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刺激が欲しい

2014/10/3 記
 今朝もいつもと同じように、皆より先に検身場に入り、着替えて工場の窓を開け、湯沸かしの電源を入れたあと、皆が着替えるのを待って洗濯のカゴを検身場から出そうとした時、

「動くな」

と、オヤジ連中が集まってきた。
 検身場にはまだ人がいて、喧嘩らしい。
 どんどんオヤジも増えて、俺たちは整列したまま目を閉じてそれから30分も立たされたままだった。物々しいムードの中作業が始まる。いつもより1時間遅れだ。
 着替えをしてないツナギが3人分。そう、3人連行されたのだ。
 ひとりは舎房着も残っている。
 連れて行かれた奴の荷物をまとめて調査房へ送るのも俺の仕事なのでそれがわかる。
 パンツのまま連れて行かれたのだ。
 集まったオヤジの中には白衣姿の医務のオヤジもいたのでガッツリやられてパンツ姿のままタンカで運ばれたのか。
 うん、刑務所らしい雰囲気になってきたぞ。
 今までが平和すぎたのだ。
 このくらいのざわざわした感じがないと全く刺激がなくていかん。
 連れてかれた3人。ひとりは筋トレ仲間。もうひとりはジョギング仲間。最後は地元が近いうえ、共通の知人もいる奴だったが、あの3人はムードが良くなかった。
 俺は何だかいつも微妙な位置にいることが多い。
 運動の時間になってそばにいた奴に話を聞くと、喧嘩じゃなく口論だったらしい。
 何だよ、それじゃ平和のままだよ。
 ひとりは昨日本面入ったばかりだからバカなことしたよ。
 まぁ、こればかりは本人に原因があることなので仕方もない。
 その後おまけで、先日来たバツ開けが脇見で吸い込まれ、合計4人が消えた。
 お陰で荷物をまとめる俺は大忙しの1日。あっという間に時間が過ぎてくれた。
 しかしもっと、刑務所らしくならないと刺激が無くていかんなぁ。

PS
仕事に行く時、ロータリーの真ん中に野生の鹿がいた。
釧路はこんなところだ。

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