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SMELLMAN 3RD:5

SMELLMAN 3RD
KINDERGARTEN SCRAMBLE:5

数名の園児が嗅覚の萌芽に目覚める頃
代表格のまりこちゃんは大きな壁にぶつかっていた。
前以ってトイレに行けないような子じゃないけど
栗ご飯に全くリアクションが取れずにいた。

秋季が深まっても状況は変わらず
飽きが深まるばかりである。もう、湯気もうもうは嫌!

恭平は、炊飯器で炊いた栗ご飯をタッパーに詰めて
再度、レンチンすることで化学変化が起こることに期待した。
まりこちゃんの眼前でタッパーを開いて見せたが
結局、最後まで彼女に嗅覚の萌芽は見受けられなかった。

六歌仙KINDERGARTENの園児7人が
湯気もうもうから匂いを察知して
ワサビ寿司が食べられなくなる変化を見せた。
定説でいくと、まりこちゃんが第1号になる流れだが
スメルマン恭平はそろそろ紐付けを解かなければならない契約だ。
スメルマン泰明時代の経験を活かした湯気もうもう作戦は
悪くないと思うし、逆進化とも言えるワサビ拒否も面白い。

SMELLMAN 4THを語る前に世の中の嗅覚障害の資料を
冥界の図書館で閲覧してみるのも一興だ。
スメルマン恭平は2人:20人という圧倒的劣勢から
それなりの仕事をして帰還して来た。

表面上はありわらくんも普通の園児を演じてもらったが
相談できる相手が居たのは大きかった。
スメルマンイズデッド。スメルマンの肉体は滅んだ。

そんな中、自我を残して貰えたのは不幸中の幸い。
自分の過去の患いを治すという立場もやり甲斐があっただろう。
スメルマンイズデッド。スメルマンの精神は滅びない。

次回転生を大胆予測するのなら、
人間の形状を留めていないのかも知れない。
スメルマンイズデッド。スメルマンはあなたなのかも知れない。

今、自我と思っている意識は、本当に昨日を継いでいますか?<了>

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