Dream バイバイ。2話目
ーー早川智子(40歳)主婦の場合ーーNo.2ーー(in dream)
私は約束の時間10分前に指定された喫茶店の前に来た。
その窓際には、金髪で少しウェーブのかかった長めの髪型の推しがいた。
伏せた目線でわかる長い睫毛で目元の黒いラインをくっきりと出していた。
窓際にいて、本を読みながらコーヒーを飲んでいる。
お店の外から見てもオーラを隠してるようでも、普通の人ではないのが分かる。
私は中に入るのを躊躇して立ち尽くしていたが、本からふと顔を上げた推しは
私と目が合うと、ニコって笑って、大きな手でおいでおいでってするから、
私は小走りでお店に入って行った。
カラン。「いらっしゃいませ。お一人様ですか?」
推しの方を指差して
智子「あ、待ち合わせです。」
私はそう言って、4人ほど座れる窓際の奥のテーブル席に座ってる推しの向かいに座った。
智子「ゴメン。待たせちゃった?」
推し「ううん。それよりも、コッチ。」
推しは自分の横のベンチのシートをポンポンと叩いた。
(あ!横並びに座るパターンね!)私はいそいそと移動した。
智子「本、何、読んでたの?」
推しは自分の読んでいた本を見せてくれた。
(『破戒』ね。そうよね。破戒よね。渋い本読んでるよね。)
推しは肩肘ついて、大きな目で私をじっと見つめて、
推し「何、飲む?」
私はその大きな目に一瞬で吸い込まれそうになって言葉がなかなか出なかったけど、
智子「あ、アイスコーヒー。あ、やっぱり、アイスカフェラテにします。」
そう言ったら、大きな手をスッと上げて、入り口にいる店員さんと目を合わせて、店員さんを呼んで、よく通る声で、
推し「アイスカフェラテお願いします。ガムシロップはいらなかったよね。」
智子「うん。」
と私の好みまで把握している推しはスムーズに注文してくれた。
智子「ねえ。変装とかしなくて、大丈夫?めちゃくちゃオーラ出てたけど、周りの人もチラチラ気にしてるかも。私と居て大丈夫?」
推し「心配してくれてるんだね。ありがとう。大丈夫だよ。君も気にしないで。」
そう、私の横で微笑んでいた推しは、映画のワンシーンを見てる様だった。
注文したアイスカフェラテがテーブルに置かれて、すぐ真横に推しがいると普通、緊張するだろうに夢のせいか、私は緊張もせず飲んでいた。
推し「よし。朝から智子とデートだから、今日は行きたいとこ、したい事、存分にしよう!!でも、とは言え、1時間しかないから、それ飲んだらすぐ移動ね。近くの駐車場に車停めてるから、俺の車で移動しよう。」
智子「うん!!」
私はそう言ってほぼ一気飲みのように、アイスのカフェラテを飲みほした。
推し「あははは。そこまで慌てなくてもいいのにー。」
と推しも残りのコーヒーを飲み干した。
二人は足早にお店を出た。
大きめな車の助手席を開けてくれて、私は助手席へ、足早に運転席に回って、運転席に乗り込んで来た推しのかっこよさよ。
それだけで、刑事ドラマのワンシーンの様だった。
推し「さ!しゅっぱーつ!!!」
智子「しゅっぱーつ!!」
とグーにした腕を前に上げた。年齢的にこんなことするのは恥ずかしいかもしれないが、ここは夢の中。なぜか、10歳ぐらい若くて推しと同い年ぐらいの設定の様だ。思いっきり楽しまないと損だわ!!!!
私の隣で車を運転している横顔の推しのかっこよさは、ドラマなどで見ることのない、素の推しだと思うと、心が軽くトキめいた。
ハンドルを握る手がとても大きく、少し血管が浮き出ているところが、また、男の人を感じて見惚れてると、
推し「ん?手に何かついてる?」って一瞬こっち見るから、
智子「ううん。手が大きくてかっこいいなーって思って。」
推し「なんだー。カッコいいのは手だけ?俺は?」
なんて、可愛いこと言うから、思わず、
智子「カッコいい。ふふ。」
そう言った。この時の私はきっと、デレデレの顔してただろうな。そう思った。
車デートもいいなぁー。そう思っていたら
推し「はいー。着きましたー。」
そう、止まって顔を上げると、『オザキフラワーパーク』と書かれてる看板が目に入った。
観葉植物など沢山あると有名なあの場所ね。
私は、推しの趣味全開のこの場所を楽しむ事にした。
智子「見てー!多肉植物いっぱいあるぅー!」
推し「多肉植物、意外と育てるの難しくて、水あげすぎると根腐れするし、、ちゃんと太陽浴びないと、、徒長っていって、ヒョロ長くなっちゃうんだよー。」
智子「え?!そうなの?知らなかったー!流石詳しいね!!」
なんて、言いながら、ガジュマルやパキラを見て、コレ買おう!アレ買おうと楽しそうにしてる推しを見るのが何より楽しかった。
よし!私はコレを買おう!そう思って手にしたのは、小さいガジュマルの木だった。
推しも、良いねー!って言ってくれたし。
推しはコウモリランを買っていた。
お互い、買いたいものが買えて満足の時間を過ごせた。
推し「ここ凄いよねーーー!!!いっぱいあって、見てるだけでも、めっちゃ楽しい。君とこうしてこれて、良かったよー!」
私も推しとのデートがこんなにもトキメキと楽しさを与えてくれるとは思わなかった。
帰り、車に、植物達を後ろに積んで、今日の収穫について話す。
お互いに、楽しく、希望していた植物が買えて本当に良かった。
ふと、推しが道路の端に車を寄せて、ハザードランプを焚いて止まる。
智子「ん?大丈夫?どうしたの?」
推し「ううん。運転してたら、君が余りにも可愛く今日のデートの内容話すから、余りにも可愛くて、、、。運転どころじゃ無くなって、、、。」
智子「え?!」
推し「キス、、していいかな?!します。」
そう言って、推しの顔が私の顔に近づいた。。。。
ピピピーピピピー
目覚ましのタイマーと共に私は目が覚めた。。
ああああ。そうかー。コレは夢だった。。。
つか、これには続きがあるのか気になったが、私はもう、、起きなきゃいけない時間だったので、慌てて起きて、会社に行く準備をした。
頭では分かっているが、これが、夢を買った結果なのかと、一日目にして、胸のドキドキと、虚しさを一気に味わった日だった。
早川智子編 end.
Dream バイバイ。3話目に続く。
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