3415 TOKYOBASE 2025.1月期第1四半期決算予想(個人的な)

1.予想値(連結決算)

単位:百万円()内は前期実績

売上高            4,741(4,725)
売上総利益     2,394(2,344)
販管費            2,147(2,247)
営業利益           247(97)
経常利益           257(113)
純利益               145(△1)

2.売上高について

売上高については、ほぼ横ばいです。
速報からは、
国内実店舗・・・116.6%
EC・・・66.6%
国内実店舗+EC・・・103.6%

であることが分かります。
海外は中国本土が12月決算で1か月ずれているので、速報の数字がそのまま使えるわけではありません。
1月_3月の数字から推測しますと、前期比80%前後になります。
香港は推測が難しく、また速報の補足説明からもどう推移しているのかは手がかりがありません。そのため、香港も横ばいと考えてます。
2024.1期第一四半期の有価証券報告書によると

  • 日本実店舗売上高・・・2,837,428千円

  • 日本EC売上高 ・・・1,108,640千円

  • 香港実店舗売上高・・・133,679千円

  • 中国実店舗売上高・・・515,859千円

  • その他     ・・・129,635千円

  • 合計      ・・・4,724,971千円

と記載があります。この数字と速報を照らし合わせると今期第一四半期の数字は

  • 日本実店舗売上高・・・3,459,595千円(+492,532千円)※

  • 日本EC売上高 ・・・738,354千円(△370,286千円)

  • 香港実店舗売上高・・・133,679千円(--)

  • 中国実店舗売上高・・・409,592千円(△106,267千円)

  • 合計      ・・・4,741,220千円(+16,249千円)

  • ※その他(ファミリーセール)の数字を含む

大体、この辺りに着地すると予想されます。

3.売上総利益について

売上総利益率を考えますと、前期の第1四半期は49.6%でありました。
ファミリーセールがあるので、どうしても第1四半期と第3四半期の売上総利益率というのは低くなります。
それに対して今期の売上総利益率は50.5%で想定しています。
理由としては、

  1. ZOZOTOWNにおいて一度もクーポンを配布していない。

  2. EC単独でのタイムセールを廃止した。

  3. オリジナルブランドが持ち返しつつある

これらを考慮しました。
前期第1四半期の収益認識基準適用額は66百万円でした。
このうち50百万円がZOZOTOWNでのクーポン発行額であると仮定しており、残りが自社ポイントの利用と考えております。
前期第1四半期のZOZOの売上高は763百万円でした。ただし、売上高の6%以はクーポンです。
実は、TOKYOBASEの谷社長もこの影響を分かりやすく説明していて、ざっくりいうと、TOKYOBASEは売上総利益率50%のビジネスモデルを展開しているが、クーポンを発行すると、売上総利益率が45%になる、というような説明をしていますが、まさにその通りです。
そして、さらに、タイムセールをすると結果として売上総利益率を5%押し下げる、とも説明しています。

これらのことから、谷社長はECにおいては、売上高に固執し過ぎたあまり、クーポンとタイムセールで売上総利益率40%の事業になっていた、と説明していました。
今期は、この点において、少なくともクーポンは1度も配布がありませんでしたし、タイムセールも数えるほど(おそらく3月に4回だけ)しかありませんでした。
したがって、売上高は低下したものの、売上総利益率に関しては上がったことが推測できます。
また、UNITEDTOKYO、PUBLICTOKYO、THETOKYO(THEPERMANENTEYE)などのオリジナルブランドはやや利益率が高いですので、オリジナルブランドが伸びてきていることが速報でも説明されていましたので、この点も売上総利益率の押し上げ要因だと分析しました。

4.販管費について

TOKYOBASEは3月に大幅な賃上げを実施して話題となりました。そして、その影響額は一部メディアで年間3億円という見通しが言われていたりします(社長自身は年間2.5億円としている)。
従業員数が2024年1月31日時点で国内259名(臨時99名)となっていますので、それを基に単純計算したのかもしれません。
とはいえ、大きな販管費の増加要因です。
第1四半期の場合、賃上げの影響が小さいです。新卒は4月入社ですし、1月決算ですが、実際に賃上げ後の給料が支払われるのは2月ではなく3月です。
一度販管費の増加要因と減少要因を整理します。

販管費の増加要因

  • 賃上げによる年間2.5億円~3億円の人件費増

  • 実店舗売上高増加による地代家賃増加(売上高の16~16.9%と言われている。年間1.9億円増??)

販管費の減少要因

  • 中国事業縮小による地代家賃減少(1店舗の月額家賃は350万円前後と推測できる。年間約4億円減少??)

  • 中国事業縮小による人件費減少(有価証券報告書によると1/31時点で33名減少。45名まで減少すると仮定して年間約1.3億円減少??)

  • 値引抑制によるZOZOの売上低下に伴う、販売手数料の減少(販売手数料は売上高の27~30%と言われている。年間2.7億円減少??)

さて、ここで今期の業績計画を見てみますと、

  • 売上高200億円(199.8億円)

  • 売上総利益104億円(100.1億円)

  • 販管費88億円(91.3億円)

  • 営業利益16億円(8.8憶円)

  • 経常利益14億円(11.2億円)

  • 当期純利益7.5億円(3.3億円)

というものです。
販管費については、3.3億円減少させることを見込んでいます。
それはつまり、販管費の増加要因よりも減少要因の方が影響が大きいことを示唆しています。

5.第1四半期での重要点

そもそも第1四半期ではどこに注目するべきなのでしょうか。
個人的には、最重要なのは売上総利益だと思います。ここが、前期第1四半期の数字より下回ることは絶対に許されないと考えられます。そして、売上総利益率はファミリーセールの売上高が伸びている、4月のスプリングセールの影響があるとはいえ、50%は超えてくるべきです。

次に第1四半期であれば国内の業績だと思います。
今期の通期目標は営業利益16億円というものです。一方で賃上げも実施されており、増益計画のハードルが上がっています。
中国は通期黒字化を見込んでいますが、この見通しをどう読むかは困難です。しかし、どんなに多くても年間5千万円程度の利益を見込むのがやっとのはずです。香港も好調でしたが、横ばいだと考えるべきです。

つまり、そもそも国内で営業利益15億円以上を目指せるんだということを示す必要があるでしょう。
それに、第1四半期の速報というのは、社長の考える通りの推移であったと思えます。実店舗の成長を進めていく。ECではトップライン(売上)は落ちるがセール依存から脱却していく。売上ではなく利益をしっかり取る。
こういったことが説明されておりました。
それらを考えると、第1四半期は中毒になっていたというタイムセールもほぼなく、クーポンは廃止という動きを堅持して、実店舗で二桁増加の伸びを達成しました。
まずは、しっかり最高益を目指す、この言葉に確かな根拠があるのかどうかが問われていると思います。


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