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#5_「いらっしゃい」と歓待する

朝,子どもたちが学校にやってきます。「ナスビの学校」では,子どもたちに「いらっしゃい」と声をかけます。

朝,子どもたちとの間で交わされるあいさつは「おはようございます」が一般的です。もちろん,それはとても大切なあいさつです。「ナスビの学校」では,「おはようございます」という気持ちも込めて,「いらっしゃい」と声をかけます。

学校は,子どもたちを「歓待」する場でありたいと思います。

「学びの場」であるための第一条件は,「居心地の良い空間」であることです。僕はそう考えています。学びの場がそこを訪れる人たちに対して「優しい」ということ,場がそこに来る人たちを「歓待する」ということが学びにおいてはとてもたいせつだと僕は思います。(pp.14-15)

内田樹(2021)『複雑化の教育論』東洋館出版社,pp.14-15

学校教育で一番大事なことは,まずは子どもたちを歓待し,子どもたちを承認することです。君はここにいる。ここにいていい。いる権利がある。君がここにいることを私たちは願っている。そう伝えることができたら,学校教育としてはもう上等だと僕は思います。

内田樹(2021)『複雑化の教育論』東洋館出版社,p.221

学校の歴史をさかのぼってみても,子どもたちの側から「学校をつくってほしい」という要請があったわけではありません。社会の側から「社会を維持・発展させていくためにはどうしても学校が必要だから作ったよ。作ったから,ちゃんと学校に来るように」と要請されてきたという歴史があります。

この歴史が私たちに刻まれているからこそ,「学校に行きなさい」「学校に行かなければなりません」「学校に行かないなんて,なんてことを言うの!」「不登校は問題だ」「学校に来なさい」といった言葉づかいが当たり前になっているのです。

社会の側が,大人の側が,子どもたちに「学校に行くこと」を要請してきたのです。しかし,それが絶妙にすり替えられ,子どもたちが「学校に行くこと」を望んでいるかのように語られるようになったのです。

学校に来た子どもたちに「いらっしゃい」と声をかける学校でありたいと思います。

学校に来た子どもたちに「いらっしゃい」と声をかける教師でありたいと思います。

そして,学校から家へと帰っていく子どもたちに「よかったら,また,おいでよ」と声をかける教師でありたいと思います。

そしてそして,子どもたちが「○○があるから,学校に行きたい」と思えるような学校でありたいと思います。

4月,新しい出会いが多く訪れる季節です。

4月,新しく出会った子どもたちに「はじめまして」とともに言ってみようと思います。「いらっしゃい!」

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