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日記/祭

 1月27日
  
 亜蘭トーチカが家に来た。憂鬱そうだった。『鬼がつくった国・日本 』をくれた。読んだら面白かった。
 皆んなで喫茶店へ行って、本を読んで時間を潰したあと映画を観に行った。
 京都シネマの『ミツバチのささやき』を観た。ちょっと眠かった。

2月1日

 府立図書館へ漫画の資料を探しに行った。そのあと、京都シネマで『PERFECT DAYS』を観た。上品な車谷長吉みたいな奴の映画。

 田舎者なので昔は便利な東京の上澄みに、憧れがあった。今は家賃が高いとか人が多いとかで住む気がしない。アシスタントを呼ぶのには、東京のほうが都合がいいなと思う。

 2月4日

 飛鳥坐神社のセックス劇が有名なおんだ祭りへ行った。
 歩いてると天狗やらおかめやらに、ささらで尻をしばかれた。ささらは鞭のようにしなる。声が出るほど痛い。
 天狗らが女を追いかけまわして容赦なくしばいている。子どもも、畑の畦を全力で逃げていたが、捕まってしばかれた。犬は尻尾をまいて怖がっている。地元の人ばかりが集まって、よい祭りだった。
 猥褻の神社で、境内には男性器に似た石があり、ぬかるんだ地面には、とんでもなく太いミミズがいた。


 
 2月11日

 漫画を描いてから妻と京都市立芸術大学の卒展を観に行った。

 最近は勤勉に描いている。デビュー九年目で最近やっとまともに生活ができるようになってきた。あとは何も分からない確定申告をなんとかすればよい。
 久々に近くを通りかかったら綺麗で大きいキャンパスが完成していた。
 時間がなくて陶芸や漆塗の作品のコーナーだけを観た。

 なにか見覚えのある顔を見つけた。脳の顔識別能力は凄い。高校時代の美術のT先生だった。
 久しぶりで名前が思い出せなかったが話しかけた。九年ぶりにお会いできて嬉しかった。

 ヨドバシカメラで、エレコムのBluetoothのオーディオレシーバーを四千円で買ってきて、自宅のコンポに繋げたらノイズでまともに聴けなかった。損した。自分の漫画もノイズだらけになってきた。出かけた土地で見たり知ったモノをそのまま描くからまっすぐに物語れないので、自意識が中心の世界観から離れることができる。だから風景を描くのは面白い。古墳は大地の異物で種類もあってよいモチーフだなと思う。

 2月13日

 天井裏を何かが歩く音で目が覚めた。数日前から歩き回っている。最初は日本人形が走り回っているのかなと思った。うるさいし、図太い奴で夜行性らしい。

 スピーカーで、ライオンの鳴き声を大音量で浴びせた。バタバタと逃げ回る。しつこくスピーカーで追いかけまわした。

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