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どこにも首を突っ込むクセ

2014/10/18 記

 オヤジが言ってたが、昔、オヤジが休憩から戻ると、食堂の中は現役のヤクザだけで、カタギの人間を締め出して、中では翌日工場上がりのヤクザのために万歳三勝のセレモニーをしていたそうだ。
 オヤジはそういうことするならカタギも混ぜて全員でやれと、世話役を叱ったと。
 するとその世話役、後にオヤジに頭を下げてこう言った。

「さっきはすいませんオヤジ、いま、カタギの世話役も作りました」

と、トンチンカンな答えに呆れたとかいうオチだ。

 ヤクザのセレモニーが、オヤジ公認なんて今では信じられないね。

府中あたりでも、現役同士の派閥で揉めると作業中にも関わらず、代表のもの同士で工場の隅で話つけろ。
 なんてオヤジはやってたけど、結果はいつも警備隊が乗り込む始末さ。

もっと前の甲府の時は、運動中、
グランドで
「現役の方ぁ。集まってください」
と世話役が集合をかけた。
 するとひな壇になったベンチに組織関係の人が座り出した。
 現役のひとりとと話してたからね、お前もこいよってな感じでついていってベンチに腰掛けた。

すると何かと浮いていた現役の二人が前に出てきては突然土下座して、

「皆さん色々と迷惑かけてすいませんでした。何とかこの工場にいさせてください」

とか言ってる。
 何か揉め事があったんだろね。
でも、こんな光景が、今の刑務所にあったら大問題なんだろうな。

 何のことかさっぱりわからないのは、ひな壇に居るただ一人のカタギの俺だけのようだ。

 代表の親方が、
「わかったから手をあげなさい。」 
なんて言ってその場を収めていたっけ。

 こんなことで一件落着するのなら、工場をしっちゃかめっちゃかにされるより担当も助かるんだろうね。
だけどこの時、何も知らずにひな壇から現役にまじって二人を見下ろしていた俺は、
後からあの二人に、

「何でカタギが、あそこに座ってたんだ」
とか、あいつに頭下げる義理はねえぞ、ふざけんじゃねえ。

くらいのことを言われてるのを、親方に助けてもらったっけ(笑)
ちっさいことは気にすんなってんだよな。

 どこにも首を突っ込む悪い癖は昔も今も変わらないようだ。

PS
昨日、保護会を出ていく人に頼まれて、マジックで刺青描いてあげました!
 これ、結構自信持ってんだよね。
そしたらこういう場所だから俺も俺も依頼殺到!
 次からは有料にしないとな。
(写真)

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