勝手に情熱大陸〜ユニポテンシャル代表 蛎田一博〜
「はぁぁぁ!!!!情熱大陸に出たい!!」
友人の蛎田さんがいきなり言い出したのは少し暖かくなり始めた春先のことだった。
「情熱大陸が無理ならプロフェッショナルでもいい!!」
プロフェッショナルに失礼なことを言うな、と思いながらなんとなく聞き流していたのだが、どうやら本気で出たがっているようだ。
「5歳さんなんとかならないですかね?」
なんとかなるわけがない。しかし彼があまりにもマジな目をしているので、一応こんな提案をしてみた。
「記事とかならなんとかなるかもしれませんね〜」
それを聞くと蛎田さんは目を輝かせた。
「密着とかしてもらえるんですか!!??」
情熱大陸といえば密着取材である。「わかりましたやりましょう」と僕は答えて、その日は解散した。蛎田さんはスキップをしながら帰っていった。
その日から連日「いつ始めますか?情熱大陸」と連絡が来た。情熱大陸に対する情熱が凄い。僕ものらりくらりと返事をしたのだが、そんな僕に痺れを切らしたのかついに「来週密着取材をするので千葉まで来てください!」と蛎田さんの方から連絡が来た。本来なら僕の方から言うセリフだと思うのだが、強制的に密着取材の予定が入れられるとは思ってもみなかった。
蛎田さんがここまで本気ならやるしかないな。重い腰を上げて、僕も腹を括った。
これは情熱大陸に出たい気持ちが溢れた一人の漢の物語である。
どこからともなく聞こえてくる葉加瀬太郎のあのミュージック
2021年の年始め。
あるひとつの作品がツイッターで小さなムーブメントを起こしていた。
連続ツイッタームービー【FISH だ!! JOE】である。
広告業界の異端児、株式会社おくりバント高山洋平が送り出したこの作品は全54話、二ヶ月間毎日投稿された。総動画時間は108分を超える大作になった。
ツイッターでは戸惑いと賞賛の様々な声が寄せられた。
「狂っている」
「何を見せられているのかわからない」
「いつまで続くのか」
「いつになったら釣り始めるんだ」
一部のユーザーにカルト的な人気を博した作品だったが、このツイッタームービーが実はある企業のプロモーションだったということは、意外と知られていない。
そのスポンサー企業は蛎田一博が代表を務める転職エージェントのユニポテンシャルだ。
先述したが【FISH だ!! JOE】54話(100分)の中でユニポテンシャルの社名が出てくるのは最終話の最後の4秒だけ。100分の内たったの4秒である。企業のプロモーションとしては信じられないことである。
決して安くはない制作費を掛けた今回のプロモーションにはどんな意味があったのだろうか。そもそも意味はあったのだろうか。
いま、最注目されている株式会社ユニポテンシャルの代表の蛎田一博のその素顔に迫りたい。
取材初日。千葉にある蛎田の別荘に【FISHだJOE‼】のゆーすけ監督とプロデューサーの高山さんと一緒に訪れると、たくさんの料理を用意して待ってくれていた。
ブリッブリの大きなハマグリとふぐが、ふんだんにはいっている海鮮鍋だ。あまりの美味しさに一同無言で食べ続けた。本当に旨い。蛎田はその様子を見ながら「ね?美味しいでしょ?ハマグリ大きいでしょ?」と次から次へと美味しい料理を出してくれる。
(映えてないけどめちゃ美味しいイカのガーリック炒め)
どの料理も本当に美味しい。ちなみにこの料理の食材は蛎田が釣り上げたものや、漁師から直接買い付けたものだ。蛎田はプロ釣り師としても呼び声高く、会社経営の傍ら全国の海を渡り歩いている。
蛎田のツイッターを見ていると釣りと毎朝投稿している #朝定エージェント という朝ごはんの投稿しかしていないので、なんの会社を経営をしているのか一見わからない。
蛎田が経営する人材紹介会社ユニポテンシャルは創業して6年目の企業である。創業から毎年増益記録を伸ばし続けている。業績だけ見れば乗りに乗っている企業といえる。
そんな絶好調ともいえる彼の会社のホームページを覗いて見ると、多くの人は首をかしげてしまうかもしれない。
一体、この会社は何をやっているのだろうか?
ユニポテンシャルで実際に働いている社員たちがコスプレをしてステップを踏んでいる写真がメインビジュアルとなっている。
中央にいる男が代表の蛎田である。
完全にふざけている。
この写真だけだと見ると逆に混乱する。HPを開いたのに何の会社なのか全くわからないということは、あっていいことなのだろうか?
