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早期発見は無理ですね

2014、4、6、
 雑居ではみんな、飯を食うのが早いから、俺は慌てて食っていると、のどに何かがへばりついたような感覚になった。
 金時豆の皮だと思って、エヘン、エヘン、とやるが取れず、食事中に申し訳ないがトイレに入って思い切りタンを切ってみら血を吐いた。
 弱っちい俺は、報知機を下ろしながら、大声でオヤジを呼ぶ。何事かと周りの舎房から皆、顔を出してる。「大変だ血を吐いた」とオヤジに報告、やがて医務のオヤジがやってきて、廊下の隅で看てもらうと「フライか何かよく噛まずに飲み込んだね」と、これまたルゴールを塗って終了。ちょっと大げさだった。
 その後府中に勤めたとき、やはりフライを食って2度、このパターンになった。ケガと病気にはネガティブな俺は、のどがただことじゃないと勝手に思い込む。医務診察、耳鼻咽喉科の診察を待つこと3か月。
 問診の際には、のどの皮膚が弱いとか、何かできているに違いない。と、まるで医師のようなことを言った。
 ライトでのどをのぞき込んでも何も見えないので、カメラを使ってよく見るから、と言って紙コップに麻酔薬を入れて渡され、できるだけ長くうがいをしろといわれた。
 再び診察台に座ると、先生は小指ほどの太さで先にカメラのついた黒くて長いホースを出して、これでのどの奥を見るというのだ。リモコンで動くらしく。ホースの先はバイブのようにうねっている。
「ちょっと先生、そんなの飲み込まなきゃなんないの」って聞くと先生は、「いや、鼻から入れるから大丈夫」って。ダイジョブじゃねえよ。
 飲み込むのにも苦しそうなのが鼻から入るかっての。冗談じゃないぜ。
 俺はああでもない、こうでもないと言って、3か月待って、やっとたどり着いた診察だったけど、先生に言ったよ。
 「ちょっよ待って。もう少し様子を見てみますから。」
 こんなことじゃきっと俺は、重大な病気の発見には絶対遅れるね。
 えっ?のどのほうはどうなったかって。あれから何ともないよ。

恐ろしかったな。あんなものが鼻から入るか!

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