見出し画像

包丁

 ストレスを食で解消するという事で、火曜日に作り置きをしておいた麻婆茄子をきれいに平らげた。

 今でこそ割と包丁を使えるし慣れたもんだが、30歳になるまではリンゴの皮すら剥けなかった。

 何故かって、やっぱり怖いですからね、包丁。

 プラスチック製の包丁で、指に当たったところで皮膚がスパッと行かないような包丁でイメトレをすれば良かったんだろうけれども、別に包丁が使えなくても困らないから構わないかな…と逃げていた。

 だから初めての自炊は、フライパンで豚肉を焼いて「クレイジーソルト」とエバラ焼肉のタレで味付けをしたし、ただそれだけの行為なのに「ここでシェフのフランベ!!」なんて1人で実況中継をしていた。

 フランベの意味するところは、フライパンに酒を投入した後にアルコール分を飛ばして香り付けをする作業なので、エバラ焼肉のタレを40cm ぐらい上から珈琲を淹れるようにフライパンめがけて垂らす行為の事ではない。

🌲🌲🌲 

 実をいうと30歳まで、おにぎりも握れなかった。

 どうしたって雪だるま状に丸くなるだけで、そもそもが「おにぎり」を作れなくたって生きていけるだろうが!と自分を鼓舞していた。

 脳内では「尾崎豊」の「シェリー」が何度も繰り返し流れた。

🌲🌲🌲

 料理の道に30歳から入って、嫌でも包丁を握る必要があって、最初の3年間は指を怪我しまくって、やっと「怪我」しないレベルになったんだけれども、中でも嫌だった作業が玉ねぎのみじん切り。


 葱も玉ねぎも、いくつもの皮が層になっているから、包丁がチュルンッと滑り易いんだよね〜。

 葱も、火を通した後だとシャクシャクして、口の中で何層にもなった皮が広がるじゃないの。うわぁ〜、なんて旨いんだと。生で食うと辛くってムカつくのに、火を通すと途端に化けるな葱は。

 大蒜も、包丁を使えない頃は、それはもうね…、爪で必死に格闘をしましたよ。
 
 俺はいま、真剣に大蒜と向きあっているんだ!だから尊いんだ!なんて信じていました。

 ここ数年、たまにチャレンジしては難易度が高すぎて断念をしているのが、包丁を使ったカービング。

 料理人時代に人参の飾り切りを2種類だけ覚えたんだけれども、中華料理の飾り切りだけで、10種類ぐらいはあるのね!

 実際に厨房で見たのだけで、鳳凰・蟹・金魚・ひし形・兎…。

 生意気言ってはいけないけれども、フレンチの技法のアッシェ、ジュリエンヌ、メダイユ、コンカッセ、ポワレとかも、先輩方が作業をしているのは観れたんだけれども、僕が出来る訳ではないので、そうなると「身の丈」にあったもので、比較的に安くて、自分の口の中にいれて完結をする食材を探すとなると「人参」になる。だから頻繁に人参は買っている。

🌲🌲🌲

 中華料理といえば、パッと思いつくのは炒飯かもしれないけれども、店の厨房では五徳の縁で中華鍋を振るのが禁止をされていたから、みんな「こっそり」と練習をしていたし…。

 だから、炒飯がいかにパラパラか〜?とか個人的にはどうでも良くって、家庭用ガスコンロだとパラパラになりませんとか、知らね〜よ、アナタが単純に下手くそなだけでしょう?としか思わない。

 というのも、上達するために何回、炒飯を作ってみた訳?5回?10回?

 せめて100回つくってみてから言ってくれと。

 そりゃ、話のネタとして言ってくる分には構わないんだけれどもさ、やっぱ中華は火力が違うから、火力さえあれば自分でもできるね!なんて挑発をされると昔はイラッと来たものです。

 鍋つかみに引火しそうな危険な状況で広東鍋をふっていた立場からしてみると、クッソ〜www 舐めやがってwww

となりますわな。

 北京鍋は重ねておくと嵩張るから、広東タイプにしたんだとシェフは言っていました。

 たまに鍋つかみに引火するんだけれどもねwww

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?