「あなたの転職をサポートします!」
「最適の企業を見つけます!」
「優秀な人材を探すならユニポテンシャル!」
人材紹介の会社ならそんな大見出しできそうなものだが、このHPで一番最初に書いてあるのは【ちゃんとやるをちゃんとやる】という言葉である。サイトの奇抜なデザインとは裏腹に実直なメッセージが綴られている。
蛎田:よくイケイケの人材会社の社長が「業界を変えてやる!」とかって言いますけど、僕はそんなの絶対に無理じゃんと思っちゃうんですよね。だって人材紹介ですよ?僕たちができることって、求職者と企業の橋渡して、そして企業にも求職者にも納得してもらえる紹介をする。それだけなんです。
蛎田:求職者と面談をしていてむしろ「やめたほうがいいよ」と転職を勧めない場合もあります。「転職しないで今の会社でもう少し頑張ったほうがいいですよ」って。無理やり転職させて不幸になる人を出したくないんです。他の転職エージェント会社は『ここの会社にいくべきです』と勧めることが多いんです。しかしそれって本来エージェントが決めることじゃないんですよね。本人が決めることですから。
コメントは実に真面目である。会社の理念や方針はわかった。しかしなぜこのような奇抜なデザインのHPにしたのか、そして【FISH だ!! JOE】のような自社の利益になるとは到底思えないプロモーションをおこなったのだろうか…
蛎田:普通のことをしてもしょうがないですからね。とにかく面白いことが好きなんですよ。会社のHPに関しては高山さんに完全にお任せしました。そこはプロに任せたほうが絶対にいいですからね。口は出さずにお金だけ出す。でもおかげさまでHPは評判が良くて会社のブランディングとしては大成功だったと思います。採用にもちゃんと繋がっている気はしますね。
蛎田:ただ【FISH だ!! JOE】に関しては今のところなんの成果もないですね。それ経由で問い合わせは一件もなかったし、弊社のプロモーションになっていたのか疑問点もあります。でも『これは面白そうだ』と思ってやったことなので結果はどうあれ良かったんです。すぐに数字では見えてこなくても、あとからジワジワと効いてくることもありますからね。すぐには結論は出せないですよね。
高山社長は『PRは特効薬ではなくて、漢方薬であるべきだ』と語っている。特効薬は局所的な症状にすぐに効く薬のことである。逆に漢方薬は身体全体を診て処方される。即効性はないが、あとからジワジワと、そしてしっかり効いて体質改善をしてくれる。
『PR=漢方薬』
長い目で見た時に会社にとってどんなPRをしていくべきなのか。高山社長の言葉に考えさせられてしまう。
次の日、我々は千葉県大原の海原に出た。「どうせ取材するなら海の上が良いでしょ」と蛎田が手配してくれたのだ。
しかしこの日の海上は強風の大シケ。
取材チームは波のうねりにやられて、すっかり船酔いをしてしまっていた。そんなメンバーを横目に「まぁ〜何事も慣れですよ」と蛎田は顔色ひとつ変えずに釣りの支度をしていた。蛎田は釣り歴が22年のほぼプロ。休みが取れると海に出る。
(普段は船酔いしない高山さんもこの日はぐったりしていた)
「実はもう釣りは飽きちゃっているんですよね」
沖へと進む船内で蛎田はいきなりそう呟いた。
これだけ時間とお金を使っていることなので、てっきり釣りが好きなのだと思っていたが単純にそういうことでもないらしい。
蛎田:もうずっとやってきて、あらゆる魚は釣ったし、でかい魚もあげました。釣り道具もほとんど全部揃えました。やれることはほとんどやっちゃったんですよね。もう今は好きとかそういう次元ではありませんね。
こう語る蛎田だが、来週も福岡へ釣りの遠征があるらしい。
それに向けて新しい竿も購入している。
『趣味で好きだから』という理由でやっているわけもでもない、しかし毎週のように海に出ているし、道具も新調している。一体どういうモチベーションで取り組んでいるのだろうか。
蛎田:僕はとにかく続けることが大切だと思っているんです。飽きても、興味がなくなっても、とにかくやり続ける。しつこい性格っていうのはちゃんと自覚してますよ。釣りもとことん追求して、相当なレベルまで到達したんです。
蛎田はこう話しながらも〜餌を付け〜海に投げ入れ〜リールを巻き上げる〜この動作を繰り返していた。さすが手際も良い。とにかく魚の当たりが来るまで待ち続ける。
この日は天気は良いものの、波が荒れ過ぎていて非常に難しい状況だった。船で釣り上げる者は誰もおらず、当たりさえも来なかった。取材班は早々に飽きてしまい、なんとなく釣り糸を海に垂らしているような状態だった。
〜そして一匹も釣れないまま6時間が経過した〜
ぶっちゃけ釣りはこういうことはよくある。
釣れないのが当たり前の世界だ。
蛎田は淡々と餌付けを繰り返しながら「そろそろリールを巻いてあげたほうがいいですよ」と周りに声も掛けている。船酔いを一切しないのもすごいが、大荒れの海の上で周囲へ気配りができるのも本当にすごいなと感じた。
『早く陸に戻りたい』
蛎田以外の船酔いしたをメンバーの顔にはそう書いてあった。
