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#4 ターゲットは「地域住民」か「観光客」か

 お店をするにあたって何よりも重要なの「誰に買ってもらうのか」。
とても判断に迷うところだし、迷いに迷って決めたところで、いざ営業してみると全然思うようにいかなくて、路線を変更するということもきっとある。実際に、おにぎり屋とは別に、飲食店の開業に携わらせてもらっていたが、当初計画していたものからターゲットが大幅に変更になったということもあった。
 ターゲットが変更になるということは、メニューや見せ方など、そのほとんどが変更せざるを得ない状況であり、とても労力をさいた。
 おにぎり屋さんでも、きっと同じことが起きるだろうと予想はできるけど、だからといってターゲットを全く決めずに営業するわけにもいかないし。


いざかたスタンドのターゲット

 結論から言うと、現時点では「両方」。具体的には時間によってターゲットが異なる変動性で現在進行中。
 那智勝浦町は言わずもがなマグロと世界遺産を筆頭に、観光客が国内外から多く訪れる町。大きなリュックを背負って朝から那智山に向かう方や市場に向かい方など様々。とにかく観光客の動きが朝から活発な町。いざかたスタンドは現時点では朝8:00から営業を予定していて、朝〜昼までの時間帯は観光客をターゲットにした持ち運びが便利なおにぎりをメインに販売。 

 そして昼11:00を過ぎると周辺の飲食店が開店しだす。マグロ丼を筆頭に中華やイタリアンなど食種の幅は広い。一方で、紀伊勝浦駅周辺ではお弁当屋さんはあるものの、昼前にはすべて販売してしまい、いわゆる「昼食難民」が地元住民と観光客共に多い。また、付近のお弁当屋さんは半数以上が地元の方であり、お弁当ニーズが地元住民にも意外と多いことがわかる。(藤井調べ)
 そのため、昼は朝から引き続きおにぎりの販売も行いつつ、地元住民のニーズにも答えられるように、お弁当も数種類展開予定。 

 昼が終わり、夕方までのアイドルタイム。ここでは再度ターゲットを観光客に絞り、気軽に持ち運びができるおにぎりをメイン商材として販売する。那智勝浦町はほぼ紀伊半島の最南端であり、電車が観光客の生命線となっている。大阪に行くにも名古屋に行くにも3時間以上はかかるので、車内で気軽に食べられるおにぎりを再度充実させてニーズに答えられるようにする。


とはいえ

 こんなにうまくいくとは全く思っていなくて、きっと当初の計画なんかは開始1週間ほどでひっくり返るだろうとも思っている。
ただ最初にこのターゲットを設定するにあたって、地元の飲食店や地域住民のニーズ調査などすることができたし、たぶん無駄な行為ではなかったなと。
 大きく分けると「地元住民」と「観光客」だけど、そんな大分類だけではダメで、もっと細分化する必要がある
 例えば、朝食時間である8:00〜9:00までの間はニーズがありそうで、実はかなり狭い範囲を攻めることになってしまう。なぜなら、那智山に向かう観光客はもっと早朝(6:00〜8:00)に那智勝浦を出発するだろうし、8:30にはにぎわい市場がオープンするし、始発の新大阪行きくろしおは6時台に発車するし。。と、意外と難しい時間帯。
 なので、「素泊まりホテル」「8:49発新大阪行きくろしお」「インバウンド」に絞ってこの時間はおにぎりを並べる必要があるのかなと勝手に思っています。
 良くも悪くも、観光客が公共交通機関に大きく左右される町ではあるので、戦略が組み立てやすいといえばそうで、一方でそこを逃すとかなり大きなダメージにも繋がりかねない。


まとめ

 現時点では、「観光客」と「地元住民」両方がターゲットであり、更に時間によって細分化している途中。
そして、ビジネス的には「ターゲット=誰に買ってもらうか」という考えをしてしまういがちだけど、こんなんばかり考えてたら頭が痛くなって来るのと、自分がおにぎり屋さんを開業する理由は「儲けたい」が最優先事項ではない。
もちろん最低限生活をしていく必要はあるけれど、それとは別に、創業動機でもある「お米の価値向上」「商店街をはじめとした那智勝浦町を元気にしたい」という思いがあって。

この商店街がもっと元気になれば、町全体も元気になるはず。
そう思って取り組んでる人はすでにたくさんいるし、自分は米という手段でそれを実現したい。


それを踏まえると、「ターゲット」という表現ではなく「誰に価値を提供したいか」という表現のほうが良い気がする。中身は同じかもしれないけれど、「自分は誰に何を届けたくておにぎりを握るのか」。
そう考えると、少しだけ頭が柔らかくなった気がする。ほんの少しだけど。


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