設定が気になるサスペンスを途中まで

「どうして人は死んだらいけないの?」
幼子は母に問う。

「周りの人たちが悲しむからよ」
母は答える。

「僕が死んだらママは悲しい?」
「ええ、そうね。とても大事な私の子だもの」
「そっか!大事だから悲しいんだね」
「そうよ」
「そっか!」
幼子は、二度頷いて満足そうに母の胸に飛び込んだ。

「僕もね、世界で一番大事なものがあるんだ」
「あら、何かしら」
「それはね~、、、」
幼子は小さな手をポケットに入れて、何かを取り出した。


「生きているという実感だよ!」
幼子が手を振ると、母の首元から放射状に血が噴き出した。
手には小さなナイフが握られている。
「人を殺すというのは、いついかなる時でも生きているエネルギーを感じさせてくれる、大事な習慣でね」
幼子は二度、三度とその手を振り回す。
その軌跡を追うようにして、母から血が流れ出る。
「君で記念すべき100人目だよ」
幼子は無垢な笑顔を浮かべてそう言った。

「今夜は祝宴だね」
母は虚ろな目を幼子に向けていた。
「おやすみ。ママ」
幼子は最後に、母の左胸を一突きして、家を後にした。



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