「あと10分で港に帰ります」という船内アナウンスが流れて、僕らは「やっと帰れる」とホッとする気持ちと同時に、せっかくの密着取材だったので蛎田が釣り上げるシーンを写真に収めたかったと少しだけテンションが下がってもいた。しかしそんな僕たちをよそに、蛎田は黙々と釣り針に餌とつけていた。
「釣れるまで海に糸を垂らし続ける。それだけなんです」
蛎田はそう言いながら、最後の一投をした。まさにその瞬間だった。
「FISH!!きた!!きたよ!!」
蛎田の竿が大きくしなった。リールをゆっくりと慎重に巻き上げる。
「きっとこれは鯛ですね…」
なかなかのサイズである。
しっかりと見せ場を作ってくれる蛎田に対して一同は驚くだけだった。
ちなみにこの日このサイズの鯛をあげた人はこの船に蛎田以外に一人もいなかったので大いに盛り上がった。しかも最後の最後の一投である。
「釣れるまで海に糸を垂らし続ける。それだけなんです」
おそらく潮の流れが良くても悪くても、蛎田は変わらずに同じように繰り返し続けるだけなのだ。
【ちゃんとやるをちゃんとやる】
もしかしたら、それを素でやっているのかもしれない。
蛎田は釣りだけではなく、ほかにもしつこくやり続けていることがある。
ツイッターで毎朝投稿している【#朝定エージェント】である。
内容は至ってシンプル。毎朝のご飯を写真付きで投稿するだけ。これをずっと続けているのだ。そしてここで最も注目して欲しいところは【連続672日】という数字である。テーマを決めてシリーズ化させるのはいいアイデアかもしれない。『朝定エージェントの人だ!』と認識される可能性も大いにある。セルフブランディングの点でいえば『◯◯の人だ!』と言われるようになれば大成功なのだから。
この日も少し遅めの朝食ではあったがいつものように投稿をしていた。
しかし僕は思った。
『きっと朝定エージェントも絶対に飽きているに違いない!』
普通だったら5日で飽きる。672日なんてほとんど無の境地でやっているに違いない。どんなモチベーションでやっているのか蛎田に聞いてみた。
蛎田:朝定エージェントもぶっちゃけ飽きてますよ。飽きてるに決まっているじゃないですか。でもこれも釣りと一緒ですね。でもとにかく続けるんです。継続するんです。自分で言っちゃいますけどひとつのことを600日以上続けるってなかなか出来ないと思うんですよね。でも誰に頼まれたわけでもないのに朝飯を紹介し続ければ、「コイツはやばい奴だな」って周りからも一目置かれると思うんです。僕は人になめられたくないんですよ。「こんなことで?」って思うかもしれませんが、こんなことでも継続することで意味が出てくるんです。
後日、蛎田のビジネスパートナーでもあるおくりバントの高山社長との対談の場を設けた。
高山:出会ったのは4年前ですね。当時の蛎田さんはすごく頭が固かったですよ。ユニポテンシャルのブランディングについて色々とアドバイスしたんですけど、全然理解してなかったですね。
(ユ二ポのHPはおくりバントが制作したものだが、このセンスを提案段階で理解できる人は多くもない気もする…)
高山:センスとかユーモアっていうのは長い時間を掛けて積み重ねていくものだから一朝一夕に手に入れられるもんじゃないんだよね。蛎田さんも最初は僕の話すことを多分1割も理解してなかったじゃないかな。でも「高山社長がそう言うんだったら、きっとそうなんでしょう」と信じてくれたんですよ。
一方、蛎田は当時のことを振り返ってこう話す。
蛎田:いや〜高山社長の言っていることは全く理解できなかったですね。「松屋の容器がUFOになってて、蛎田さんが吸い込まれていくんですよ!」と説明されてもわかる訳がないんですよ。でも僕は直感で『面白そうだな、この人に賭けてみよう』と思っちゃたんですよね。
高山:蛎田さんはバリバリの営業マンだし、すごく理論的な思考の持ち主です。僕が訳のわからない提案をすると「それはなぜそうなるんですか?」ってめちゃくちゃ詰めてくるんです。でも本当にかっこいいものとか面白いものって理屈抜きじゃないですか?だから僕は「かっこいいもんはかっこいいんです!」って説明してましたね。でも最終的には蛎田さんはわかってくれて、僕に全部任せてくれたんですよ。
蛎田:僕も高山さんと付き合って数年経ちますが、本当にいいものっていうのは説明はいらない、というか出来ないんですよね。でも高山さんの頭の中にはきっとそのビジュアルが思い描けていると思うし、僕はそれを信じるしかないんですよね。いままでは納得いかないものは徹底的に詰めて考えたんですけど、自分が理解できないものでも『なんとなく面白そうだ』って感覚を大切にしていきたいですね。
高山:ようやくそのレベルまで来ましたか。蛎田さんがここまで成長して嬉しいですよ。
蛎田:高山さんの指導の賜物ですね。
蛎田はこれから毎月社員を5人づつ増やして事業を拡大をするという目標を掲げている。それでも追いつかないくらいの勢いでユニポテンシャルは成長をしている。
三ヶ月間、蛎田に密着をしたわけだが、最後にこんな質問をしてみた。
「ちゃんとやるをちゃんとやる」
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