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死ぬこともできないで

2014/5/31 記
 暇な休日になったので、昨日の続きでシャブをやめることについての話をしようか。
 あまりにも身近に、覚醒剤やその他のドラッグを扱ってきたために、薬に対する罪悪感が俺には全くない。
 あるとすれば懲役に行くことで家を留守にして年老いたお袋に寂しい思いをさせる親不孝だけだ。
 お袋は働いて働いて、俺の人生を第一に考えてきてくれた、たった一人の人なのに俺はまだ何も恩返しをしていない。
 前々刑、5年の刑期を終えて帰った時、お袋は杖をつくようになっていて、その姿はものすごく小さくなっていた。
 力強く生きていた昔のお袋の姿はそこにはなくて、とても弱々しかった。
 それでも俺の帰りを喜んでくれたお袋の眠っている後ろ姿を見たら、自然と涙が溢れてきて、声を殺して泣いたよ。ごめんなさいって。
 なのに、その思いをすぐに忘れて再び刑務所行きとなった。
 会わす顔もなくて連絡を控えていたら、ヒデさんが面会に連れてきてくれた。
 その時お袋が言った。
「もうこれが最後なんだろ」って。 
 裏切られても裏切られても、まだ俺を信じてくれるお袋に俺は言った。
 「今度こんなところに入るようなことがあれば首を括るよ、約束だ」

 それでもまた今回の事件となって、拘置所で俺は真剣にタオルを握りしめたけれど死ねなかった。
 けれど死ねなかった。
 死ぬこともできない口だけの男だったよ俺は。
 そしてひとつ気がついたことがある。いつも捕まる捕まらないだけしか考えてない俺の間違いだ。
 そうじゃなくて、もう薬には関わらない。
 大事なのはそこじゃないか。
 これが最後のチャンスと思って、これまで考えたことも無かった、薬と縁を切って生きることに努力してみようと本気で考えているところなんだ。
 だってお袋に恩返しするまでは、死ねないんだよ、俺。



PS
今となっては囚われの身となった時だけ反省して、カッコのいいこと言ってるだけのどうしょうもない男だなとつくづく思ってるよ。
お袋にはなんの恩返しもできないままだったのたから。
散々寂しい思いをさせたお袋と、今は毎日一緒にいるが、骨になってしまったお袋は俺に何も語りかけてはくれない。
もっとたくさん話せばよかったな。
気持ちはずっと深くしずんだままだ。

今日、保護会から旅立った友人が菓子を送ってくれた。ありがとう。
(写真)

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