見出し画像

『マニア道は奥が深い』


どれくらいの深さかと云うと、際限無し、底無し、しかも出口無し。なのだ。

ーーーーーーーーーーーーーー

今から6年前、自分にとって人生最大のレコ掘り・・・
所謂レコード集めのマイブームが到来。

幸か不幸か自分が周る仕事のルート上にリサイクルショップが7店舗も在り、休み時間を最大限に活用しては通いまくる毎日。

勿論それ以前からレコードを細々と集めてはいたのだが、敢えて避けてきた『和モノ』にズッポリ嵌ってからというもの、徐々に歯止めが効かなくなってきていた。

2000年前後の渋谷系から連なるレア・グルーヴ・ブームが去って暫く経っていた事もあり、今では考えられない程に和モノが安かったのも、更に拍車をかけてくれる・・・

ーーーーーーーーーーーーーー

掘るのは本当に楽しい。

少年時代に森や林でカブトムシやクワガタを捕まえた時の感覚が、最も近いかも知れない。

レアな逸品を掘った時。

自分が探していた一枚が出て来た時。

本当に最高の気分だ。

ーーーーーーーーーーーーーー

ある日、さして収穫も無く、でも手ぶらで帰るのも如何なものか?と昭和歌謡餌箱を漁っている時に、突然素面に戻った。

『これは際限無い・・・な・・・』

既に何百枚もあるシングルレコード達のジャケ写が脳裏を過ぎる・・・

『僕は何の為に買い始めたのだ?』

原点回帰。DJですよ。憧れのDJ。
でもコレクションは楽しいし、気持ちいい。

では偉大なる先達は如何にして己れの欲望と対峙し、その際限無い日々を過ごされて来たのだろうか?

気になった。


ーーーーーーーーーーーーーー

画像1


『猟盤日記』 戸川昌士 著

関西中古レコードマニアのアウトロー、戸川さんの蒐集日記。

兎に角圧倒的。物凄く面白い。
と同時に、紙面に次々と登場するレコードを僕は一枚も持っていない事に愕然とする。(つまり私など、その偉大な足元にも及ばないぺーぺー野郎な訳だ(涙)。)

数々の蒐集エピソードの語り口が絶妙で、まるで一緒に90年代の関西の町を歩っている様な感覚も味わえる。(特に阪神大震災の項目には、そのリアルさに震撼すら覚える。)

嗚呼。もうこれは別次元のお話なのだ。

沢山のレコードが無性に欲しくなった時・・・

そう。

まさにこの一冊が、僕を現実に引き戻してくれる『出口』となってくれるのだ。

まさに僕は『マニアを見た』んだ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?