日記/花見
4月1日
夫婦で奈良へ。
石上神宮から出発した。
境内では、にわとりが放し飼いになっている。にわとりたちは、スススと足下に近寄ってきたかと思うと、急に走り出してどこかへ行ったり、落ち葉に驚いて鳴いたりしている。
おみくじを引くと大吉だった。
暇さえあればこの古代の道を歩きにいく。夜都岐神社へよったら、自分らが好きな鳥カワラヒワに出会ったので嬉しい。
歩いていたら、腰の曲がったジサマに、「行列を見に来たのかね」と話しかけられる。
自分らは何のことか分からなかった。たまたま今日は、大和神社の祭りだそうである。自分らはゆっくりジサマに連れられて行列の通る辻まで降りてきた。
それから三十分くらいするとお囃子の音が聞こえてきた。何百人もの行列が通りすぎていった。馬や武士もいた。
4月2日
喫茶店へ行って読みたい本を読んだ。
家に帰って、U-NEXTで『カード・カウンター』観た。ポール・シュレイダーの映画。また『田舎司祭の日記』みたく屈託のある奴が部屋に篭って文章を書いていた。それだけで楽しい。
4月3日
ネーム。読まなあかん本を読む。
4月4日
ネーム。
読まなあかん本を読む。
4月5日
新連載の構想を練る。
各地へ取材に行ったけれど全然不安だ。解決策はある。描いたら描けるんや。という根性で乗り切ればよい。
4月6日
漫画。
4月7日
漫画、昼から夫婦で花見へ。
雀はここ50年くらいで桜の蜜の味を覚えたらしい。桜を見たら雀が熱心に盗蜜している。いたるところに桜の花が🌸のままボトっと落ちている。雀が蜜を花弁の後ろから吸ったあと、ほかしているのである。
桜の下で読みたい本を読んでいた。今読んでるのは『ホテル・ニューハンプシャー』で、めっぽうオモロい。
4月8日
漫画。
毎日、朝の9時に目が覚めて、10時ごろ布団から出る。
資料が万全に揃っている状態であんまり背景が複雑でないときは、集中力が途切れたり飯を食ったりする時間を含めて、平均4時間、背景が複雑なときは6時間くらいで1ページを描く。
後は、家事をしたり、たまに出かけても映画館か喫茶店にしか行かない。
読書も映画も趣味だけれど全て漫画に関係してしまうので、夕飯を食って一時間くらいは漫画に無関係なことをやりたくなる。大抵、麻雀か笑い番組を観ることが多い。
それからまた本を読むか日記を書いて、11時半ごろ、風呂に入って坐禅する。布団の中で本を読んで、必ず1時に消灯する。
今後、仕事が増えるのはありがたいことだが、不安も増える。朝はもっと早起きになるし夜も描くことになる。読まなあかん本も増える。
それで失うものはある。自分はアッパーになる酒より、ダウナーになる日本酒の方が断然好きだった。高級であれば高級な程よい。騒いで飲むより黙って飲む方が美味い。夕飯のときには毎日のように日本酒を飲んでいた。
夜まで仕事をする時期に入ったとき、夕飯でダウナーになっているので酒をやめるしか無くなった。深夜に日本酒を飲みたくない。
ビールやウイスキーが好きな人間なら酒をやめていないかもしれない。
三ヶ月に一回は猛烈に『三諸杉』が呑みたくなる。一年、寝かせた手作りの梅酒は一滴も呑まずに泣きながら破棄した。
禁酒して2年くらいになる。
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