#80_言い換えるための条件
「言い換えてみましょう」ワークショップ
子どもたちがネガティブにとらえている部分を、ポジティブに言い換えてみましょう。たとえば、「頭が固い」だったらどうなるでしょう。(・・・)そうですね、「意志が強い」と言い換えることができますね。これができるようになると、子どもたちは自分を好きになるし、自分に自信がもてるようになりますね。さあ、先生方!どんどんポジティブな言い換えをしていきましょう。
言い換えるだけでいいのか?言い換えればいいのか?
「私は内気で、人付き合いも苦手だ」と思っている子どもに、「いやいや、そんなことはないよ。君はとっても慎重で思慮深いよ」とポジティブに言い換える。
こんな事例に触れるたびに「言い換えるだけでいいのかな?」「言い換えればそれでいいのかな?」という問いが浮かんできます。
確かに、ポジティブに言い換えられることで、子どもは自分のことをより深く理解できるようになるのかもしれません。でも、もしその子どもが「内気で、人付き合いも苦手」なせいで、生きづらさを抱えていたらどうなるでしょう。もしかすると、言い換えられただけでは、その子の生きづらさは解消されることはないかもしれません。
「一緒に研究しようぜ!」
ポジティブに言い換えるという方法とあわせて、「一緒に研究しようぜ!」と声をかけることができるようになるといいなと思います。「私、内気で、人付き合いも苦手なんですよね。それで、なんか、いつも暗い気持ちになっちゃってて。ほんとはもっと人と関わりたいんですよね」と子どもが言ったとしよう。ここで「そんなことはないよ。君は慎重で思慮深いんだから、そのままでいいんだよ」とポジティブに言い換えたとしても、その子の生きづらさにアプローチしたことにはなりません。
ここで大切にしたいのは「そうなんだね、よーし、一緒に研究しようぜ!」という声かけなのです。
「どうして内気なんだろう?」
「<内気>がよくないことだっていう価値観は、どうやってつくられたんだろう?」
「そんな価値観は、どうやって自分のなかに取り込まれたんだろう?」
「内気な私が人と関わるようになるためにはどんなスキルが必要かな?」
「内気な私が、奇跡的にうまくいった人付き合いのケースって、どんな条件がそろっていたのだろう?」
こんな問いを一緒に考えて「内気な私研究」が始まっていくかもしれません。
そしてはじめて、その子は「内気な私」を見つめ、「内気な私」とともに生きていくことができるようになるのかもしれません。