Dream バイバイ。3話目
『時代は西暦2072年、今より少し未来のお話。
私達は夢を売り買いする、夢制作会社
『Dream buy bye』
私はその映像制作の編集者の一人、山口梅子(やまぐちうめこ)。25歳。この会社に入って3年目。
今日も、夢を買いに来られたお客様がいらっしゃいました。
まずはどの様な夢をお求めか、お聞き致しましょう。』
ーー田中 ゆうじ(30歳)俳優の場合ーー
ゆうじ「もう、30歳になっても、自分は全然売れない、仕事のオファーもない、少し前まで所属していた劇団も潰れて無くなって、路頭に迷ってる俳優をしています。
映画や舞台が好きで18歳の頃からこの業界でやってきましたが、もう、遅咲きと言っても、なんか今からでは売れる気もしなくて、俳優業を辞めようかと思っています。」
梅子「俳優を辞めてしまうんですか?」
ゆうじ「はい。ずっと働いてるバイト先の居酒屋のご主人が、ここの店長としてお店を一緒にやらないか?って任せてくれるって言ってくれて、もう俳優を諦めて、店長をやろうかと。ただ、俳優として、活躍してる自分の姿を一度でいいから見てみたい。そう夢見てきたので、せめて夢だけでも、大きくハリウッドスターぐらいになってる自分を見させて欲しい。そう思ってこちらにお伺い致しました。」
成る程。こちらのお客様は、夢を諦めるため、ずっと夢見ていた俳優として売れてる自分の姿を、夢で見てみたいか。
なんだか、切ないな。ほら。。。しょんぼり下を向いて肩をがっくし落としてるし、本当は俳優を辞めたくないんだろうけど、でも、本人も考え抜いた上での、今回のご依頼でしょうから、
梅子「かしこまりました。ご依頼。お受け致します。」
しょんぼりと下を向いていた顔を上げてパアッと明るくなって、
ゆうじ「本当ですか?!!ありがとうございます!!!」
そう彼は言った。一見、顔もそこそこ整ってるし、スタイルも良いし、なんだか、モデルさんでも売れそうなのに。。。ただ、自信の無さは猫背気味の姿勢と声の質に出てるなぁと私は思いながら、目の前にいる残念なイケメンと固い握手を結んでいた。
梅子「制作期間は約二ヶ月かかりますが、宜しいですか?!
では、こちらに注意事項と契約内容が書かれてますので、良くお読みになって、契約書にサインをお願いいたします。」
ゆうじ「はい。よろしくお願いいたします。」
今回はハリウッドにまで上り詰めるということで、制作期間を二ヶ月と長めにもらって、制作に取り掛かる事にした。
ハリウッドスターになるには何が必要だ?まずは語学。英語をしゃべらなければだしね。
後、アクションもできないとハリウッドスターにはなれ無さそうだ。
後、歌はなんだかんだ言って、みんな上手そう。
ま、最低でも演技とダンス。
タップダンスとかできたら芸達者な感じする。
そんな事をこと細かく、この田中様の人生をクリエイトしていって最終的にハリウッドスターにしなければならないという。なかなかハードだな。でも、ここで手を抜くとリアリティを欠いて、夢の中の没入感を得られたくなる可能性があるため、そこは手を抜かず行きたいところ。
二ヶ月後、さぁ、田中様。
お待たせ致しました。田中様の商品が出来ましたので、取りに来て頂けますでしょうか?!
continue…
Dreamバイバイ。4話目に続く。
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