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#4 一人目のお客様

面接がスタートして30分後にはラブホの前に立っていた。
なんか下着姿で夜の街に放り出された気分だ。
これから初日のお仕事がスタートするのだが、
本番はダメってことしか教えてもらっていない。
お金の受け渡しとか、時間配分とか、段取りとか
何から何までわからない事だらけ。
もうひとつ、
面接を受けるまで
本番はするものだと思い込んでいた。(おおバカ)

これまでの男性経験からテクには自信がある。
初対面の人に対するコミュ力にも自信がある。
ただ、本番なしプレイの最終段階が想像できないのだ。

あっ、常連さんなんだから基本的にお任せしちゃおう!
「初めてなんですぅ、教えて下さーい♪」って感じでいいや!
と考えると少し気分が楽になってきた。
当たって砕けるしかないな、と半ば諦めの心持で
指示された部屋に向かった。

ドアの向こうに現れたのは、
50歳ぐらいの人のよさそうなおじさんだ。
おじさんの笑顔で、それまでの緊張感は一気にやわらぎ、
生まれて初めておじさんの笑顔を素敵に感じた。

男「今日初めてなんだよね」
私「そうなんです」
男「まだ慣れてないなら、僕がいろいろ教えてあげてもいいけど、
どうする?」
 (私 わぁー、超ラッキー!!)
私「そうしてもらえるとありがたいです、教えてもらってなくて…」
男「いいよ、いいよ」

てな感じで始まった。

とても優しいルールを守る紳士で、プレイの流れを丁寧に教えてくれた。
自分の好きな、マットのローションプレイと騎乗位素股だけは
合格点をもらうまで熱心な指導が繰り返された。
最後は、騎乗位素股の復習でフィニッシュした。
フェラを褒められ、実力を評価されたみたいで嬉しかった。
帰り際に、絶対に売れる、何年でも売れる、
この世界でやっていけると言ってくれた。

この人が一人目でほんと良かった。
後のお客さんもこんなんだったら心配いらない。
それまでの不安はすっかり吹き飛ばされていた。




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