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#7 四人目のお客様

初日の接客の後、店長に頼んで3人の感想を聞いてもらった。
一人目と二人目のお客さんからは高評価を得た。
三人目は案の定、低評価だった。
2人から高評価をもらい、自分の存在を認められたようで嬉しかった。
ただ、クソ客から低評価をもらってしまったことが悔しかった。
クソ客であっても普通の評価ではあって欲しいと思う。
本番なしで、どうしたらクソ客に満足してもらえたのだろう。
考えてみたが答えは見つからなかった。

1日空いて2日目の出勤日がやって来た。
2日目の最初のお客さんは180センチほどある高身長ニートだ。
48歳のかなり成熟したニートである。
私は成熟したニートの出現になぜか興奮を憶えた。
生態について知りたくなったのだ。
質問すると、とにかく嬉しそうに答えてくれる。
なんとも個性的なしゃべりで。
東京の超有名大学を卒業したあと、一度も働くことなく、
主に2次元の世界を住み家とし、親から相続した不動産収入で
生活していることが分かった。
社会に出ていない純粋さ、誠実さと多様性を感じる。
どうも2次元の世界に住民票があるようだ。
その世界について色々と語ってくれるのだが、専門用語の意味が解らない。
私がニコニコして興味深そうに大きく頷くと、
彼は、自分の推しについて堰を切った様に話し出した。
私は、理解不能な話を聞き続けることに疲れ、
プレイを促すことにした。

私はマグロになった。
彼は、私の身体の隅々まで時間をかけて点検しているようであった。
そして知らないうちにイってしまった。

彼は3日後に再び現れた。
私にとって初めてのリピさんで今でも通ってくれている。
彼の社会に染まっていない純粋さは、私に安心感を与えてくれる。
今まで続いているのは、もしかしたら彼のおかげなのかもしれない。


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