フリーマーケット
要らないもの。捨てたいけど微妙に価値がありそうなもの。価値はあるけど着れないもの。
これらをまとめてイベントのノリで一掃してしまおうというのがフリーマーケットである。
今やオンラインによる買い物が激化した時代。手売り?フリマ?なにそれ美味しいの?の時代である。
しかしフリマでは様々なドラマが生まれる。
こんなしょうもないものが売れちまった!!といった感動や、買ったものを即装備するRPGのようなトキメキがある。
大学の頃、兄が友人とフリマをやっていて、要らないもんがあれば持ってこいよという流れから自分も参加することになった。
会場は千駄ヶ谷の明治公園。静かで、のどかで、落ち着いたロケーションだった。朝の散歩をするワンコ、キャッチボールをする坊や、太極拳の爺や。横目にいそいそと準備をする。
フリマは2000円ちょっとの出店料を払い、食べ物以外であれば基本的に何でも売っていい。服、靴、アクセサリー、本、家電、自家製ポエム。なんでもござれ。
出店者はほとんどの場合が手持ちで来る。これは長丁場になった時、都心のたか~い駐車場代を売上から差っ引くと、今日のは一体なんだったんだ?という結果になり得るからだ。
ある時は車で現地へ到着し、周辺の駐車場を探したが見事に空いていなかった。そこで車が見える場所にしぶしぶ路上駐車をした。駐車場が空くまでの辛抱である。しかし、
開始わずか5分で駐禁を切られた。
速きこと風の如し。
皮肉にもその日自己最高売上を記録したのだが、ミドリのおじさん達の活躍によりそのすべてが回収された。
恐るべし、ミドリムシ。
ということがあるので、キャリーバッグでガラガラと持ってくるのが通例である。とにかくみんな要るもん要らんもんをぎっちぎちに詰め込んできて、持って帰りたくないから必死で売る。
最初は3000円!と心に決めた物も2000円になり、1000円になり、やがて500円になる。諸行無常である。
そういう過程が楽しいのだが、たまにレベルが違うおばちゃんがくる。開始早々3000円の商品を持ち上げて、
これ、100円なら買うわ。
…
レベチ!!
一話目で最終回のような疾走感。
日向くんのドリブルのような強引さ。
みんなは真似しないでくれよな!!
200%オンにしてやろうか?
と喉元まで出てきているのをこらえていると、今度は古着屋のバイヤーらしき男が横から現れる。
まだ商品を並べ終わってないうちにものすごい勢いでバッグをゴソゴソと漁ってきて、
これとこれで1000円だね。
じゃないんだよ笑
君はそうやっていつも物事を勝手に決めちゃうよね、と恋人に言われて修羅場をむかえてほしい。
…というように、フリーマーケットは多種多様な人物が混じり合う人間交差点である。道徳と交渉が学べるゆかいなマルシェ、遊べる市場である。
友達と出店した時はお互い商品を交換してもいいし、会話が弾み、その弾みであげてしまってもいい。とにかく自由である。
禁止事項は、強引なドリブルとフライングゲットだけです。飲みながらオールフリーで楽しみましょう。
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