヒコーキで行った。
　それも直前にガッチリ制圧されてからね。
　それにしても俺がこの懲罰房にきて2度目のことだけど、ただマメセンやるだけで何をオヤジに噛み付くことがあるんだろう。
　ここのオヤジは前にも言ったようにとても親切なのに。
　
　調べに来たオヤジが言ってたよ。
　「お前なんて、なんで調査になったのかもったいないよ。こんなに評価良かったのにな…。調査に来るのは頭のおかしな奴が大勢いるんだぞ」って。

　そうだよね。
甲府や府中の調査房はこんな事毎日だった気がする。
　でもさ、何を言おうと言われよと、今俺は調査房に入れられてるその他大勢のうちの1人なんだよね。
　奴らと同じさ。

PS
甲府で炊場に降りて2日で喧嘩になった話しは、前にしたよね。
「あの頃俺は若かった」で。
その時ヒコーキで運ばれて保護房に入れられた。革手錠が苦しくてカメラに向かって「すいませんでしたー」なんて謝ったよ。
根性のない男だった。昔も今も(笑)

（写真）
山岸さんが名古屋に就職決まって時折菓子を送ってくれる。
　俺の好きなのチョイスしてくれんだけど、柿の種ってこんなに美味しいんだね。そしてこの種類。
どうもご馳走様。