家族と認知症

認知症なんてまるで他人事で気にもしてないし介護生活はもっとずっと先の話だと思っていた。
 ましてや両親が持病からくる体調不良で入院する事は頭の片隅にはあったのだけどまさかの認知症とは。
 正直、いつから母親が認知症が発症したのかは分からない。今思えば少しいつもと違うと振り返れば思いつく事がある。LINEの返信が極端に遅くなり文書が短くなったり、冷蔵庫がいつもなら手作りの料理でいっぱいだったののが、スカスカになったりしていた事。
 父親と二人暮らしになれば料理を作る気持ちもなくなるのかなと思っていた。市の主催の体操教室やら町内の体操教室も通っていたので身体的な不調はないのだと思っていた。
 そ月に数回は我が家に来ては、話はしていたのでその時は別段取り留めて様子がおかしいとは気にも止めなかった。毎年年の暮れになると実家で餅つきをするのだけどその年に限って何か段取りが妙にズレてたり、配合する分量やら炊く時間はバラバラなのは加齢からくるものなのかと。
 しかし正月に実家にて新年会をした時に親父が母親がボケたかもしれんと一言から事態は急変した。
 まさかの冗談だろうと半信半疑だったのだけど。
 信じたくもないし、青天の霹靂で事態がうまく飲み込めない。けれどもどうしてもこれは認知症なのではないかと思う事例が次々に起こる。
 お願いしていた買物も普段なら予約してあるのに予約もしてない、正月料理も煮しめやら魚料理やらお節やら決まって手作りなのにその年は何も作ってなかった。普段なら人一倍に周りと会話をするのに全く話もせず座ってるだけだった。初めて見る姿だった。
 普段ずっと一緒にいる父親はもっと多くの異変を感じてだのだろうけど、その事を子供に話すのは相当の熟慮を要したのでないかと。
 もちろん本人はもっと前、自覚はあったのだろうけどそれを認めるのは容易な事でなかったのだろう。
 しかし、その日を境にして急転直下の介護の日々が始まり、目まぐるしい日々が始まるとは想像もしてなかった。

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